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いえもと まこと
家本 誠弁護士
弁護士法人GoDo 支部藤枝やいづ合同法律事務所
静岡県藤枝市築地838 落合電気ビル2階
対応体制
  • 法テラス利用可
  • 分割払い利用可
  • 後払い利用可
  • 初回面談無料
  • 休日面談可
  • 夜間面談可
  • 電話相談可
  • メール相談可
注意補足

メール相談については、具体的なケースについては回答が不十分なものになるため、制度の概要などの一般的な説明にとどまることが多いと思いますので、その点はご了承ください。

離婚・男女問題の事例紹介 | 家本 誠弁護士 弁護士法人GoDo 支部藤枝やいづ合同法律事務所

取扱事例1
  • 不倫・浮気
不貞行為を原因とする慰謝料請求について、相手方から100万円の支払いを受けたケース

依頼者:20代(男性)

【相談前】
依頼者さまは、静岡県中部地域にお住いの20代の男性(夫)になります。
事件の特徴 としては、 妻と不貞関係にあった男性に対して、損害賠償請求権(慰謝料請求)を求めたケースになります。

事案の概要
 偶々妻の携帯(ライン)を見たことにより夫が、妻の不貞行為を知ることになりました。その夫が、不貞行為の相手方である男性(以下Aと省略します)に対して、慰謝料請求を求めたケースになります。

ご依頼
 ご依頼された方は、最初から妻との離婚は考えてなく、妻が今後、不貞行為の男性と関係をしっかりと断つこと、その誓約を相手方の男性にもしてもらいたいことを第一の希望として相談に見えられました。
 相手方の男性も家庭がある男性であったため、相手方の男性の自宅に内容証明などの通知を出すことを控えて、手続きを進めることとして、事件の依頼を受けました。ちなみに相手方の男性宅に内容証明などを出して、相手方の男性の妻が、夫の不貞行為を知った場合、その妻が、依頼者さまの妻に対して、損害賠償請求をしてくるということが想定されるため、通知による連絡は控えた次第です。



【相談後】
示談交渉
Aとの話し合い
 Aに対しては、弁護士から直接携帯電話に連絡をして、前記不貞行為の件で面談をして話をしたい旨を伝えました。最初はA自身、依頼者さまの妻との不貞行為を否定されていましたが、ラインでのやり取り等の証拠がある旨を伝え、不貞行為を否定することはできないことをはっきりとAに伝えました。Aもラインでのやり取りが、既にこちらに証拠として残っていることを理解すると、素直に自らの不貞行為を認め、話し合いに弁護士の事務所に来ることを承諾しました。
 Aと直接弁護士事務所で話をして、依頼者さまの意向を伝えました。Aは、(1)今後不貞行為を絶対にしないこと、(2)依頼者さまの妻とは、理由の如何を問わず、連絡のやり取りをしないこと、(3)示談金として100万円を支払うことなどを了解しました。
 前記内容でAとの間では、示談書を締結し、解決をしました。

結 果
 Aが賠償額として、依頼者さまに対して100万円を支払うこと、また前述したような誓約をしたこと、そして示談書の中で、依頼者さまの妻に対して、求償を一切行わないことを示談書に記載し、解決をしました。
 求償をAが依頼者さまの妻にしないというのは、どのような意味であるのか、少し説明をしますと、不貞行為は、Aと依頼者さまの妻の共同での不法行為ということになります。そのため加害者である一方が、損害賠償金を支払った場合、もう一方の共同の加害者である依頼者さまの妻に対して、応分の返金を求めることができるというのが、法律上の理屈になります。
 しかしこの求償権をAは一切放棄することで、前記示談は成立しました。


【先生のコメント】
夫婦が離婚に至っていない状況や依頼者さま自身が、賠償金額よりも、Aに誓約をさせることに一番の力点があったことからすると、100万円という賠償額は、本件においては、比較的妥当な解決金額であったと思います。
 不貞行為があった場合、どのような解決を望むかは、まさにご依頼をされる方によって様々です。そのためどのような解決を望まれるのか、そのご意向をしっかりと受け止めることが一番重要であると思います。
 今回のケースでは、不貞行為を裏付ける証拠をある程度事前に確保していたため、加害者であるAに対して、強い態度で臨むことができた点が、解決に至った大きなポイントであったと思います。詳しくは弁護士にご相談ください。
取扱事例2
  • 婚姻費用(別居中の生活費など)
調停を申立て、裁判所の調停に代わる決定で月々10万円の婚姻費用が認められたケース

依頼者:女性

【相談前】
依頼者さまは、静岡県内にお住いの女性です。
事件の特徴は、婚姻費用の調停を申し立てたところ、双方の感情的なことが理由で調停が成立するのが困難でした。しかし裁判所が、調停に代わる決定を出してくれ、月々10万円の婚姻費用の支払いを認めてくれたケースになります。

1 事案の概要
 10数年結婚をしていた夫婦が、離婚を前提に(この離婚の調停手続も、婚姻費用の調停をする際、同じく申し立てをしましたが、こちらは話し合いが困難で不成立になりました)、別居生活を開始しました。
 しかし妻は、病気を抱え、仕事ができないため、別居生活後の単身での暮らしが非常に大変になりました。そこで妻から離婚をしたいけれど、その前に婚姻費用の支払いを夫にして欲しいということで相談に来られました。

2 ご依頼
 妻に事情を確認したところ、夫側は比較的安定的な仕事に就いていて、収入も比較的多いことが分かりました。離婚をするまで多少時間がかかることから、平行して婚姻費用の請求をまず行うことを決め、私が事件(夫婦関係調整と婚姻費用の各調停事件)を受任いたしました。



【相談後】
具体的な法的な手続き
 まず婚姻費用の請求については、事件受任後、早急に相手方に内容証明郵便を出し、その月から婚姻費用の支払いをするように請求をしました。婚姻費用については、何時の時点からその請求が認められるのか(内容証明などにより請求をした時点、調停を申し立てた時点)、見解の違いがありますが、少なくとも生活に直結する費用ですので、受任後、調停を申し立てる前に内容証明郵便などで、婚姻費用の請求を早急に行うことが肝要であると思います。
 夫婦関係調整の調停(離婚の調停)については、慰謝料等の点で相手方と合意することができなかったため、調停は不成立で終了しました。
 また婚姻費用についても、その支払いの開始時期(前述した内容証明での請求時期か調停を申し立てた時期か)や月々の支払額について、双方で合意することが困難でした。
 裁判所からは、婚姻費用について、双方で主張する内容の差がそれほど大きくないこと、双方から事情を聴くと、相手方の意向を受け入れるのは感情的に抵抗があるものの、裁判所が決めてくれるのであれば、それを受け入れる思いが双方にあることなどの事情から、調停に代わる決定をするという方針が示されました。
 調停に代わる決定というのは、調停では、お互い合意をすることができない場合でも、裁判所が事案の解決から適切と思われる解決案を示すことがあります。これを「調停に代わる決定」といいます。この決定は、お互いがその内容に納得すれば調停が成立したのと同じ効果があります。しかし当事者の何れかが2週間以内に前記調停に代わる決定に対して、異議を申し立てると、その効力が失われることになります。その場合には、審判手続きに移行したりします。
 調停に代わる決定は、イメージとして、相手方の提案を受け入れるのは、なんとなく癪であるものの、裁判所が出してくれた解決案であれば、受け入れることを考えても良いなどと想定されるケースでは、有効な解決方法であると思います。
 本件においても、裁判所が調停に代わる決定で出した内容は、(1)内容証明で請求をした時点からの婚姻費用の支払いを認め、(2)またその支払い額は月々10万円であるという内容でした。



【先生のコメント】
婚姻費用は、兎に角、生活の基盤となる収入がない当事者にとっては、早急に請求をして、支払っていただきたいと考えているものになります。そのためには調停を申し立てるまで多少の時間がかかる場合、それに先立ち、内容証明などで、婚姻費用の請求を明確に行っておくことが是非とも必要になります。
 また当事者の言い分が多少の隔たりがあったとしても、裁判所が提案する内容であれば、自分としては感情的にも受け入れやすいという事情がある場合には、調停に代わる決定で解決をすることも検討をされたら良いと思います。
 婚姻費用の請求をしたいけれども、どのように請求をしたら良いのか、またそのためにはどのような手続きをしたら良いのかなどと考えられている方は、弁護士にご相談されることをお勧めします
取扱事例3
  • 養育費
認知したお子さまの母親が再婚したことにより養育費の免除をしてもらったケース
【相談前】
依頼者さまが、交際をしていた女性との間にお子さまが生まれました。結婚まで至りませんでしたが、依頼者さまは、お子さまを認知し、その後月々3万円の養育費を数年支払ってきました。
 依頼者さまは、前記女性との共有の知人を通じて女性が再婚をしたことを知り、また認知をしたお子さまが再婚相手と養子縁組をしたことも知りました。
 依頼者さまは、認知後、お子さまとの交流は特にしていませんでした。そこでお子さまが養父と縁組をしたことにより、月々支払っている養育費の減額をすることは可能かというご相談があり、相手方の女性との交渉を受任しました。


【相談後】
前述した女性とその女性と婚姻をした男性に対して、養育費の減額をお願いするお手紙を書き、話し合いで養育費の減額をして欲しい旨の希望をお伝えしました。
 数度の手紙のやり取りで、最終的には相手方が、養育費については、今後一切請求をすることをしないで、免除することの了解をしてくれました。その了解に基づいて、合意書を双方で交わし、本件を解決することができました。


【先生のコメント】
認知をしたお子さまの実母が再婚をし、そのお子さまと養父が縁組をした場合、現実には養父がそのお子さまの面倒を実母とともに見ることになります。そのため認知をした実父が、お子さまを扶養をする義務が後退することは否めません。また実際に、再婚をした実母及び養父が、実父とお子さまとの関わりを望まないケースもあると思います。
 このような事情から、本件のようなケースでは、話し合いにより養育費の免除又は減額を相手方が受け入れてくれる可能性が高いと思います。そのため本件も調停などの法的手続きを行う前に、交渉により解決に至ることができたと思います。
 お子さまが養子縁組をした後、どのように実父がそのお子さまと関わり合いを持つのかは、人により様々だと思います。また実父の側にも、婚姻し、お子さまが生まれるなどして、経済的な負担が生じる場合もあります。
 このような事情から養育費の支払いについて、再検討をしたいとお考えの方は、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
取扱事例4
  • 慰謝料請求したい側
妻と不貞関係にあった男性に対して、損害賠償請求権(慰謝料請求)を求めたケース

依頼者:男性

【相談前】
依頼者さまは、妻と離婚をされた男性(元夫)になります。

事件の特徴
 夫が妻と調停手続きで離婚をした後、妻と不貞関係にあった男性に対して、裁判上で損害賠償請求権(慰謝料請求)を求めたケースになります。

事案の概要
 妻が働きに出た後の行動に不審を持った夫が、興信所を利用して、妻の行動調査を行ったところ、妻の不貞行為を知ることになりました。その夫が、不貞行為の相手方である男性(以下Aと省略します)に対して、裁判上慰謝料請求を求めたケースになります。

ご依頼
 依頼された方は、既に調停手続きにおいて、妻と離婚をしていました。調停手続きにおいても、妻の不貞行為を調停委員に訴えたようですが、調停委員からは、一番の問題はお子さまの親権であると言われ、調停手続きにおいては、特段不貞行為を問題とすることができなかったようです。
 依頼者さまは、離婚をした元妻に対しては、不満な気持ちがあるものの、元妻がお子さまの親権を持つこととなり、今後のお子さまとの面会などを考えた場合、元妻には、あえて不貞行為による損害賠償請求をすることをしない選択をしました。
 しかし元妻と不貞関係にあったAに対しては、然るべき責任をとって欲しいと考え、私が、同僚の弁護士と共に事件の依頼を受けることとなりました。

【相談後】
私たち弁護士からAに対して、内容証明により損害賠償請求の請求をしました。Aの側でも弁護士を依頼し、その弁護士から不貞行為を認めないものの、誤解を受ける行為があったことも事実であるので、解決金として、30万円を支払うとの提案がありました。
 しかし依頼者さまとしては、Aが不貞行為を認めないこと、また提示された金額が低額であることから、前記提案を拒否し、裁判で解決をされることを選択されました。
 そこで裁判所に前述した損害賠償請求の裁判を提訴しました。

結 果
 提訴後もAの側は、不貞行為を認めませんでした。しかし依頼者さまが、興信所を利用していたこともあり、その調査結果を裁判所に証拠として提出したところ、裁判所からは、不貞行為を前提とした和解案が双方に提示されました。 Aからは、支払いが困難であることから分割での提案がなされましたが、最終的には200万円をAが依頼者さまに対して支払う義務があることを認め(但し130万円を約束の時期に遅れることなく、分割で支払った場合は、残額70万円を免除する内容になっています)、またAが依頼者さまの元妻と不貞行為をしていた事実も和解条項の中で認める内容になりました。
 依頼者さまは、和解での金額よりも、Aが不貞行為を認め、その点を謝罪することにこだわりがありましたので、裁判上の和解も前述したような内容となり、依頼者さまも納得していただけました。

【先生のコメント】
夫婦が離婚に至っている状況を考えると、200万円という賠償額(また分割で、130万円をちゃんと支払った場合、残額の70万円を免除するという内容)は、どちらかと言えば、低い金額での解決であったと思います。
 しかし依頼者さまの一番のこだわりが、被告であるAが不貞行為を認め、謝罪をすることにありましたので、その点は和解の内容で実現できたと考えています。また通常、裁判上で和解をする場合、このような内容まで記載されることはむしろ例外です。そのため前述したような内容を和解の条項に入れることができたことは、裁判をして大きな意味があったと思っています。
 なお本件では、裁判所からの和解の提案も130万円程度と比較的低額な内容でした。その理由は、依頼者さまが元妻を被告として提訴をしなかったことが考えられます。元妻に対して、責任を追及する提訴をしないことが、不貞行為が離婚にとって、一番重要な理由であったのか、また強い精神的な苦痛を受けたと言えるのかという疑問を裁判所が持ったからであると思います。
 しかし元妻が、お子さまたちの親権を持ち、面倒を見ていることを考えると、依頼者さまのように、元妻に対して、裁判をすることに躊躇を覚えることもあると思います。


 興信所の利用について
本件とは直接関係ありませんが、離婚手続きを考えている方が相手(夫や妻)の行動調査のために興信所を利用することがあります。調査が離婚手続きに有利な証拠を得ることもありますが、調査にかかる費用が予想以上に高額になる場合や、証拠が得られないこともあります。
そのため、費用面で興信所とトラブルになることもあります。興信所を利用する前に、既に持っている証拠がどれほど重要で、証拠としての価値がどの程度かを弁護士と相談し、その上で興信所を利用するか決めることをお勧めします。
詳しくは弁護士にご相談ください。
取扱事例5
  • 協議・交渉
離婚後も元夫がローンを支払っている自宅で依頼者さまとお子さまが一緒に生活しているケース

依頼者:女性

【相談前】
依頼者さまは、10年以上前に裁判所で和解による離婚をし、お子さまは依頼者さまが親権者となり育てています。実はその和解条項(裁判所の和解で取り決めた約束です)で、依頼者さまは当面、元夫がローンを支払っている自宅で引き続きお子さまと生活を継続することできるという約束をしました。しかしお子さまが中学校を卒業する時期に前記自宅を明け渡して、元夫に返すという約束が一方で取り交わされていました。
 そしてお子さまが中学校を卒業する時期が近づいてきましたが、お子さまの状況や依頼者さまの経済的な状況を考えると、自宅を出てアパートを借りてお子さまと生活をすることは、とてもできませんでした。自宅の明け渡しの時期が近づく中、困った依頼者さまが、相談に来られました。
 依頼者さまとしては、裁判でお子さまが中学を卒業する時に自宅を元夫に返すという約束をしたのは事実であり、約束を守らなければならないことも分かっているけど、とても今の生活では自宅を出て、外でアパートを借りて生活をすることはできないと困っていました。
 そこで私が、元夫と交渉をして、何とか引き続き自宅で依頼者さまとお子さまが一緒に生活ができないか、話をしてみることになりました。


【相談後】
代理人の弁護士である私から元夫に前述した事情を詳しく書面に書き、家で引き続き生活を続けさせて欲しいとお願いをしました。
 夫側としては、既に裁判所で約束が取り交わされていることから、更に明渡の時期を延長することには難色を示しました。元夫が依頼者さまたちが住んでいる自宅のローンを支払っていることを考えれば、元夫の言い分も理解できるところがあります。
 しかし元夫には、依頼者さまである元妻とお子さまが自宅を出て、アパートを借りた場合、現在支払っている自宅のローンよりも、場合によっては多くの養育費の支払いをする必要が出てくるかもしれないこと、また何よりお子さまのご事情を考えて、引き続き元妻とお子さまたちが、前述した自宅で生活をすることができるように配慮をして欲しいということをお願いしました。また一生この自宅で生活をさせて欲しいということではなく、あくまでお子さまたちが成長し、独立するまでの期間であることも伝えました。
 元夫もお子さまの事情を考えてくれ、4年程度引き続き自宅で生活することを認めてくれました。


【先生のコメント】
 離婚後も元妻やお子さまが、元夫名義の自宅(夫は自宅を出て、外でアパートを借りて生活をするなどして)で引き続き生活をすることがあります。お子さまの学校の問題や経済状況など理由は様々であると思います。
 本件においては、裁判上の和解で自宅を出る時期が明確に定められているため、元夫が和解の内容に従って手続きを行えば、元妻とお子さまは自宅を出ていかざるを得ない状況に追い込まれます。
 しかし一方で元夫はお子さまに対して、養育費の支払い義務があります。お子さまたちが自宅で生活を続けることができない場合、一旦約束で決めた養育費の額についても、改めてその額を増額する調停を申し立てることができます。自宅で引き続き生活ができなくなった場合、改めて養育費を取り決めると、場合によっては住宅ローンの支払いをしている元夫の負担が増える可能性もないとは言えません。
 このような事情や一番にはお子さまの事情を一番に考えていただくよう、元夫と交渉をし、その点を理解いただけたことが、本件を円満に解決することができた理由であると思います。
取扱事例6
  • 裁判
不貞行為をした夫から離婚請求を求められたケース

依頼者:40代(女性)

【相談前】

事案の概要
 妻が療養看護中、不貞行為をした夫が、その相手方と結婚をしたいと考え、妻に対して、離婚をして欲しいと請求をしてきたケースになります。夫婦の間には、二人の未成年のお子さまがいます。

 ご依頼
 依頼された女性は、病気により倒れられ、遷延性の意識障がいとなり、意思疎通が決めて困難な状況です。そのためその女性には、成年後見手続きが開始され、成年後見人には夫ではなく、実父が就任しました。
 妻が病院で遷延性の意識障がいのため療養看護を受け、リハビリを行っている最中に、夫は女性と不貞行為に至りました。さらにその女性と結婚をしたいと考え、妻との離婚を求めてきました。
 妻の父は、前述したような状態で離婚を求めてくる義理の息子のやり方に非常に憤慨するとともに、困惑をされ、その相談に来られました。相手方から離婚の裁判が提起されたこともあり、その対応をするため、裁判を受任いたしました。

【相談後】

依頼者の側としては、夫の離婚請求は、自ら離婚原因を作り出した本人が求めているものであり、有責配偶者からのこのような離婚請求は認められるべきでないとして争いました。また夫側からは、遷延性意識障害の状態が継続している以上、意思の疎通が全くできない状態では夫婦関係は破綻をしていると言わざるを得ず、そのこと自体には、夫に特段の責任はないというような反論も出されました。

 結 果
 裁判中、何度か話し合いによる解決(裁判上の和解)が裁判所からも提案されましたが、夫の離婚請求を心情的に許すことができないと考えた実父が、判決を望んだこともあり、前記和解での解決には至りませんでした。
 裁判所の判決は、夫の離婚請求を認めない(つまり夫の離婚請求を棄却する)内容でした。それを不服とした夫が、東京高裁への控訴を行いましたが、控訴審においても、同様に夫の離婚請求は、認められませんでした。


【先生のコメント】

結果的には、夫からの離婚請求が認められない結果で裁判は終了しました。本件においては、不貞行為を行った夫から離婚を求められた妻が、御自身の判断で離婚を選択するか否かという決断ができないという特殊性がありました。
ご自分で判断ができたとすれば、どのような結論を出されたのか、その点が非常に悩ましい問題でもあります。ただ現実問題として、夫婦の何れかが病気により意思疎通ができない状況に至った場合、もう一方の配偶者が離婚という選択を望む場合、どのように考えるべきかという難しい問題は、本件に限らず、一般的に起こり得る問題であると思っています。成年後見人や周囲の親族、知人の方が、ご本人の意思を推測しながら、解決を図っていくしかないと考えています。
取扱事例7
  • 婚姻費用(別居中の生活費など)
婚姻費用の支払いを単純に請求されたケースではなく、離婚後、財産分与の請求を受ける中で、過去の婚姻費用の請求を求められたケース

依頼者:40代(男性)

【相談前】
ご依頼された方は、裁判で相手方と離婚をすることになりました。離婚後、相手方から離婚成立までの別居期間中(約5年間)に全く婚姻費用の支払いを受けていないので、その婚姻費用を支払うように財産分与の調停事件の中で請求を受けました。その請求を受けた婚姻費用の額は、総額で500万円程度です。
依頼された方としては、そもそも自分は、元妻から別居期間中、全く婚姻費用の請求を受けていませんでした。また裁判で離婚が認められるまで、その調停及び裁判期間中も相手方からは具体的に婚姻費用の請求はありませんでした。
離婚後、財産分与の調停の中で、突如として別居期間中の婚姻費用を500万円以上支払うように求められ、依頼者としては非常に困惑をした事件でした。この婚姻費用以外にも婚姻期間中に貯金をした預金、生命保険、そして支給されることになる退職金などについても、財産分与の対象として請求を受けましたので、その金額は非常に大きな金額となり、ご自身では対応できないとのことで、ご依頼を受け、調停手続きを正式に受任いたしました。


【相談後】
調停及び審判手続について
この件では、相手方から請求を受けた婚姻費用の金額が500万円程度と高額であったため、調停での話し合いが困難であり、結局審判になり、裁判所が判断することになりました。裁判所の判断は、相手方は、別居期間中、婚姻費用の請求ができるにも関わらず、明確にその請求を行わなかったこと、そのような場合、離婚成立後、財産分与の手続の中で婚姻費用を請求することは、依頼された方にとって、不意打ちとなることなどを理由に、婚姻費用に関する相手方の請求を一切認めませんでした。


【先生のコメント】
今回の財産分与の調停においては、依頼された方が、婚姻費用に関して、相手方の請求を全て排除することができたので、結論としては非常に助かり、満足した結果でした。
仮に相手方の立場で考えると、請求すべき婚姻費用がある場合は、内容証明での請求や調停手続を申し立てるなど、婚姻費用の請求をできるだけ明確な手続で早期に行うことが必要であることが分かります。
婚姻費用の請求を行う場合は、当事者双方の収入状況、資産状況、別居期間等の色々な事情が考慮された上で決められる可能性があります。また早期に手続を行わない場合、婚姻費用を本来であれば請求できる状況の方が、婚姻費用の請求が認められないという不利益を被る可能性がありますので、この点注意をすることが必要であると思います。
取扱事例8
  • 不倫・浮気
夫と不貞関係にあった女性に対して、損害賠償請求権(慰謝料請求)を求めたケース

依頼者:30代(女性)

【相談前】
事案の概要
 偶々夫の携帯を見たことにより妻が、夫の不貞行為を知ることになりました。その妻が、不貞行為の相手方である女性(以下A子と省略します)に対して、慰謝料請求を求めたケースになります。
 依頼された方は、当初夫と離婚をして、夫及びA子を相手に裁判をすることまで考えましたが、これからの生活を考え、当面は今後の夫の様子を見て、離婚をするか否か決めていくことになりました。しかしA子に対しては、しっかりと法的な責任を追及したいということで、慰謝料請求を求めていきました。夫とA子との不貞関係は、5年以上の長期に及んでいたことや、夫の不貞発覚前、夫からは離婚の申し出を受けるということがあったこと(夫が不貞をしているとは知らない依頼者は、夫から離婚の話を切り出されたのは、自分に何か原因があるのかとご本人も相当悩まれたとのことです)、夫から離婚の話を切り出されて、家庭がぎくしゃくしたことを当時、不貞相手のA子自身も知っていたこと、それにもかかわらず依然として、不貞行為を継続していたことなどの事情から、当初300万円の慰謝料の請求をすることで事件の依頼を受け、A子に内容証明による請求をしました。


【相談後】
A子は、内容証明により損害賠償請求を受けたことにより、同女性も弁護士にその対応を依頼しました。A子の弁護士からは、不貞行為は認めるものの、依頼者と夫とが離婚に至っていないことなどを理由に、極めて低額な賠償金額の提示をしてきました。
 しかし不貞行為が長期間に及ぶこと、そしてそれを裏付ける証拠があること、また前述したような低額な賠償額しか支払わないのであれば、裁判を提起して、事実関係を明らかにする旨の強い申し入れを行いました。
 結果としては、A子が賠償額として、依頼者に対して200万円を支払うこと、また示談後、謝罪文の提出を行うことで、解決に至りました


【先生のコメント】
 夫婦が離婚に至っていない状況を考えると、200万円という賠償額は、比較的高い金額で解決をすることができたと思います。通常、100万円程度の金額で示談をすることが、このようなケースでは多いと思います。
 このような形で解決ができたのは、裁判を辞さないという強い態度でA子側に申し入れをしたこと、またA子としても、現在の職場などに今回の不貞行為が知られてしまうことを回避したかったため、早期に解決を図りたいという思いが強かったのではないかと思われること(こちらとしては、職場に今回の件を申し入れるなどということを伝えた事実は一切ありませんが)、裁判になって、具体的な不貞行為の内容が詳らかにされることをA子としても、避けたかったのではないか、などの事情があったと思われます。
 今回のケースでは、不貞行為を裏付ける証拠をある程度事前に確保していたため、加害者であるA子に対して、強い態度で臨むことができた点が、解決に至った大きなポイントであったと思います。
電話でお問い合わせ
050-7586-0978
時間外

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