飲食・店舗事業者|賃料・家賃交渉の方法を教えて下さい

コロナ影響で最も被害を受けている業種の一つが飲食業です。
飲食業はFLコストと呼ばれる仕入れ原価や人件費を合わせた変動費と、家賃や内装・設備の減価償却費などを合わせた固定費でコストが構成されているケースが多いと伺います。

休業補償を使い人件費の一部を賄えるものの、特に都市部の地価が高い立地だと、家賃を中心とした固定費の支出を抑えないと店舗経営は立ち行かない状況です。
一方で、福岡市は8割補償、東京都は最大100万円補償といった休業補償を打ち出しています。
この他の地域であったり、この補償額では足りない場合、店舗経営を持続するために貸主と交渉しなければならないかと思います。

そこで次のことを、ご教示頂けますでしょうか。

① ビルオーナー(貸主)へ家賃交渉をするときの良い方法・注意点があれば教えて下さい

② 資金繰りが厳しく、家賃をしばらく支払えなかったら差押えや強制退去などになりますか?

③ 自社では家賃交渉がうまく行かないとき、弁護士の方に依頼することで交渉が進むことはありますか?弁護士の他に相談したほうが良い相手・窓口などもあれば教えていただきたいです

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本投稿は、
・ココナラ法律相談編集部が質問文を投稿し、弁護士から一般的な回答を得ています
・コロナショック(事業者向け)に関する法律Q&Aのまとめに掲載されます

いまやってますが、借地借家法32条に基づく減額請求ですね。
経済事情の変動により、を使いますね。
国交省も3月31日テナントオーナーに対して、家賃徴収猶予
を要請しましたね。
これから、追い風が吹きますね。
事務所、店舗の次は、住宅に波及する可能性があります。

① ビルオーナー(貸主)へ家賃交渉をするときの良い方法・注意点があれば教えて下さい
→オーナーから、契約書通りの対応をされたらそれまでです。
 契約書通りに対応をされれば、コロナの影響だからといって、家賃を滞納することはできず、賃料の減額を請求することも「経済的事情の変動」(借地借家法32条)が認定されない限り、法的に認められることは難しいでしょう。家賃交渉は、実情を話して、減額または猶予をお願いするというスタンスになります。

② 資金繰りが厳しく、家賃をしばらく支払えなかったら差押えや強制退去などになりますか?
→まずは、オーナーは、任意で、請求をかけてくるでしょう。それでも、支払えないようであれば、オーナー側も法的措置に入ると思われます。

③ 自社では家賃交渉がうまく行かないとき、弁護士の方に依頼することで交渉が進むことはありますか?弁護士の他に相談したほうが良い相手・窓口などもあれば教えていただきたいです。
→ケースバイケースです。
 弁護士に依頼することも一つの手ではありますが、大きな効果は期待できない場合もあります。
 オーナー側も商売ですので、減額交渉に応じてまで、賃借人を残した方がいいのか、それとも、減額や猶予に応じず、粛々と明渡しを求めてくるかは、オーナー側のビジネスジャッジによります。

鹿野先生
ご回答いただきありがとうございます。

>① →あまり強引な方法で不払いや減額、猶予を主張することはできませんし、するべきではないと思います。

あくまでお願いベースでの交渉ということですね。
「コロナウィルスで収入が不安定だから払えない」という主張は、基本的にはしないほうがよいとのこと、理解いたしました。

>② →差し押さえや強制退去は債務名義が必要になるので、いきなり差し押さえや強制退去が行われるのではなく、その前にお話合いや裁判手続きがあります。

コロナ以前に、これまで滞納があったかどうかからも判断をされるのですね。
たしかに、信頼関係がそもそも崩れている状況で滞納した場合、コロナウィルスを理由に訴えても、認められないのは当然かと思いました。

>③ →あくまでもお願いベースなので、弁護士をいれたからといって法的に解決が見込まれるわけではありません。あとは、厚生労働省が出している住居確保給付金という制度は、今回コロナ問題を受けて利用要件の緩和があるようで、こうした制度の利用等も検討してみてもいいかもしれません。

住居確保給付金の利用要件緩和について、ご教示いただきありがとうございます。
どんな要件が対象となるのか、調べてみます。
ご教授いただきありがとうございます。

内藤先生

ご回答いただきありがとうございます。

賃料の増減額請求権というものがあるのですね。
また、3月31日に国土交通省がビルテナントの賃料徴収猶予を要請すると、発表していた記事を拝見しました。
売り上げが減少している飲食店(テナントの業種は絞らない)などから相談があった場合に柔軟な対応していただける可能性があるとのこと。
ご教授いただきありがとうございました。

萩生田先生

ご回答いただきありがとうございます。

①実情を話して、オーナーさんの了承をえたら減額または猶予もあるかもしれませんが、基本的には契約書通りで、コロナを理由とした主張は難しいようですね。

② いきなり強制退去などはない、話し合いや請求に応じない場合は強制退去される可能性があるとのこと、理解いたしました。

③ オーナー側さんのビジネスジャッジということで、弁護士が介入することで必ずしも交渉が上手くいくとは限らない。減額や猶予に応じず、明渡しを求めてくる可能性があるということも、勉強になりました。

詳細にまとめていただき、ありがとうございました。

① ビルオーナー(貸主)へ家賃交渉をするときの良い方法・注意点があれば教えて下さい
【回答】
家賃交渉に応じるかどうかは貸主次第ですので,貸主の理解を得られるかどうかが非常に重要です。
したがって,自社の現状を具体的に説明するなどして,理解を得られるよう丁寧に対応するべきです。
また,貸主側からすれば,減額だけを抽象的に求められても,応じるべきかどうか判断ができないという可能性もあり得ます。
そこで,減額を求める金額,期間やその他の条件については,できる限り具体的な提案をして交渉するべきだと思います。

② 資金繰りが厳しく、家賃をしばらく支払えなかったら差押えや強制退去などになりますか?
【回答】
滞納が続いたとしても,いきなり差押えなどになることはありません。
家賃の支払いや明渡しを求める内容の裁判が行われ,それを認容する判決が出てしまった後は,差押えなどになる可能性があります。

③ 自社では家賃交渉がうまく行かないとき、弁護士の方に依頼することで交渉が進むことはありますか?弁護士の他に相談したほうが良い相手・窓口などもあれば教えていただきたいです
【回答】
①で回答したとおり,弁護士に依頼しても,家賃交渉に応じるどうかは貸主次第です。
もっとも,弁護士であれば,依頼者の主張を整理して分かりやすく貸主へ伝えることができますし,交渉に対する真摯な姿勢を示すことができます。
また,交渉を弁護士に任せることで負担が軽減されるため,その分,自社の経営などに集中することも可能となります。
一方で,貸主によっては弁護士が介入することに抵抗を感じる可能性もあるため,注意が必要です。
国・自治体・日本政策金融公庫などが行っている融資や助成金を利用する手段もありますので,参考にしてください。

【質問①:減額交渉の注意点】
そもそも法律上の賃料減額請求権は,目的物の滅失がある場合や,地価や公租公課の変動等から賃料額が不相当になった場合を想定したものです(民法609〜611条,借地借家法32条)。
今回のコロナ等による賃借人の減収は,こうした法律の規定する減額請求には当たらない可能性が高いため,交渉をするとしても,法的な権利行使ではなく,あくまで任意での話し合いになるかと思われます。

話し合いの際には,大幅または無期限での変更では,賃貸人の不利益も大きく,折り合いが困難になると思われますので,期間制限をつけた上で,支払猶予や分割支払いを求める方法が現実的かと思われます。また,破産等になれば,賃貸人の不利益も大きいため,経済状態に関する説明等は,ある程度されるべきかと思われます。

【質問②:法的措置の可能性】
差押え,及び,債務不履行に基づく解除及び物件の明渡し請求,いずれも考えられます。

解除及び明渡しの請求に関しては,契約上の定めにもよりますが,1,2か月程度の遅れであれば認められない可能性はあります。もっとも,賃貸借契約は,当事者間の信頼関係が重視されるため,これまでの経緯や関係性に照らし,信頼関係が破壊されたとみられる場合には,短期間でも解除の主張が通る場合もありますので,注意が必要です。
また,賃料の差押えは,通常,訴訟を経た上でなされるため,近々で差押えを受ける可能性までは低いかと思われます。
もっとも,支払い状況に不安があれば,訴訟に先立って預金等の仮差押えに臨んでくる可能性はあり,また,支払いの遅れ自体,前述した契約解除等の原因にもなり得ます。

法的措置を実施された後では,感情のもつれ等から,減額交渉等も難しくなりますので,法的措置が実施される事態は避けた方が良いかと思慮いたします。

【質問③】
交渉等にも慣れているため,弁護士に依頼して交渉される方法は考えられます。
また,当事者同士での話し合いが難しい場合,民事調停やADRを利用する方法も考えられますが,現在の情勢ですと,時間がかかる点がネックになるかと思われます。

なお,有償での交渉代理は弁護士以外は行えず(弁護士法72,73条),違反すれば刑事罰等もありますので,弁護士以外の無資格者に交渉を依頼されるのは控えた方が良いかと思慮いたします。

① ビルオーナー(貸主)へ家賃交渉をするときの良い方法・注意点があれば教えて下さい
・・・家賃債務について
支払い義務について 危険負担の問題ですが 新型コロナ問題が 借主側の免責事由には該当せず 支払い義務はあることになります。
家賃減額請求について 新型コロナ問題だけで 家賃の減額事由と考えることは難しいです。

② 資金繰りが厳しく、家賃をしばらく支払えなかったら差押えや強制退去などになりますか?
・・・法律的には その可能性はあります。
家賃減額請求は その請求をした時点で減額の効力があるとは考えられますが それが適正賃料と大きな開きがあるとなれば 結局 賃料不払いによる契約解除事由に該当してしまうことになります。

③ 自社では家賃交渉がうまく行かないとき、弁護士の方に依頼することで交渉が進むことはありますか?弁護士の他に相談したほうが良い相手・窓口などもあれば教えていただきたいです
・・・ただし 飲食店などの営業自粛が求められている 現状では交渉の余地はあると思います。
国土交通省のビルテナントの賃料徴収猶予を要請や固定資産税納付時期の延期等の政策が打ち出されている中で テナントに犠牲を強いることが許されるのか 家主にとっても訴訟までしてテナントを追い出すことのメリットがあるのか 弁護士に相談して家主側と交渉されるのが良いと思います。

本庄先生

ご回答いただきありがとうごいざます。
やはりオーナー様のご意向によるので、交渉は基本的に人それぞれの状況で変わりそうですね。
貸主によっては弁護士が介入することで、逆に関係が悪化してしまうということも納得です。
国・自治体・日本政策金融公庫などが行っている融資や助成金についても、ご教授いただきありがとうございます。

青山先生

詳細にご回答いただき、ありがとうございます。
コロナ等による減収では、減額請求には当たらない可能性が高いようですね。
民事調停やADRを利用する方法もあること、勉強になりました。
解決までに時間がかかると、コロナで苦境に立たされている方にとっては難しいですね。

森田先生

ご回答いただき、ありがとうございます。
営業自粛が求められている飲食店などでは、交渉の余地があるかもしれないのですね。
貸主にとっても、訴訟までしてテナントを追い出すことのメリットがあるのかという状況を加味して、上手く交渉することも可能ということ、理解いたしました。