【賃料増減額トラブル】居住用物件の貸主からの賃料増額請求を退けた事案
吉岡 一誠
弁護士
【ご相談内容】<相談前>
相談者様は、マンションの一室を借りて妻と子供と居住していたところ、入居から約2年が経過した頃に、管理会社が変更になる旨の知らせを受け取りました。
その後ほどなくして、新しい管理会社から書面が届き、そこには、「近隣の家賃相場の上昇に伴い、賃料が月額5千円増額になるので、賃料の増額に応じるか、退去するか選んでほしい」といった記載がありました。
相談者様は、長期にわたり居住する目的で賃借していたことから、賃料増額又は退去という突然の2択を迫られ、不安を感じ、弁護士に相談・依頼しました。
<相談後>
弁護士から管理会社に連絡し、入居時に定められた賃料額が近隣家賃相場からして低すぎるといった事情がないことや、入居からわずか2年程度しか経過していないことからすれば、賃料増額に応じることは到底できない旨を主張した上で、近隣家賃相場の変動や貸主の税負担の状況の変化など、賃料増額を求める正当な根拠があるのであれば資料を開示してほしい旨を伝えたところ、結果として管理会社は賃料の増額を断念し、請求を取り下げました。
<弁護士からのコメント>
賃貸物件のオーナー側から、一方的かつ高圧的に本件のような選択を迫られることで、「賃料の増額に応じない場合には出て行かないといけない」と思い込み、焦りと不安を感じて賃料の増額に同意してしまう方は少なくありません。
しかし、本来、オーナー側が賃料の増額を求めるにあたっては、単に近隣の家賃相場との差が生じているという理由だけでは足りず、当初の賃貸借契約の経緯や内容、居住期間、貸主側の状況の変化などの事情を総合考慮し、現在の賃料が不相当な額になっていることを裁判所に認めてもらう必要があります。
事業用の賃貸物件の場合と比べると、居住用の場合は、増額を求められる金額が概ね月額数千円~1万円程度と比較的少額ですが、居住者にとって日常生活への影響は決して小さいものではありません。
このようなトラブルでお困りの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。