自宅でのオンコール体制時の給与について

20代のシステムエンジニアです。
現在勤めている会社で、休日にオンコールでの自宅待機を命じられています。
インターネット等で調べると自宅でのオンコール体制は給与が発生しないとありました。
しかし、会社命令で自宅に拘束されるのに給与が発生しないのには違和感があります。

そこで、次の点について教えていただけますでしょうか。
お手数おかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

①一般的に(法律上)自宅でのオンコール体制時に給与は発生するか

②下記の事例のオンコール体制時に給与は発生するか
※下記に自身の命じられているオンコール体制について記載いたしました。

③オンコール体制時に給与が発生しない場合、なぜ給与が発生しないのか

【事例】
・テレワークのため、自宅にてオンコールで待機
・オンコール体制の日3日につき1日代休をとれる
・待機中は給与が発生しない
・出勤すると出勤中は給与が発生する
・「待機中も給与が発生するのが普通」「自社の他のプロジェクトでは支給されている」という旨の発言が上司からあった
・過去オンコールでの自宅待機時には、代休なし・出勤中のみ給与発生

自宅待機を命じられているのであれば、使用者の指揮監督下にあり、労働義務から
解放されていないので、労働時間と考えられますね。
したがって、賃金が発生するものと考えます。
一歩譲っても、自宅待機手当は必要でしょうね。

オンコールで自宅待機している時間について給与や手当が発生するかどうかは、まず、あなたの会社の労働協約、就業規則、雇用契約等に発生する旨が根拠が規定されているかどうかによります。
発生する旨の記載があれば、基本的にその規定のとおり発生することになります。

他方、発生する旨の記載がなければ、オンコールで自宅待機している時間が労基法上の「労働時間」に該当するか否かが問題となります、仮に「労働時間」に該当する場合、労基法の強行的効力により、一定の賃金の支払を受けられることになります。

労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言うと考えられており、自宅で待機している時間について労働時間性が認められるためには、ある程度使用者から待機場所である自宅における行動の制約を受けている必要があり、待機場所である自宅で何をしてもよいこととされている場合は拘束性が弱く、労働から高度に解放されていると解され、労働時間性が否定される可能性が高くなります。

あなたの場合で言えば、たとえば、自宅待機時、パソコン前に常時張り付いていることが要求されているような場合は労働時間性が肯定される可能性が高くなり、他方、呼出があったときに気づけるようにしておけば寝ようが子どもと遊んでいようが何をしてても自由ということであれば労働時間性が否定される可能性が高くなります。あなたの事例では特に自宅待機以外の指示はないことがうかがわれますので、労働時間性は否定される可能性が相当程度あるように思います。

字数制限回避のため、次の回答に続きます。

以上より、①については労働時間性が認められるようなオンコール体制であれば発生するが、認められないようなオンコール体制であれば労働協約、就業規則、雇用契約等に発生する旨の規定がなければ発生せず、②については、労働協約、就業規則、雇用契約等に発生する旨の記載がなく、会社からはオンコール体制時において自宅待機以外の指示がないのであれば、発生しない可能性が高いのではないかと存じます。

③については、上記を前提とすれば、あなたが労働協約、就業規則、雇用契約等においてオンコール体制時に給与等が発生する旨の規定がない会社を選択し、なおかつ、会社からはオンコール体制時において自宅待機以外の指示がないため、ということになるかと存じます。雇用関係も労働者側が労基法等で守られているとはいえ、基本的には雇用条件は合意で決められる部分も多く、労基法等は労働時間性が否定されるようなオンコール体制時における給与等の支払までをも使用者に強制する仕組みにはなっていないということです。

なお、労働協約、就業規則、雇用契約等にオンコール体制時の給与等について規定があったり、会社からオンコール体制時において自宅待機以外の指示が出ていて自宅における行動が制約されていたりするような場合は話が変わってきますのでご留意ください。