子が出生してから1年以上経過していたものの、合意に相当する審判で嫡出否認が認められ、父子関係を切ったケース
髙塚 真希
弁護士
【ご相談内容】【事案概要】
ご依頼者さまは以前、妻の不貞が原因で離婚を経験していたところ、たまたま取得した戸籍で、全く知らない子の父になっていることが判明しました。その子は、元妻がご依頼者さまとは別の男性の間につくった子であり、離婚から300日以内に出生していたために、ご依頼者さまの子として戸籍上登録されていました。このとき、生まれてから既に8年が経過していました。
ご依頼者さまは、元妻に対して、子との親子関係を切る手続をとってほしいとお願いし、元妻も他の男性との子であることを認めて、親子関係不存在の手続をとると述べるものの、何もせず、ただ時間だけが過ぎていました。
【解決内容】
離婚から300日以内に出生した子であり、さらに当時ご依頼者さまと元妻は同居していたため、親子関係不存在確認の手続をとることは困難でした。また、令和6年4月の民法改正前に生まれた子であり、子の出生を知った時から1年以内に嫡出否認の手続をとる必要がありました。
そこで、ご依頼者さまが戸籍を取得して子の出生を知ってから1年以内に嫡出否認を求める審判を申し立て、また、元妻に事情を説明したお手紙をお送りして、審判手続に協力いただけるようお願いしました。
元妻の理解も得て、審判手続は円滑に進行し、裁判所でのDNA鑑定を経て、無事に合意に相当する審判で嫡出否認が認められました。
【髙塚弁護士のコメント】
たまたま取得した戸籍で、全く知らない子が自分の子として戸籍に登録されていることを知った時のご依頼者さまの衝撃は相当なもので、ご依頼者さまの与り知らない戸籍上の父子関係を早期に不存在とする必要がありました。
元妻に父子関係を切るようお願いしても手続が進まなかったのは、元妻の動きが遅かったというわけではなく、このケースでは父側からしか手続をとれない、嫡出否認手続が必要なケースであったためです。しかし、そのことは、法律の専門家でなければなかなかわからないことです。嫡出否認では手続をとれる期間が限定されており(令和6年4月1日法改正前に出生の場合は1年、以後は3年)、もうしばらく弁護士に相談なさらなければ、嫡出否認の手続をとることができなくなってしまうという危ない状況でした。
ご依頼をいただいてからの手続はスムーズに進行しました。DNA鑑定は大変というイメージがあるかもしれませんが、口腔内を綿棒でこするだけですので痛みもなく、費用負担もそれほど大きくはありません。
もし、ご依頼者さまが戸籍上の父子関係に気が付かずに亡くなっていれば、残された遺族が相続手続のときに戸籍をとることで父子関係に気が付き、複雑な相続争いに巻き込まれた可能性があるだけでなく、ご依頼者さまへの不信感や怒りが生じたかもしれません。ご依頼者さまがきちんと父子関係の清算をおこなったことで、無用な争いも予防できたということになります。