景品表示法について教えてください。
ネットショップ(個人)で○○円の商品を購入ごとに1口抽選券を配布(商品に抽選券を同梱して発送)して後日抽選を行い当選番号を決定し、当選者に商品をプレゼント(正確にはプレ値がつく商品を定価で購入することができる権利をプレゼント)したいと思っているのですが、個人がこういった抽選券を作って商品に同梱して抽選を行うというのは景品表示法など法律上何か問題はありますか?
内容は3000円分購入ごとに1口(30000円なら10口)で当選品の定価は5400円とします。
以下の①から③の全てにあてはまる場合には、景品表⽰法第2条第3項の「景品類」に該当します。
①顧客を誘引するための⼿段として
②事業者が⾃⼰の供給する商品⼜は役務(サービス)の取引に付随して
③取引の相⼿⽅に提供する物品、⾦銭その他の経済上の利益
このうち、③については、消費者庁サイトの景品類に関するQ33で、以下のような設定がなされています。
「経済上の利益と認められるか否かは、『提供を受ける者の側からみて、通常、経済的対価を⽀払って取得すると認められるもの』といえるか否かで判断されます。
何らかの商品を購⼊できる権利は、通常、経済的対価を⽀払って取得すると認められるものではありませんので、経済上の利益に含まれず、景品規制の対象とはなりません。
しかしながら、例えば、商品Bが⾮常に⼊⼿困難で、購⼊できる権利が通常経済的対価を⽀払って取得すると認められるものといえるような事情がある場合には、経済上の利益に該当すると考えられます。その場合、本件は、商品Aを購⼊した⽅を対象に抽選で提供することから、⼀般懸賞の規制の対象となります』
→ この説明からすると、プレ値の付く商品を定価で購入できる権利も、経済上の利益に該当する可能性があり、③の要件もみたす可能性があります。
次に、抽選券という「くじその他偶然性を利用して定める方法」による場合は懸賞にあたり、あなたのケースでは、一般懸賞の場合の景品規制が適用される可能性があります。
消費者庁サイトの一般懸賞に関するQ86では、以下のように説明されています。
「一般懸賞においては、提供できる景品類の最高額及び総額が定められており、景品類の最高額については、懸賞に係る取引の価額が5,000円未満の場合は取引の価額の20倍まで、5,000円以上の場合は一律10万円までとなります。また、景品類の総額については、懸賞に係る取引の予定総額(懸賞販売実施期間中の対象商品の売上予定総額)の2%以内とされており、最高額及び総額の両方の制限内で行わなければなりません。」
→ 景品類の総額は、「懸賞に係る取引の予定総額(懸賞販売実施期間中の対象商品の売上予定総額)の2%以内」されており、これをみたすように設定すべきことになります。
「景品に関するQ&A」(消費者庁サイト)が参考になると思います。
「商品Bが⾮常に⼊⼿困難で、購⼊できる権利が通常経済的対価を⽀払って取得すると認められるものといえるような事情がある場合には、経済上の利益に該当すると考えられます」
とありますが、「非常に入手困難」というのはどのようなものが該当するのでしょうか。
例えば店頭で買えるものであれば該当しないのでしょうか。
例えばとあるように、行政側の一つの説明例であり、明らかに該当しそうな例を挙げているものと思われます。そのため、より詳しくは、通達等を見ていく必要があります。
参考で紹介した通達にあるように、商品又は役務を通常の価格よりも安く購入できる利益も、「経済上の利益」に含まれるとされています。店頭で買える商品であったとしても、プレ値の付く商品を定価で購入できる利益の場合も、プレ値と定価の差額等によっては、提供を受ける者の側からみて、通常、経済的対価を支払って取得すると認められる可能性があり、その場合は「経済上の利益」に含まれる可能性があります。
【参考】「景品類等の指定の告示の運用基準について」
5 「物品、金銭その他の経済上の利益」について
(1) 事業者が、そのための特段の出費を要しないで提供できる物品等であっても、又は市
販されていない物品等であっても、提供を受ける者の側からみて、通常、経済的対価を支払って取得すると認められるものは、「経済上の利益」に含まれる。ただし、経済的対価を支払って取得すると認められないもの(例 表彰状、表彰盾、表彰バッジ、トロフィー等のように相手方の名誉を表するもの)は、「経済上の利益」に含まれない。
(2) 商品又は役務を通常の価格よりも安く購入できる利益も、「経済上の利益」に含まれる。
(3) 取引の相手方に提供する経済上の利益であっても、仕事の報酬等と認められる金品の提供は、景品類の提供に当たらない(例 企業がその商品の購入者の中から応募したモニターに対して支払うその仕事に相応する報酬)。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_20.pdf
ありがとうございます。
とあるショップについてなのですが、今回の質問と同じように3000円以上購入につき抽選券1口配布で1ヶ月単位で抽選を行なっているショップがあるのですが、概算で1ヶ月の売り上げ(抽選券が配布される商品の売り上げ)が7140000円でした。
これだと売り上げの2%は142800円なので抽選で商品を提供する場合は総額142800円以下にしないといけないと思いますが、提供品の総額は概算621000円でした。
これは景品表示法違反という認識で合っていますでしょうか。
それとも私の解釈が何か間違っているでしょうか。
抽選券は3000円以上の購入者にメールで番号だけ配布するという形でした。
一般懸賞にあたるとすると、総額違反の可能性があるかと思います。
経済上の利益にあたるのか(景品類に当たるのか)という点で争う余地があるかもしれませんが、予防法務の観念からは、その選択はには相当程度リスクがあるように思います。
一般懸賞の枠組みで行くのであれば、総額規制の範囲内の実施に切り替える等の対応をなされるのが安全かと思います。