相続トラブル:兄の未払給与主張とマンション贈与問題
相続の事で困っています。
兄は、亡くなった父からマンションの生前贈与を受けていました。
証拠は、公証人役場の印を押した贈与契約書があります。贈与税も払っています。登記の理由に「贈与」と記載されています。
父は、贈与税を少しでも安くするために、まず父名義で兄夫婦の自宅マンションを購入し、数年後にマンションを兄に贈与するという方法をとりました。
兄はそのことを妹である私に隠していたのですが、私は父から聞いて知っていました。
先月の中旬に父が亡くなって相続の話が出たときに、兄はマンションを買うお金を父に出してもらった事を私に話さず、相続財産の二重取りをしようとしました。
私が父から聞いて知っていると伝えると、兄は、「お父さんが、未払給与で僕のマンション購入代金を支払ったんだ!」と言い出しました。
兄は父の会社で働いていました。(と言っても、従業員は雇っていなくて、父と兄の二人きりです)
兄は「自分の給与(H5からH15年の総額)は、確定申告上の額面が5,000万円なのに手取りが2,300万円しかなかった。だから未払給与の総額は2,700万円もある。そこでお父さんは、ぼくの未払給与でH15年に僕のマンション代金を支払ったんだ!」と言ってきたのです。
お気付きだとは思いますが、兄は額面給与と手取りの差額を未払い給与だと言っており、天引きされた税金や社会保険料のことを考慮していません。
そのことを兄に言ったら、計算しなおして「未払い給与の総額はH5からH14で2,400万円だ。お父さんはそのお金で僕のマンションを買ったんだ。」と言ってきました。
分かり易くいうと、「父が、兄に天引き後の給与を支払う方法として、父名義で兄の自宅マンションを購入し、数年後に贈与税を何十万円も支払って兄に贈与したのだ!」と言っているのです。
私は父から未払給与の話など聞いたことがありません。
それに、税引き後の兄の給料を使って父名義で兄のマンション買って、贈与税を払って兄に贈与する???意味がわかりません。
弁護士先生に教えて頂きたいのは・・
① 兄は未払給与の期間や総額をコロコロ変えています。父の死後になっても未払給与の総額が定まりませんが、もし父がH15年に未払給与からお金を出したとすれば、H15年までの未払給与の総額はその時点で確定していると思うのですが、いかがですか?
② もし裁判になった場合「父が、兄の納税済・社会保険料納付済みの給与=未払給与から兄の自宅マンション代金を支出して、父名義で購入した」・・と裁判官が認める可能性はありますか?
③ 仮に「未払給与」が本当にあったとしても、『父が』未払給与からマンション代金を支払っていなければ、マンション代金は特別受益になりますか?
④ マンション購入代金が特別受益として認められたとしたら、仮に未払給与があったとして、それは時効になりますか?
ということです。ちなみに、父から兄への給料は銀行振り込みではなく、現金で手渡しでした。兄が未払給与の証拠として見せてきたのは「父の通帳」のみです。(兄は父の他の口座を隠している可能性が高いです。)
この通帳の出金の小書きに兄の名前が鉛筆で書かれているだけで、給与とかボーナスといった内容は一切かかれていません。
また、兄は「給与支払明細書はない」といいます。自分の通帳も見せません。
お忙しいところ恐縮ですが、教えて頂けるとたすかります。
どうぞよろしくお願い致します。
①その通りだと思います。
②可能性といのはゼロとは言えません。
ただ、公証人役場の印を押した贈与契約書、贈与税の支払事実、登記に「贈与」と記載されていること、の証拠からして、兄の主張は通らないようには思います。
③④その通りだと思います。
話し合いで折り合わなければ、遺産分割調停を申し立てて進めるのがベターのような気がしますね。
① 兄は未払給与の期間や総額をコロコロ変えています。父の死後になっても未払給与の総額が定まりませんが、もし父がH15年に未払給与からお金を出したとすれば、H15年までの未払給与の総額はその時点で確定していると思うのですが、いかがですか?
そのとおりだと思います。
② もし裁判になった場合「父が、兄の納税済・社会保険料納付済みの給与=未払給与から兄の自宅マンション代金を支出して、父名義で購入した」・・と裁判官が認める可能性はありますか?
源泉所得税・社会保険料分は、未払い給与とは言いません。
その期間の源泉所得税や社会保険料について国や社会保険事務所から会社が未払いとして請求されたかどうかが問題となるのであって、兄に未払いと言われるものではありません。
そもそも法律上、会社と父は別な法人格として取り扱われます。
③ 仮に「未払給与」が本当にあったとしても、『父が』未払給与からマンション代金を支払っていなければ、マンション代金は特別受益になりますか?
未払い給与が本当にあったとすると、その返済のためにマンションを渡して、その価格が未払い給与と同じくらいであれば、特別受益にはなりません。
しかし、未払い給与の存在については兄に主張立証責任があります。
書かれた事情からは、未払い給与の存在を証明することは難しいのではないかと思います。
弁護士に面談で詳しい事情を話して相談された方がよいと思います。
話し合いでは決着がつかなさそうなので、調停や審判で解決されたら良いと思います。
④ マンション購入代金が特別受益として認められたとしたら、仮に未払給与があったとして、それは時効になりますか?
早速のご回答、ありがとうございます。
私の文章が足りなかったようなので補足致します。兄が主張する「未払給与」とは、「各種税金・社会保険料を天引きされた後の手取り額を、満額もらっていない」という意味です。
ですが最初、「未払給与の総額=額面ー手取り」である。と主張していたのに、私に天引きは?と指摘されると「未払給与の総額=額面ー天引き額ー手取り」と変えてきたこと自体、信じられません。
そのコロコロ変わる未払給与の総額について、父が認めていたはずがありません。
また、父が、息子の「天引後の手取りの給与」で父名義でマンションを買って、後に贈与税を払って息子に贈与した・・だなんて、あり得ますか?
納税済みの給料でマンションを買って贈与税を払いますか?
仮に未払給与(納税済)がほんとうに存在して、父が支給したのなら「現金」で兄に支給して、兄は受け取った給料でマンションを買えば贈与税なんて払う必要はなかったのです。
それと『未払給与の時効』についてですが、兄は「平成15年以降も、毎年少しずつ未払給与がある」と言い出しました。
(催促は父に対してたまに口頭でしたことはあったかもしれないが、メールや手紙などの後に残る形では催促したことはないそうです)
未払給与は令和6年の分まであるそうです。
ですが、相変わらず給与支払明細書も見せないし、自分の通帳も見せません。
もし、仮に未払給与が平成15年から毎年毎年続いていた・・・あったことが証明されたとして、時効にならないのは令和6年・令和5年・令和4年の3年分だけでしょうか?
ややこしい長文を読んで下さり、ありがとうございます。
先生方の貴重なお考えを教えてください。
給与であれば、時効は3年です。
役員報酬であれば5年ですね。
給与の未払いを、マンションを贈与したとうのは、なかなか無いことだと思いますから、その主張が認められるのは難しいと思いますよ。
マンションを買うお金があるのであれば、お父さんが会社に貸すなりして、会社から兄に未払い給与を払い、兄がそのお金でマンションを買えば、贈与税は不要ですから。
いずれにせよ、遺産分割調停を見据えて、弁護士に相談するのが良いと思います。
有難うございます。たいへん勉強になります。
私は、この問題の重要なポイントは、未払給与があるかないかではなく、「父が兄の未払給与で父名義のマンションを買ったかどうか」だと理解したのですが、これで合っていますか?
だって、例え未払給与があったとしても、父がそこから支出していなければ、未払給与は時効になるのだったら、争点は「父が未払給与で買ったか否か」ですよね?
先生、私の考え方は合っていますか?
この問題の重要なポイントは、未払給与があるかないかではなく、「父が兄の未払給与で父名義のマンションを買ったかどうか」だと理解したのですが、これで合っていますか?
だって、例え未払給与があったとしても、父がそこから支出していなければ、未払給与は時効になるのだったら、争点は「父が未払給与で買ったか否か」ですよね?
私の考え方は合っていますか?
ちょっと違っていると思います。
未払い給与で買うということはどういうことかちょっとわかりません。
未払い給与があった場合、未払い給与は時効になっていても、お父さんが時効を援用せずに、未払い給与があることを認めて、代物弁済として、未払い給与の支払の代わりにマンションで弁済するということはあり得ます。
ただ、未払い給与の支払の代わりにマンションを譲渡するのであれば、贈与でなく代物弁済となるはずで、未払い給与の支払としてマンションを贈与したということはないと思います。
未払い給与があったかどうか、未払い給与の支払の代わりに贈与したのかという点が
本件の争点となります。
ただ、争った場合相手は未払い給与の存在等は立証できないし、そのために贈与したということも証明はできないのではないかと思います。
父は、「マンションを買う金を出してやった。贈与税を安くするために、いったん自分名義で購入して数年後に兄に贈与してやった」と言っていました。
兄は、「父が僕の未払給与で僕のマンション購入費用を出した」と言っています。
>お父さんが時効を援用せずに、未払給与があることを認めて代物弁済・・
父が兄の自宅マンションを購入した平成15年までの「未払給与の総額」が、父の死後になってもコロコロ変わるのですが、この状況で未払給与を父が認めていた可能性がありますか?
また、すでに所有しているマンションを給与の代わりに弁済したのではなく、兄に贈与するために父が【現金】でマンションを購入しています。
兄はその時の【現金】を、各種税金・社会保険料を天引きされた後の自分に支払われるはずの給料だった・・と言っているのです。
息子の「納税済み給与」を使って自分名義でマンションを買って、数年後に贈与税を払って息子に贈与した・・なんてあり得ますか?
だから私は、争点は「父が息子の未払給与でマンションを買ったかどうかだ」と思ったのですが・・・
ややこしくて申し訳ございません。
相手方の主張がおっしゃっているような主張であれば、
おそらく、相手の言い分は通らないと思います。
ただ、任意の交渉では相手は認めないでしょうから
裁判所で調停や審判をしないと進まないと思います。
弁護士に面談で詳しい事情を話して相談し、依頼された方がよいと思います。
お忙しい中、ご回答下さりありがとうございます。
私が弁護士先生にお願いすると、兄も弁護士先生に依頼する事になると思いますが、兄に弁護士先生がついた場合、兄はこんなムチャな主張をしなくなると思われますか?
私が弁護士先生にお願いすると、兄も弁護士先生に依頼する事になると思いますが、兄に弁護士先生がついた場合、兄はこんなムチャな主張をしなくなると思われますか?
お兄さんの依頼した弁護士次第となります。
お兄さんの主張を裁判所に通りやすいように整理して主張してくる可能性はあります。
お兄さんが今主張していることについては、メール等で残っているでしょうか。
後でお兄さんが交渉のときにはこのように言っていたと証明できるようメール等が残っていたら
証拠として提出するために残しておいた方がよいと思います。
>お兄さんの主張を裁判所に通りやすいように整理して主張してくる可能性はあります。
「整理」する・・というのは、「変えてくる」という意味合いでしょうか?
>証拠として提出するために残しておいた方がよい
御助言、有難うございます。兄とのやり取り・「兄の主張」などが書かれたメールは、すべて保存しました。
ラインではなくパソコンのメールでのやり取りなので送信日時もバッチリです。
お忙しい中、先生方にはいろいろと親切に教えて頂きまして、大変感謝しております。
この相談内容を兄に見せて、もう一度話し合ってみます。
それでもダメなら遺産分割協議ですか・・・兄妹なのに調停とかあり得ないと思いますが、そのあたりのことも考えておかなくてはいけませんね。
この度は本当にありがとうございました。大変参考になりました。
和田先生、高島先生・・どちらにもベストアンサーをお送りしたいのに、そうできない事が心苦しいです。