【ご相談内容】【相談前】
夫が浮気をしたので離婚したいという相談です。
相談者は40年前に結婚し、子供2人が生まれましたが県外の大学に進学後就職し独立しています。
ここ数年夫の服装の趣味が変わったり携帯電話を肌身離さず風呂にまで持ち込むなどの様子から夫の不貞を疑っていました。探偵に依頼し、素行調査をしてもらったところ、夫は20歳下の女性と5年前から浮気をしていることがわかりました。
夫は64歳です。夫は60歳で一度定年退職をし数千万円の退職金をもらった後関連会社の役員となり、65歳で関連会社を退職すると聞いています。関連会社を退職する際も退職金が数百万円出ると聞いていました。
相談者は夫に慰謝料の支払い、財産分与を求めました。
しかし、夫は、「離婚はしてもいい」「財産はない(退職金も使った)ので財産分与はできない」、「昔相談者が浮気してもよいと言ったので慰謝料は払わない」、「これまで十分すぎる生活費を支払ったのだから相談者が多額の貯蓄をしているはず、逆に相談者が財産分与をすべき」と言っています。
夫の言い分は通るのでしょうか?ちなみに、相談者は「浮気をしてよい」と言ったことはないとのことです。また、夫から生活費はもらっていたものの子供たちの教育費がかかり貯蓄などできなかったとのことです。加えて、60歳の時もらったと思われる退職金は夫が管理しており退職金が振り込まれた口座やその後の使い道(本当に全額使い切ったのか?)なども全く分からないとのことでした。
【相談後】
すぐに弁護士に依頼したいというご意向だったため、代理人となりました。
弁護士介入後も一貫して夫の主張は変わらず、結局離婚裁判を起こすことになりました。
裁判では主に財産分与が争点になりました。
夫が60歳の時に支給された退職金について、裁判所を通じた調査(調査嘱託)などを利用し本当に夫が全額使ったのかの確認作業をしたところ、退職金の一部は夫名義や夫の親族名義の預金として残っていることが分かりました。
しかし1000万円程度は使途が不明でした。
夫側は生活費や接待交際費などで費消したと主張しましたが、当方の諸々の主張の結果、裁判所は使途不明金の一部も考慮して相談者に有利に財産分与の額を計算するという判断をしてくれました。
また、夫が65歳に関連会社から支給予定の退職金を隠匿されては困るので、夫が65歳になる直前に裁判所に申立をし、仮差押えの手続きをし、退職金を確保しました。
夫側は最後まで相談者に隠し財産があるとの主張を繰り広げましたが、(実際ないので)事実を立証をできるはずはなく、裁判所も夫の主張を採用しませんでした。
最終的に、離婚、夫が妻に慰謝料を支払い財産分与をするという判決をもらい解決しました。
【コメント】
婚姻中に配偶者が不貞をすれば他方の配偶者は慰謝料を請求できます。
一定の割合で不貞をした当事者の方から「妻(夫)が外で遊んできてもよいと言った」という主張が出てくるのですが、特殊な例を除きそのような主張が認められることはほぼないと言えます。このようなことを言われてもあきらめずまずは弁護士にご相談ください。
そして、不貞をした配偶者への離婚請求は裁判になっても高確率で離婚を認める判決になります。
相手方が不貞を認め、離婚をすることに同意している場合でも、財産分与で争いがある場合、紛争が長引く場合があります。
財産分与について、裁判所は原則として別居時に存在している財産を半分に分けるという考え方で判断をするので、財産を隠しているケースであれば、財産を捜すために様々な工夫が必要な場合もあります。
解決事例のように、使途不明金の一部を財産分与で考慮してくれる場合もなくはないのですが、例外的な話なので工夫して主張立証をした方がよいです。
また、解決事例のように、もうすぐ相手方が退職金を手に入れるなどという場合で相手方が財産を隠したり使ったりする危険がある場合は、裁判所に申立をして相手方の財産を仮差押えすることも有効です。
まずは弁護士にご相談ください。