いえもと まこと
家本 誠弁護士
弁護士法人GoDo 支部藤枝やいづ合同法律事務所
静岡県藤枝市築地838 落合電気ビル2階
キャリア20年超、地域に根付いて欲しいとの思いから「市民のための法律事務所」を立ち上げました
静岡県内の歴史ある事務所に20年以上在籍していた、藤枝やいづ合同法律事務所の家本誠弁護士。
いくら経験を積み重ねても、どこまでも謙虚で市民目線を貫く姿勢が、依頼者から信頼される理由です。
何でも扱う町弁ですが、とくに得意なのは医療過誤や交通事故、相続です。
都市部を離れ、人口の少ないエリアで開業した理由は何だったのでしょうか。
いくら経験を積み重ねても、どこまでも謙虚で市民目線を貫く姿勢が、依頼者から信頼される理由です。
何でも扱う町弁ですが、とくに得意なのは医療過誤や交通事故、相続です。
都市部を離れ、人口の少ないエリアで開業した理由は何だったのでしょうか。
01 弁護士としてのキャリア
静岡古参の事務所に20年超。藤枝市で開業
ーーまずは、弁護士としてのキャリアについて教えていただけますか?
キャリアの始まりは、静岡市にある静岡合同法律事務所でした。
設立は1973年、静岡県内で最も歴史の長い事務所のひとつです。
そこに2020年まで在籍し、その後現在の事務所を立ち上げました。
弁護士歴は20年以上になります。
この歳になって、より人口の少ない地域で開業するのは珍しいかもしれませんね。
弁護士事務所は裁判所近くの主要都市に構えることが多く、田舎に行くほど少なくなりがちです。
ただ、今はもうそういう時代ではないと思うんです。
ーーどういうことでしょうか?
依頼者から事務所にアクセスしてもらうのではなく、弁護士自ら困っている方々に近づいていく。
それが、これからの時代にあるべき弁護士の姿ではないでしょうか。
事務所が都市部に集中し、田舎に少ない状況はアンバランスです。
電車に乗って時間をかけて、わざわざ遠くの事務所まで足を運ぶのは大変ですよね。
地方には、そんな風に困っている方々がたくさんいらっしゃいます。
そういう場所にこそ、弁護士が飛び込むべきだと思うんです。
今の事務所を立ち上げてから藤枝市や近隣の焼津市、島田市を中心に、地域の方々から日々いろんなご相談をいただいています。
ありがたいことですね。
02 重点的に扱っている分野
経験豊富な医療過誤訴訟。交通事故も200件以上
ーー具体的にどんなご相談を受けることが多いですか?
基本的には一通り、どんな事件も扱っています。
なかでもご依頼が多く、得意なのは医療過誤と交通事故、相続です。
とくに医療過誤は、常時いくつかの事件を抱えています。
医療訴訟は専門性や難易度が高いため、長期戦になりやすい特徴があります。
そこで大事なのが、最後までやり抜く根気や粘り強さです。
ーー粘り強さには自信があるわけですね。
とくに印象に残っている事件があります。
3年ほどかけて取り組んだ、ある出産事故です。
生まれたお子さんは無事だったのですが、母親が直後にお亡くなりになってしまったのです。
そのとき病院は遺族に対し、母親の死因について納得できる説明をしてくれませんでした。
「子どもが大きくなったら、なぜ母親が亡くなったのかしっかり説明したい」。
そんな思いを抱えた父親からご依頼いただき、損害賠償請求訴訟を提起し、事実を明らかにしていきました。
その結果、死因は大量出血だったこと、一方で病院側にもやむを得ない事情があったことなどがわかってきたのです。
こちらが求めた損害賠償額には及ばなかったのですが、原因がわかったことで、父親には「これで子どもにちゃんと説明できる。裁判をやってよかった」と感謝いただきました。
ご遺族にとって長くつらい3年間だったはずですが、一緒にがんばってきてよかったと思える事件でした。
ーー交通事故や相続はどうでしょうか?
交通事故はこれまで、少なくとも200件以上を扱ってきた実績があります。
小さな物損事故から、重い後遺障害を負うケースまで幅広く扱っています。
加害者の保険会社が提示していた賠償金額を、大幅に上回る内容で解決した事件などが数多くあります。
相続は複雑な税の問題なども絡むので、親しい友人の税理士と常に相談しながら進めています。
離婚などもそうですが、とくに身内が争うような事件は急いで結論を出そうとするのは危険です。
先走って出した結果に、みなさんの気持ちが追いつかないことがよくあるからです。
しっかり時間をかけて、当事者の方々ができるだけ納得して終われるようにすることが大事です。
03 弁護士として心がけていること
初回無料相談に1時間以上。法テラスの副所長などを歴任
ーー事件の解決方法について依頼者に納得していただくためには、何が必要なのでしょうか?
事件に直接関わらないようなことも含めて、じっくり時間かけて依頼者のお話を聞き、信頼関係を育むことです。
私は打ち合わせに時間をかけるタイプで、初回の無料相談で1時間以上、ときには2時間ほどかけることもあります。
「初回相談は30分まで無料」などとする事務所が多いように思いますが、それで果たして依頼者は満足されるでしょうか。
きっと消化不良に終わり、不満が残ってしまうはずです。
企業同士の仕事の打ち合わせではありませんからね。
弁護士と話すのに緊張される方はたくさんいらっしゃいますし、ましてや深刻なご相談です。
それを30分で要領よく話せる方なんて、滅多にいらっしゃいませんよ。
私だって、医療過誤や交通事故の事件を扱うときは医者と相談しますが、やはり緊張するものです。
ですから、お気持ちはとてもわかるんです。
ーーキャリア20年超のベテランとは思えない、謙虚な姿勢が印象的です。
弁護士は敷居が高いイメージを持たれがちですが、私自身はまったくそう思っていません。
私たちにだって、当然知らないことはたくさんありますよ。
ただ職業柄、「知らない」とは言いづらい雰囲気がどこかにあります。
私は新人の頃から、「知ったかぶりは絶対にするな」と口酸っぱく上司に言われてきました。
わからないことは正直に伝えて、あとでしっかり回答する方がよっぽど親切だと教わったのです。
20年以上経った今でも、ときには質問に答えられないこともあります。
でも決してうやむやに回答せず、あとでしっかり調べてお伝えするようにしています。
依頼者から「回答が遅い」と怒られたことは一度もありません。
大事なのは、無知を恥じないことです。
ーー家本さんのように経験豊富な弁護士と、キャリアの浅い弁護士の最大の違いは何でしょうか?
まず、そもそも若いからダメだなんてことはありませんし、若くて優秀な先生はいくらでもいます。
ただ、多くの事件を経験している分だけ、事件の着地点を早く、正確に見通せる部分はあると思います。
勝負所で勘が働く、事件のポイントを嗅ぎ分けられる。
そのあたりは経験によるところが大きいはずです。
ーー事務所でのお仕事以外にも、弁護士会の活動などにも積極的ですね。
静岡県の弁護士会副会長や、医療関係では県立こども病院倫理委員会委員、それに静岡大学や同法科大学院の非常勤講師などを務めてきました。
静岡医療事故研究会にも所属しています。
今年(2021年)4月からは、法テラス静岡の副所長と家庭裁判所の調停委員も任されます。
私の経験や知識が何かの役に立つなら、できる限りお応えしたい。
そんな思いで活動させてもらっています。
04 事務所のこれから
地域密着、市民のための身近な事務所に
ーー話は変わりますが、旅行がお好きなようですね。
とくにお気に入りは、東南アジアです。
あの雑多な町の雰囲気がたまらなく好きなんです。
印象的な場所のランキングをつけるなら、1位はミャンマーのバガン遺跡、2位はカンボジアのアンコールワット遺跡群、3位はラオスのルアンパバーンという小さな町ですね。
旅のパートナーは、いつも妻です。
前の事務所で働いていたときの事務員で、私からアタックして結婚してもらいました。
その妻が「そろそろ東南アジアを脱出したい」と言うので、次はトルコあたりを狙っているところです。
ーー最後に、今後の意気込みや読者へのメッセージをお願いします。
私たちは「市民のための、そして市民に身近な法律事務所」を信条にしています。
20年以上にわたって様々な事件を扱ってきた経験を、この地域の方々に還元したい。
その一心で、まだまだ現場の第一線で目一杯働いていきます。
困ったことがあれば、いつでもご相談にいらしてください。
何が不安なのか、どのように解決したいのか、何でも一緒にお話しながら、いい解決策を探していきましょう。