相続時精算課税制度と相続、遺留分放棄について

母から相続時精算課税制度を利用して、父に言わずに、子へ2000万の贈与を受け、その際に母にすべての財産は子へのこすと遺書を書いてもらい、さらに遺留分放棄の手続きを父にもしてもらった場合、実際母が亡くなったときに、父が遺留分放棄を帳消しにして相続の請求をすることはできるのでしょうか。また、できる場合は贈与されたお金(父の遺留分500万円分)についても請求されるのでしょうか。

【結論】
いったん放棄した遺留分を請求されることはありません。

【理由】
遺留分を有する相続人は相続の開始前にあらかじめ遺留分を放棄することができますが、家庭裁判所を利用したきちんとした手続をとることが重要です。

手続の流れや費用については裁判所HPに書かれていますので、抜かりなくご準備されることをおすすめいたします。

裁判所HP
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_26/index.html

馬場先生、ご返信ありがとうございます。
しっかり手続きが出来れば請求されることはないと伺い安心しました。

もう少し伺いたいのですが、父が遺留分放棄をしないまま母が亡くなった場合、生前贈与されたお金に対して、相続?返金?の請求は出来るのでしょうか。今回子への贈与は父へ知らされないまま行われます。ただ父は母がお金を持っていることを知っています。なので、母が亡くなったときにそのお金の行き先を知り、相続分を請求してくることがあると思います。
今回贈与する理由は、両親が持っているとすぐに使い切ってしまう可能性があり、他に財産が無いため、それを防ぐために一旦預かり、毎月母へ生活費としてその中から渡す予定でいます。なので、後々請求されても渡すお金がない可能性が高く、もし渡さなくてはならなくなった場合、子の貯金から出すことになります。これを防ぎたいのですが方法はありますでしょうか。
よろしくお願いします。

「父が遺留分放棄をしないまま母が亡くなった場合、生前贈与されたお金に対して、相続?返金?の請求は出来るのでしょうか。」

→遺産分割協議の際に特別受益の主張をしてくることが考えられます。返金は求められませんが、遺産分割において不利になってしまいます。

「今回贈与する理由は、両親が持っているとすぐに使い切ってしまう可能性があり、他に財産が無いため、それを防ぐために一旦預かり、毎月母へ生活費としてその中から渡す予定でいます。なので、後々請求されても渡すお金がない可能性が高く、もし渡さなくてはならなくなった場合、子の貯金から出すことになります。これを防ぎたいのですが方法はありますでしょうか。」

→こういうニーズに対応するために信託という制度があります。金額が大きいと課税面で心配なので、税理士などお金の専門家に相談されることをおすすめします。

馬場先生、ありがとうございます。
特別受益についてですが、母の全財産はこの2000万のみになります。母は年金もなく、その他の現金や不動産、株もありません。毎月渡すお金の残があればそれだけになります。
その場合、父が返金の請求は出来ないということであれば、相続するものもこれ以上ないので、こちらが負担になるものも損をするものもはないと考えてよいでしょうか。
よろしくお願いします。

そうですね。
特別受益分が法定相続分を超えても返還する必要はないので、そういった意味ではご理解が正しいかと思います。

馬場先生
都度わかりやすくご回答いただきありがとうございました。安心しました。
信託など、教えていただいたことを踏まえて対策をねろうと思います。
ありがとうございまました。