能力不足のため退職してもらったところ労働審判の申立をされた
加藤 雄一
弁護士
【ご相談内容】■相談前
依頼者は、自身が設立した会社を経営してきましたが、自身の年齢から、経営を引き継いでくれる能力のある後継者を会社外部から採用しようと思い、人材会社を通じて上記条件を明示して人材を募集し、他の従業員よりも高額な給料にて相手方を採用しました。
ところが、実際には後継者となりうる能力がなく、従業員からの信頼も得られないような人物であったため、依頼者は相手方に自発的に辞めてくれるよう求めたところ、相手方は○月末で辞めるといって私物を片付けた後、貯まっていた有給を消化し、そのまま出勤をしなくなったため、退職の処理をしました。
そうしたところ、相手方から、従業員たる地位の確認、未払賃金及び不当な退職強要を理由とする損害賠償を求める労働審判を申立てられたとのことで相談に来られました。
■相談後
依頼者は、相手方から退職届も取得できておらず、労働審判の時点で相手方は辞めるとは言っていないと主張している以上、自主退職の有効性を立証することは困難な状況でした。ただ、依頼者としては、もはや相手方に従業員として戻ってきてもらっても困るとのことであったため、一定の金銭を支払って退職してもらう形での解決をせざるを得ず、結果として約半年分の賃金相当額を解決金として支払うことと引換えに合意退職してもらう内容で合意に至り調停成立となりました。
■ポイント
本件は、当事務所のホームページからの相談案件であったため、相談に来られたときは、すでに労働審判の申立をされてしまった状態でした。ただ、話を聞くと、上手く対処していれば、合意退職やあるいは争われない形で解雇という形を取ることもできたのではないかと思われる事案でした。
顧問先会社のように継続的にご相談いただける関係にあれば、余分な出費を抑えられたのではないかと思われる事案であり、ある程度相手方が要求する金額を抑えることは出来たものの少し残念な気持ちとなった事案でした。