成年後見人を変更したいのですが、可能でしょうか?

8年前に私の祖父が亡くなりました。家族構成は祖父・妻である祖母・息子・娘(私は娘の子です)でした。祖父は亡くなるまで会社を経営しておりましたが、親族で会社を継承する者がいなかったため、長年会社を支えてくれていた従業員に会社を継いでもらうことになりました。祖母は当時から認知に問題が出始めていたため、祖母の相続財産である会社と建物等の売買にあたり、金額の問題から家族では取引にあたり後見ができない・親族以外の成年後見の補佐が必要であるとの税理士からのアドバイスで、祖父の取引銀行から紹介された東京都の司法書士に成年後見をお願いしました。
滞りなく会社の移譲も相続税の納付も終了し、ここまでは問題がありませんでした。

その後、祖母は娘である私の母の自宅の近くに購入した高サ住に入居し、暮らしています。
母は毎週1回以上祖母の所に訪れ、祖母の身の回りや体調について施設の方と連携し、祖母と散歩し話し相手になっています。現在祖母の資産は、預貯金のみ・金銭の動きは年金の入金と施設への食費水道光熱費の支払の出金がメインで、毎月施設に洋服等を販売にくるお店で買い物をすることもありますが、年に1、2回程度3万円以内です。
年末年始やお盆には娘である母の家に滞在し、親族で過ごしています。現在は面会制限等ありますが、コロナの影響が出る前はこのような数年間でした。
成年後見をしている司法書士は一度も祖母を訪れたこともなく、体調の様子も知りません。そういった祖母の現状確認等の問い合わせが家族や施設に入ることもなく、必要書類等があると司法書士から母に電話があり、母が施設や市役所に赴き準備をして司法書士に送っています。施設も祖母の体調に変化があれば、母に連絡をくれます。家族関係は良好ですし、もちろんそうしてもらいたいのですが、大きな資産の移譲等ももうないので、司法書士を介在する理由がもう無いように感じています。

実際に世話をしているのは施設の職員さんと母と父ですし、祖母の治療や施設での対応変更などは母と伯父(祖母の息子)で相談し決めています。このような状況で司法書士に通帳を預けているだけで毎月数万円を祖父と祖母が築いた財産からお支払いすることに疑問を感じています。
また、会社の移譲の際には、会社を継いでくれた方に「俺は司法書士だぞ?」と恫喝する態度をとったこともあり、家族としては、成年後見をやめるなり、母を後見人にするなどの変更を希望しています。
今から親族に後見人を変更することは可能でしょうか?
まだ司法書士には連絡をしていませんが、こうした変更が可能なのか、司法書士が拒否した場合、弁護士さんに依頼して解除の申立など家裁にすることは可能でしょうか?
よろしくお願い致します。

たしかに成年後見人の役割には身上監護と財産管理の双方が含まれますが、現在の成年後見人の報酬基準ですと、管理財産額が1000万円~5000万円の場合、月額3万円~4万円、管理財産額が5000万円超の場合、月額5万円~6万円と機械的に決められている部分がありますので、司法書士の成年後見人が身上監護部分を事実上ご家族に任せてしまうというのは心情的に理解できます。

司法書士の先生の標準的な時間単価はあまり分かりませんが、弁護士の場合、少なくとも1時間当たり2万円の報酬が標準的ですので、一般的には現在の成年後見人の報酬基準で身上監護の部分までカバーするのはボランティアに近いところがあります。もちろん身寄りがいない等のやむを得ない事情があれば、身上監護の部分も半ばボランティアとして真摯に取り組む弁護士が大半だと思いますが、ご家族が身上監護の部分をケアできる状況であれば、その司法書士の先生同様、事実上ご家族に任せてしまう弁護士は珍しくないように思われます。

いずれにせよ、管理財産額が一定以上の場合、おおむね財産額に応じて弁護士又は司法書士を成年後見人に選任する必要がありますので、司法書士から親族への後見人の変更は基本的にできないと考えていただいた方が良いかと存じます。現在の後見人を解任して他の司法書士や弁護士に変更するというのも現在の後見人に相当の落ち度がないかぎりは難しいかと存じます。その司法書士の先生と話し合って家庭裁判所の許可を得て辞任してもらう形で他の司法書士や弁護士に変更することは考えられますが、ご不満の根源が身上監護の部分をケアしてくれないという点にあるのであれば、また同じ結果になるようにも思われます。

身上監護の部分が反映されにくい後見人の報酬基準について見直す動きがありますが、結局のところ、反映されるということは身上監護の部分について追加で報酬を出さなければならなくなるわけですので、基本的に司法書士や弁護士に動いてもらうためには相応の報酬が必要になるということをご理解いただく必要があるかと存じます。

お返事ありがとうございます。
報酬基準があるのは存じているのですが、実際のところ年1回の家裁への報告以外は何もしていない・祖母の様子や体調を案ずることもない方に月々数万円の報酬、現在までに500万円以上の報酬が支払われています。
成年後見人には身上配慮義務があると思っていたのですが、8年間一度も面会にも来ずに様子を何も把握していないことは欠格事由にはならないのでしょうか?
身上監護は家族に任せるというのは、仮に私達家族や施設職員が祖母を不当に扱って虐待していたとしても、知らぬ存ぜぬという状況になると思います。その点は家族に丸投げで、財産管理は家族に任せられないというのは辻褄が合わず、それでは成年後見制度の趣旨に反すると思うのですが。。

ご指摘の点は現状の成年後見制度の問題点の一つだと思いますが、一般論としては、家族や施設がグルになって被後見人のかたを虐待する可能性よりも、被後見人が相応の財産をお持ちだと家族が自分のために費消してしまう可能性が高いという前提があるようにも思います。

いずれにせよ、8年間面会に来ていないという理由だけでは家裁が「不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由がある」として解任を認めないのではないかと思われますし、そもそも選解任の権限が家裁にあり、後見人の辞任にも家裁の許可が必要であることからもお分かりのとおり、語弊があるかもしれませんが、後見人は家裁の手足のようなもので被後見人の家族から依頼を受けているわけではないので仕方がないと割り切ってしまわれた方が少しはお気持ちが楽になるのではないかと思われます。同様の理由で後見人報酬についても、被後見人が後見人の働きに対する対価として支払っているというよりも、後見制度という枠組み自体の利用対価として半ば税金が課されているかのように捉えた方が良いかもしれません。実際、後見人報酬も家裁が決めていますので。

原則として、後見人に不適格だと言えるような行為がないと
変更はできません。
ただ、被後見人との財産との兼ね合いで、報酬を支払うと
被後見人の生活が維持できなくなる可能性があったり
相続人となる予定の人たちが全員一致で特定の身内の者を成年後見人をすることに
同意していて、その人物は無償で財産管理を適切に行えるという事情があったりすると
変更が認められる可能性はあります。
私は、一度地方の案件でしたが、認めてもらった経験はあります。

誰が成年後見を申し立てて、どうして身内の者が成年後見人に選任されなかったのか
わかりませんがその辺の事情も変更が認められるかどうかに関係してくると思います。

弁護士に面談で相談された方がよいと思います。