金融機関の営業職の方が退職後に残業代の請求をした事例
中川 匡亮
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
金融機関に営業職として勤務していた方から、退職後に元勤務先に対する未払残業代の請求の依頼を受けました。
この金融機関は、「営業手当」という手当の中に残業代が含まれているという、いわゆる「固定残業代」制度を採用していました。
そのため、依頼者様には「営業手当」の他に残業代は払われていませんでした。そのような賃金体系の有効性が問題となりました。
【相談後】
金融機関を相手に訴訟を起こし、「『営業手当』は適法な残業代の支払いとは認められない。そのため、未払残業代が残っている。」という主張を丁寧に行いました。結果的に、解決金として170万円を受け取る旨の和解が成立し、無事に支払われました。
【コメント】
「◯◯手当」=「残業代」という制度のことを固定残業代と言います。しかし、この固定残業代が有効となるためには判例上厳格な要件を満たす必要があります。この要件を満たさないと、「◯◯手当」は残業代とは言えないことになり、その労働者には残業代が払われていないことになり、未払残業代の請求ができることになります。
本件では、「営業手当」が固定残業代として有効が否かが争点となりました。
本件の「営業手当」の実態は、依頼者様の営業職としての売上に応じて支払われる「歩合給」でした。
営業職が上げる売上は残業中に上げるものとは必ずしも言えないため、「営業手当」(歩合給)に残業代としての実態はないのではないか。
そのような主張を訴訟の中で丁寧に行い、一定の解決金を勝ち取ることができました。
このような固定残業代の有効性は、判例等の積み重ねを踏まえた専門的な知識がないと判断できません。
また、固定残業代が無効である場合、本件のように多額の未払残業代が残っていることになります。そのため、「◯◯手当」=「残業代」という会社にお勤めの方は、ぜひ弁護士への相談をお勧めします。