■母親の自称友人から母親の遺産の相続を阻止し、1億円以上の遺産を獲得した事例
高宮 隆吉
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
被相続人である母の死亡後、自筆証書遺言が2通発見され、その内容は遺産の半分を近隣の自称友人へ、残りを依頼者様へ遺贈するというものでした。
依頼者様と母は長年生き別れ状態にあり、亡くなる直前に成年後見人から連絡があり、ようやく再会することができました。
ですが、母は認知症が進行しており、息子である依頼者様のことをなんとか理解することができたものの、十分な意思疎通が困難な状態でした。
一方で、当該自称友人は母の成年後見開始に強く反対していたほか、遺言作成時期と重なる時期に母と共に銀行を訪れ、預金の一部を受領していた事実もありました。
こうした経緯から、依頼者様は遺言の有効性および自称友人の関与に強い疑念を抱き、当事務所へご相談に至りました。
【相談後】
当事務所では、まず成年後見人や関係機関への聞き取りおよび資料収集を行い、遺言の有効性について精査しました。
その結果、2通の遺言のうち1通は成年後見開始後に作成されており、法的に必要な医師2名の立会いを欠いていたため無効であることが判明しました。
もう1通についても、作成当時の認知症の進行状況や筆跡の不自然さ、認知機能検査の結果などから、遺言能力が認められない可能性が極めて高い状況でした。
これらの事情および判例を踏まえ、遺言無効確認訴訟を提起すれば高い勝訴見込みがあると判断し、訴訟提起に先立ち相手方へ内容証明郵便を送付しました。
その結果、相手方は遺言の無効を認め、遺贈の放棄にも応じたため、合意書を締結して解決に至りました。
また、並行して金融機関へ連絡を行い、預金の払戻しを停止させることで、不正な資金流出の防止にも成功しました。
最終的に、遺産の全額を依頼者様が取得する結果となりました。
【先生のコメント】
本件は、遺言の有効性に疑義がある場合において、初動対応の重要性が顕著に表れた事例です。
特に、金融機関への迅速な連絡により預金の払戻しを防止できた点は、実務上非常に有効な対応でした。
また、相続人以外の第三者が関与するケースでは、単なる主張だけでは解決に至らないことが多く、判例や客観的資料に基づいた戦略的な対応が不可欠です。
本件では、成年後見資料や認知機能検査結果などを精査することで、遺言能力の欠如を裏付けることができ、交渉段階での早期解決につながりました。
遺言の有効性に疑問がある場合には、速やかに専門家へ相談し、証拠の収集と保全を行うことが、適切な相続の実現において重要となります。