"別居婚での離婚調停において、夫の有責事由と婚姻関係の破綻原因の認定と慰謝料の取得を求めたい"

結婚当初から、お互いの仕事の都合で別居婚でした。結婚3年目に同居をする予定でしたが、相手の仕事の都合で叶わず、別居を継続することになりました。そのため4年目になったら私の方が転職して同居をする予定でした。その間に相手が離婚調停を起こしてきました。別居しているから夫婦関係が破綻していると主張しています。
尚、それぞれの生活費はそれぞれが負担し、夫婦のことにかかる費用は私がほぼ負担しており、婚姻費用の支払いも一度もありませんでした。そのため婚姻費用分担調停を同時に私から起こしています。
私に有責事由がなく、夫に有責事由があったとしても、別居が長引けば離婚が成立するのは理解しています。夫が改心せず、離婚させられるなら、せめて婚姻関係の破綻の原因が夫にあることを認めさせ、離婚の成立を遅滞させて婚姻費用を少しでも長く取って、最終的に離婚が成立する際には慰謝料を取りたいです。
お互い不倫や暴力がないのですが可能でしょうか?また別居状態で離婚が成立するのはこの場合何年が最短でしょうか?

最初に質問にお答えしますと、離婚の引き延ばしはケースバイケースなので何年という目安をお伝えするのは難しいです。

そのうえでこれからの手続きについて回答します。
まず、離婚調停は話し合いで解決する手続きなので、あなたが離婚したくなければ離婚を拒否して良いです。
そうなると今度は相手が離婚訴訟を起こし裁判官に離婚の判決を求めてくるでしょう。
離婚は勝手にできるものではなく、離婚理由がないといけません。
離婚理由は、不貞、悪意の遺棄(経済的なネグレクト)、精神病などでの意思疎通不能が典型例として法律に規定されていますが、それ以外は様々な事情を積み重ねて婚姻関係が破綻していたといえる必要があります。

同居状態から別居が始まり期間が長くなれば一般的には婚姻関係は破綻していたと考えられますが、これも家庭の事情によって異なります。例えば仕事の単身赴任で別居となったことを婚姻関係の破綻の現れだというのは困難でしょう。
単身赴任と同じように考えれば、あなたがたの場合は初めから合意の上で別居婚し、同居の予定もあったというのですから、別居していたことは直ちに婚姻関係破綻の理由とはならないでしょう。
したがって、婚姻関係を続けて婚姻費用を取り続けるという作戦はありです。

ただ、その問題と慰謝料は両取りは難しいと考えて下さい。
慰謝料とは、突然離婚となることについての相手の責任を取らせる手段として、心の痛みの度合いに従って支払われるものです。
このまま別居が続き、婚姻関係が緩やかに破綻したとすれば、そのときのお互いの気持ちは破綻を了解する(諦める)方向に傾き、その分心の痛みは減ると考えられるからです。

どちらをとるか、どこまで粘るか、今後どう生活していきたいのかも含め、お近くの弁護士に相談されることをお勧めします。

別居は、通常、婚姻関係破綻を基礎づける事情の一つと考えられますが、別居婚という特別の事情があれば別居婚中の別居は婚姻関係破綻を基礎づける事情にはならないと考えられます。
そのため、別居婚であることが立証できれば、実際に夫婦間が不和になった以降の別居のみ婚姻関係破綻を基礎づける事情として考慮され、婚姻関係の修復を望んでいれば、離婚成立を遅らせることも可能と考えられます。
双方に帰責事由がない場合、離婚には通常3~5年の別居期間が必要といわれていますが、個別の事情によって別居期間が短くとも離婚が認められることもあります。
離婚慰謝料については、性格の不一致が離婚の原因であれば相手方の不法行為と言えず、慰謝料も通常発生しないと考えられますが、相手方が早く離婚を希望する場合には財産分与(ないし慰謝料)の支払につき譲歩してくる可能性があります。

別居婚であれば、別居をしている事が直ちに婚姻関係の破綻となるわけではありません。

ただ、別居期間が長期に及んだ場合は婚姻関係の破綻が認められ離婚が認められてしまうでしょう。また、その場合有責性がどちらかに認められれば慰謝料の請求が認められる余地はあるでしょう。

お互いに有責性がない場合に婚姻関係の破綻が認められる期間はケースバイケースですが、3〜5年前後で認められることが多いかと思われます。

現段階で離婚調停を起こしてきているのであれば、調停に関しての資料をご持参の上、個別に弁護士に相談された方が良いでしょう。