妻の自己破産手続きにおける非免責債権の強制執行について

非免責債権についてお尋ねします。妻の不貞行為が原因で調停離婚が成立しました。調停調書には、妻が私名義で詐欺による借入を行っていたクレジットカード債務を責任を持って完済する旨が記載されていました。妻は自己破産手続きに着手しております。私としては上記は非免責債権(悪意により損害を与えたもの)との認識です。どの時点で強制執行を行うのが適切でしょうか?

どの時点で強制執行を行うのが適切でしょうか?
→非免責債権の認定は通常ハードルが高いため、破産開始決定が出されると強制執行に対して中止命令の手続きが取られます。
したがって調停調書記載の債権を回収したいのでしたら、可能な限り早く強制執行の手続きを取るべきでしょう。

破産手続開始決定後は、強制執行の申立はできず、すでに申立がされている強制執行は中止することになります。ですので、早めに強制執行申立てをするのがベターではあるものの、元妻の準備状況次第では、なかなか難しい展開となるように思われます。

なお、元妻の破産免責後に強制執行を試みることも考えられます。元妻は貴方の強制執行に対して請求異議訴訟を提起し、破産免責を受けたことを主張、これに対して貴方は非免責債権に該当するとの反論を行うことになります。

なお、念のため補足ですが、強制執行手続によって債権を回収した後に破産手続開始決定があった場合、債権者が債権回収時に債務者の支払不能を知っていれば、破産管財人によって否認されることもあり得ます。貴方が元妻の準備状況等を認識していることは貴方に不利に作用する可能性もあります。

倉田先生、高橋先生、ご回答ありがとうございます。非免責債権の認定はハードルが高い点は理解出来ました。
確認ですが代理人弁護士から私宛に破産申し立ての受任通知が来た時点で、調停調書の債務不履行となるのでしょうか?
現時点で、裁判所へ強制執行(給与の差押え)を申し立てる事は可能でしょうか?

債務者の代理人弁護士による債務整理の受任通知は支払停止にあたるとされており、これにより債務者の支払不能が推定されることになります(ただし、支払停止後1年以内に破産の申立てがあった場合に限られます。)。
現時点で強制執行申立ては可能ではあるものの、申立てによる強制執行中止の可能性や(受任通知後1年以内に破産申立てがなされた場合における)否認権行使の可能性については想定しておく必要があると思われます。

高橋先生、詳しくご説明頂きましてありがとうございました。家庭裁判所へ強制執行の申し立てを検討します。