労働問題と男女間トラブル

働いている会社の社長と不倫関係にあり、妊娠しました。
子どもは流産をしてしまったのですが、妊娠発覚からこれまでの間に社長の対応に誠実さが一切感じられませんでした。電話や連絡にでない、私が担当のはずのミーティングにも呼ばない、ズームに参加させないなど、パワハラと言えるものもありました。
妊娠や流産自体はどちらか一方の責任ではありませんが、私一人が妊娠・流産を経て身体的な負担があり、また社長の不誠実さと妊娠そのものに不安を感じたことから心療内科にもかかっており、また、社長からは「今後働かせるつもりはない」という言葉もあり、仕事を失う経済的なダメージまであります。
私はこのままこの会社で働き続けることができるのであれば、とは思っていますが、それが難しいのであれば、金銭的もしくは別の方法での解決をしたいと思っています。
どのような可能性があるか、アドバイスをいただけませんでしょうか。

妊娠から流産に至るまでに発生した費用分担請求や社長の対応が不誠実であることを理由とした慰謝料請求をすることが考えられます。
ただし、ご相談者様も懸念されているとおり、在職中の請求は現実的ではないため、退職後に上記請求を行うことになろうかと存じます。
なお、不倫関係にあるとのことですので、配偶者からの慰謝料請求が顕在化するリスクを考慮する必要があろうかと思います。

レイ・オネスト法律事務所の弁護士の吉岡一誠と申します。
妊娠中絶については、相手方が相談者様に対して身体的・精神的ないし経済的な負担を和らげる努力を何らしなかったことを証明できれば、若干の金額にはなりますが、慰謝料を請求する余地がございます。
また、特に正当な解雇理由がないようであれば、未だ従業員としての地位が残っている旨を主張して、給与の支払いを求めることができます。
上記旨を相談者様から相手方に伝えて、相手方が任意に解決金の支払いをするなら良いのですが、一切支払いをしない意向であれば、裁判手続を用いる必要があり、その場合にはテクニカルな要素もあるため、個別に弁護士に具体的な相談をすることをお勧めします。

ご回答ありがとうございます。在職中の請求が現実的ではない理由は何かありますでしょうか?
また、配偶者からの慰謝料請求が発生する可能性については、ある程度は覚悟しております。ですが、社長としてはそれ(配偶者に知られること)を避けたい意思は強いようにも思います。
解雇も、不当だと思いますのでそれはそれで対応したいと思いますが、慰謝料請求の相場はどの程度が妥当と考えられますでしょうか。

・在職中の請求が現実的ではない理由は何かありますでしょうか?
⇒請求をすることは、法律的な喧嘩をすること、と考えていただくのが有用です。
 在籍したまま喧嘩をすると、会社から有形無形の嫌がらせが行われる可能性が高いため、在職中の請求は現実的ではないと考えます。

・慰謝料請求の相場はどの程度が妥当と考えられますでしょうか。
⇒社長の対応がどのようなものなのか、にもよってきます。場合によっては、認められるかどうかは別としても100万円を超える請求もありえます。

>>吉岡様
ありがとうございます。

>妊娠中絶については、相手方が相談者様に対して身体的・精神的ないし経済的な負担を和らげる努力を何らしなかったことを証明できれば、若干の金額にはなりますが、慰謝料を請求する余地がございます。

負担を和らげる努力、というのは例えばどのようなことが考えられますでしょうか?
こちらとしては、少なくとも精神的な苦痛は、先方によって増したと思っています。

>特に正当な解雇理由がないようであれば、未だ従業員としての地位が残っている旨を主張して、給与の支払いを求めることができます。

先方は、ルール違反が度を超えている、という主張です。ですが、具体的にどのようなことを指しているのかは明確ではありません。

>>土屋様
ありがとうございます。
有形無形の嫌がらせはすでに発生しております。いずれにせよ、話し合いによる和解が難しい場合は請求することになると考えています。
社長の対応がどのようなものか、が争点になるのですね。例えば精神的な苦痛を加えられた(単に妊娠の不安や流産によるものではなく、先方の対応が原因で心療内科にかかるほどになった)という主張は可能なものでしょうか?心療内科では、妊娠流産に加えて、そのような対応に精神的不安や苦痛を感じたという診断書を出すことは可能と言われています。

例えば精神的な苦痛を加えられた(単に妊娠の不安や流産によるものではなく、先方の対応が原因で心療内科にかかるほどになった)という主張は可能なものでしょうか?
⇒可能です。ただし、因果関係が争点になる見通しがありますから、診断書を書いてもらうという対応が必要でしょう。
 また、社長の対応を証拠化すること(録音等)をおすすめします。

>土屋様
ありがとうございます。
「正直流産してよかった」みたいなことを言われたりもしたので、記録には残しておくようにします。

また、先方は妊娠やそれに付随することが理由ではないというのですが、この状況で解雇は可能なものなのでしょうか。

妊娠中絶に関する費用の分担を申し出るとか、出産するかしないかなどについて誠実に協議をするといったことをせずに、一切の連絡を無視した場合などは、慰謝料を請求する余地があります。ただし、先ほどもお伝えしたとおり、妊娠中絶に関する慰謝料というのは裁判上も10万、20万円程度しか認めらないことも少なくないので、例えば妊娠中絶に関する慰謝料なども全て含めて、退職する代わりに給与月額の数ヶ月から1年分前後の相当額を解決金とする和解を提案するというのは一つかと思います。

先方は妊娠やそれに付随することが理由ではないというのですが、この状況で解雇は可能なものなのでしょうか。
⇒解雇のハードルはかなり高いです(労働契約法第16条)。
 今まで出てきた情報から判断すると、解雇の理由がないと思われます。

>吉岡様
ありがとうございます。
少なくともこちらとして「誠実な対応」ではなかったと思っております。
退職も正直納得はいっていないので、その観点での請求も含め考えます。

>土屋様
ありがとうございます。
解雇のハードルが高いということは認識しているのですが、現実問題先方がもう働かせる気がない場合、働き続けるのは難しい…ですよね。
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」という証明は、労働審判(労働裁判?)までいかないと、判断ができないという認識であっておりますでしょうか?

解雇のハードルが高いということは認識しているのですが、現実問題先方がもう働かせる気がない場合、働き続けるのは難しい…ですよね。
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」という証明は、労働審判(労働裁判?)までいかないと、判断ができないという認識であっておりますでしょうか?
⇒任意交渉段階において、解雇無効を前提とした示談が成立することもあり得ますが、示談金の額が相当高額に及ぶ見込みです。
 したがって、解雇無効を前提として任意交渉で話がまとまる可能性は高くないと思います。
 そうすると、手続は、労働審判や訴訟、いずれにせよ裁判所を舞台とすることになります。この場合、解雇の有効性の判断は、裁判所が行うことになります。
 留意していただきたいのは、働き続けることをあきらめてしまい、自ら退職届を提出することは避けるべきということです。
 退職届を提出すると、自主退職になり、解雇を前提とした争い方ができなくなるためです。

ありがとうございます。
示談金は通常、給与1年分程度が妥当なのでしょうか?

はい。退職届を出したり、退職を受け入れる発言は現時点では控えるようにしたいと思います。
2つの問題は分けて考えていく必要があるということですね。

示談金の相場は、判決に至った場合に裁判所が解雇無効の判断をする可能性がどれだけのものかによってきます。
解雇無効の判断がされると、バックペイ(解雇時から紛争解決時までの賃金)が認められるので、解雇無効の判断をする可能性が高ければバックペイ+解決金が基準となります。解決金の基準は、半年から1年程度の賃金相当額くらいだと思います。
この件は、弁護士に具体的な内容について、ご相談された方がよい事案だと考えます。