お母様名義の口座から必要経費を出金できずに困っていた方をお助けした例
浅井 裕貴
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
依頼者様は、認知症を患った80代のお母様の介護をされていました。
お母様の生活費や介護費用は、お母様名義の口座から出金していました。
しかし、ある日、銀行の職員さんから、「お母様の認知症が重くなったので、成年後見人を就けない限り、出金はできません。」と言われてしまいました。
依頼者様は、成年後見制度には毎月報酬を支払わねばならないと思い込んでいたので、悩んでしまいました。
【相談後】
まず、私から「依頼者様自身が成年後見人になれば、申立時以外に費用はかからない。」と御説明しました。
すると、依頼者様は安心し、成年後見制度を利用される決意をされました。
そこで、私がお手伝いをし、無事に依頼者様が、成年後見人に就任しました。
そして、後見人となった依頼者様が、改めて出金手続きをしたところ、無事に出金できました。
残念ながら、数年後にお母様は亡くなりました。
しかし、後見人として家裁への報告もしていたので、使い込みを疑われることなく、スムースに相続手続ができたとのことです。
【コメント】
弁護士などの専門職を後見人に就けると、毎年一定額の報酬を払う必要があります。
しかし、親族が後見人になれば、その親族が報酬を請求しない限り、報酬は不要です。
そして、後見人がつけば、銀行も安心して出金に応じてくれますし、介護施設の契約も順調に結べることが多いです。
さらに、後見人になると、家裁への報告が義務付けられます。報告自体は面倒ですが、報告をすることによって、使い込みを疑われるリスクが格段に減ります。
介護をしていた人が使い込みを疑われ、相続手続が揉めることは珍しくありません。
しかし、後見人になることによって、揉めるリスクを減らせるのです。
近年、後見制度の消極的な部分のみが取り上げられがちです。しかし、使い方によっては、介護される方のみならず、介護する方にも利点をもたらしてくれるのです。