相続手続きにおける相続放棄の必要性と相続税額について

今年3月に母が亡くなり、相続の手続きが進んでいません。
相続人は、私の父と私を含めて兄弟3人です。

先日、父が税理士に相談し、相続税がかからないようにするために、父がいったん全額相続する形にしたいので、
相続放棄をして欲しいと連絡がありました。

父の話では、遺産総額が6千万円程度との事でしたが、調べてみると遺産総額が6千万円だと、相続税額もそんなに高くないので、話が少し変だなと思いました。

私も子供が居て、家のローンの残債もあるので、相続できるものは今で相続しておきたいと思っています。

・相続税の節税のために、私が相続放棄をする必要があるのでしょうか?

・配偶者と子供3人の相続で、遺産総額6千万円の相続税額は、高額なのでしょうか?

・一応、相続にも使える3割負担で110万円まで保証される弁護士保険に加入していますが、家族の事なのでなるべく話し合いで済ませたいと思っていました。どの段階で弁護士さんに依頼するのが良いでしょうか?

・弁護士さんにお願いした場合、費用の相場はどのくらいかかるものでしょうか?

お手数をおかけしますが、よろしくお願います。

お母さんの相続で、今回若干ですが、相続税がかかると思います。遺産総額が6000万円から基礎控除として3000万円+600万円×相続人数(今回は4人)=5400万円。従って、今回のお母さんの総相続税額は、6000万円-5400万円=600万円を4人が法定相続分で相続したとした場合の4人の各相続額に従って相続税額を仮に算定しそれを足し合わせて算出します。そして、各相続人の具体的相続額を遺産総額で割った割合を算定した総相続税額に掛けると各相続人の相続税額が算出できます。もし、お父さんがお母さんの遺産全部を相続する場合は、お父さんの相続税額は全部の税額となります。ここで配偶者は、遺産総額の2分の1(法定相続割合)か1億6000万円までなら税金は掛からないという配偶者控除の特例があります。これによれば、お父さんが相続するのがおかあさんの遺産全部の6000万円であれば、1億6000万円の範囲であるので、お父さんの支払うべき相続税額は0となります。これがお父さんが、子たちが相続放棄(法的な放棄ではなく相続する財産はなしとする遺産分割協議として暮れの意味と思います)してくれたら税金がかからないという意味だと思います。
なお、基礎控除を除した600万円でどれほどの税金となるかですが、相続税率は相続分として取得する金額が低ければ(お父さん300万円、あなた達子供が各100万円。)、贈与税と比べて低率ですから、せいぜい数十万円というところかと思います。それから、遺産総額の中に入っている住居用の土地の評価額を20パーセントに圧縮して算定することも認められています(たとえば1000万円の土地を200万円として算定して遺産総額の計算ができるー小規模宅地の特例)から、6000万円のうちその土地の比率が大きければ、6000万として算定した遺産総額はもっと低くなり、これが基礎控除の5400万円を下回ることになれば、基本的に相続税は掛からないことになります。お父さんがこれを知って放棄を言っているとすると少々お父さんの意図が怪しくなります。

齋藤先生、ご回答ありがとうございます。
母は幹線道路沿いに、建物付きの土地を持っていたので、そのせいで高くなっているのかと思っていたのですが、圧縮して算定できる制度もあるのですね。
父は自分の経営する会社の税理士に相談して話を進めているので、制度や税額を知らずに放棄を言ってきてるわけじゃなさそうですし、相続財産の目録も提示されてないので、意図を疑ってこちらも相談させていただいたり、いざという時に交渉に入ってくださる先生を探しておいた方が良さそうですね。
詳しく、税額や制度のご説明をいただき、大変参考になりました。