高校処分の差についてご意見お聞きしたいです。

高2男、高1女お付き合いをしていて学校内にて不純異性交遊(途中)までしてしまいました。
他生徒に見られて先生の知るところとなりました。高2男退学勧告、高1女停学処分。
この処分の差は妥当なのでしょうか?
先生からは高2と高1では罪の重さが違うと言われました。私立高校です。

処分の差自体は、学年によって心身の成熟度や学校への適応状況が異なることを踏まえれば、一般的には妥当と思われます。
もっとも、退学(勧告を含む)は最終手段として、生徒を学校内に留め置くと学校の秩序が保てない事情があるかどうか、という観点から妥当性を判断されることになっており、本人の性格や平素の行状、行為が他の生徒に与える影響、懲戒処分が本人及び他の生徒に及ぼす訓戒的効果、行為を不問に付した場合に生じる影響などを総合的に判断されます。そのため、退学勧告が妥当かどうかは、学校でのトラブルに詳しい弁護士にご相談された方がよいかもしれません。

⑴ 私立高校の生徒の退学処分の有効性に関する裁判所の考え方
 学校教育法11条を受けた学校教育法施行規則26条3項は、懲戒処分の中でも特に退学処分を行うことができる場合として、①性行不良で改善の見込がないと認められる者、②学力劣等で成業の見込がないと認められる者、③正当の理由がなくて出席常でない者、④学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者、の4つを限定列挙しています。このような限定は退学処分によって被る生徒の不利益の大きさを踏まえてのことです。
 このような趣旨から、生徒に対し、退学処分を行うに当たっては、他の処分に比較して特に慎重な配慮を要するものとされており、特に被処分者が年齢的に心身の発育のバランスを欠きがちで人格形成の途上にある高校生である場合には、退学処分の選択は十分な教育的配慮の下に慎重になされることが要求されます(東京高裁平成4年3月19日判決)。
 そして、当該行為の態様、結果の軽重、生徒本人の性格及び平素の行状、当該行為に対する学校側の教育的配慮の有無、懲戒処分の本人及び他の生徒に及ぼす訓戒的効果、当該行為を不問に付した場合の一般的影響等諸般の要素に照らし、当該生徒に改善の見込がなく、これを学外に排除することが社会通念からいって教育上やむを得ないとまでは認められない場合、当該退学処分は社会通念上合理性を欠く違法な処分(校長の裁量を逸脱した無効な処分)とされます。
 ご投稿内容からしますと、弁明の機会が十分であったのか、退学の影響の検討が十分なされたのか等疑義がありますし、処分も重過ぎるように思われます。学校側の退学勧告は社会通念上合理性を欠く違法な処分と判断される余地は十分あるように思われます(退学勧告に従わなかった場合に一定の期間が経過すると退学処分となるのか等、退学勧告の効果も確認しておく必要があるでしょう)。
 また、高校2年と1年という学年の差のみを理由に処分内容が異なるというのも本当に合理的と言えるか疑義があるところです。

⑵ 早期復学を実現するための方法について
 高校側と交渉を行う方法もありますが、学校側は一度決めた処分を生徒側との交渉のみでは覆さない可能性があります。
 そのため、早期復学を実現するための方法として、裁判所に対する仮処分の申立てという方法があります(なお、退学勧告に従わない場合には、一定期間の経過等をもって退学となる等の取り扱いになっている可能性があるため、高校側に懲戒処罰の根拠規定等を明らかにさせる必要もあるでしょう)。
 申立てに理由があると認められれば裁判所によって仮処分命令が発せられることになります(早ければ申立てから1か月以内に仮処分命令を得られる場合もあります)。
 仮処分の審理の過程で裁判所が学校側に生徒の復学を認めさせる方向での和解の勧試を行う場合もあり、復学を認めさせる内容の和解によって解決が図られることもあります。
 いずれにしても、学校問題に取り組んでいる弁護士に直接相談なさってみることもご検討下さい。