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会社が一方的に過払い分を給与から控除(天引き)することは、原則として「賃金全額払いの原則」(労働基準法第24条)に違反するため認められていません。賃金から控除が認められるのは、社会保険料などの法令で定められたものや、労使協定で合意されたものに限られます。したがって、過払い金の返還は、現金手渡しや銀行振込など、給与とは別に支払うのが原則的な方法です。 この原則には例外があり、労働者の自由な意思に基づく同意がある場合や、「労働者の経済生活の安定を脅かすおそれのない」合理的な範囲での清算的相殺の場合には給与からの控除が認められることがあります。 ご相談のケースにおいて、会社が突然11月と12月の給与からそれぞれ17万円という高額を控除しようとすることは、以下の点から問題があると考えられます。 労働者の経済生活への影響 月17万円という控除額は、ご自身の生活に大きな影響を与える可能性が高く、「労働者の経済生活の安定を脅かす」ものとして、同意なく一方的に控除することは認められない可能性が高いです。 また、これまで会社側が何度も返済に関する合意を一方的に変更してきた経緯を踏まえると、今回の高額な控除案に同意したとしても、それがご自身の「自由な意思」に基づく有効な同意とは見なされない可能性があります。 以上のことから、社長の言い分通りに高額な給与天引きに応じる法的な義務はないと考えられます。 過払い金の返還義務自体は残りますが、その返済方法については、ご自身の生活状況を十分に伝えた上で、再度会社と協議すべきです。会社側にも、返還額が多い場合には分割払いを認めるなどの配慮が求められます。当初合意した「11月と12月の給与から2万円ずつ、退職後は月5万円の分割払い」といった、生活を脅かさない現実的な返済計画を改めて提案し、交渉することが望ましいでしょう。
この質問の詳細を見る中小企業退職金共済制度(中退共)に基づく退職金は、会社ではなく共済機構から従業員に直接支払われるものであり、原則として、会社は当該退職金に対して何らの権利も有していません。 仮に、会社の退職金規程や従業員と会社との間の個別合意において、中退共に基づく退職金額との差額の返還義務が定められていたとしても、かかる定めは中退共制度の趣旨に反し、公序良俗違反により無効となる可能性が極めて高いと考えられます。 大阪地裁令和4年12月22日判決も、会社が従業員との間の個別合意があったとして従業員に対して退職金の返還を求めた事案において、当該合意は公序良俗に反し無効であるとして、退職金の返還義務を否定しています。 今回のケースでは、会社の退職金規程には会社が支払う退職金額の定めがあるのみであり、当該退職金と中退共に基づく退職金との関係性あるいは返還義務についての記載は何ら存在せず、また、会社と貴方との間の個別合意も存在しないようにお見受けします。 したがって、退職金の返還義務の定めが有効であるか否かを論じるまでもなく、会社が退職金の返還を求める根拠がないため、貴方が退職金を返還する必要はないものと解されます。 ただし、万が一、会社が民事訴訟等の法的手続に進んだ場合には、対応を放置しておくと貴方に不利な判断がなされる可能性があります。 そのような事態に至った場合は、速やかに弁護士に相談し、適切な対応を検討することをお勧めします。
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