はら ひろこ
原 央呂子弁護士
東京スタートアップ法律事務所
四ツ谷駅
東京都千代田区麹町6-6-2 番町麹町ビルディング5階
離婚問題や性被害。「誰に話したらいいかわからないこと」を、私に話してください。
東京スタートアップ法律事務所の原央呂子弁護士。柔らかな表情とまっすぐ見つめるその瞳で、悩みを抱えるさまざまな女性と向き合ってきました。そんな原先生に、弁護士としてのこれまでの実績や、弁護士を志した理由、悩みを抱えている人に伝えたいメッセージなどを伺います。
01 弁護士としての実績
離婚や男女間のトラブルなど。悩みを抱える女性の味方に
――先生のお話を伺う前に…まず、シェアオフィス内に事務所を構えているという御社のロケーションに驚きました。
確かに珍しいかもしれませんね。ただ、すべてがシェアスペースではなく、堅牢なセキュリティに担保された我々だけの執務スペースがあります。この点では通常のオフィス以上に守秘義務はきっちりと守られているのでご安心ください。確かに、雰囲気としては、“お堅い感じ”はまったくなく、ベンチャー企業のような活気があって、とてもフランクです。いろいろな経歴をもつ弁護士が在籍していて、各自が強みを活かした依頼を担当しています。
――その中で原先生がご担当されているのは主にどんな案件ですか?
企業法務や刑事事件、債務整理、一般民事などがありますが、割合として最も多く担当してきたのが企業法務や離婚・男女問題に関する事案です。男女問題の事案では、女性の相談者から問い合わせがあった際に同性の弁護士を希望されることも多く、私が担当することもあります
――特に印象的な事例として覚えているものはありますか?
性被害を受けた被害者女性からの相談は、すべて心の中に残っています。具体的な事例は出せませんが、相談者は心に深い傷を負っているので、対応には細心の注意を払います。中には、加害者側の弁護士から示談の申し入れの電話がかかってくることに怯える人もいました。同性の弁護士として、彼女たちの不安をできるだけ取り除けるよう、ケアしながら慎重に進めていきます。
また、別件では債務整理の手続きについて相談を受けた、とある若い女性の依頼者が印象的でした。その方は過去にも弁護士に相談したうえで任意整理の手続きをとっていましたが、結局状況がよくならずに自己破産をしたいという相談でした。初めてお会いしたときはとても緊張していて、マスクをして下を向き、なかなかお話をしてくれませんでした。
――それは、一度失敗したこともあり、弁護士に対して不信感を抱いていたということでしょうか。
そういった思いもあったのかもしれません。しかし、「何か疑問に思うことがあればいつでもお気軽にご連絡ください」と、こちらから粘り強くコミュニケーションを続けたところ、少しずつ話をしてくださるようになりました。その方からメールで「初回は緊張して喋れず、すみませんでした」と送られてきたとき、心を開いてくれたのだと感じて嬉しかったです。
02 相談者との向き合い方
町の診療所を受診するように、早期に相談して欲しい
――依頼者の話を聞くときに原さんが意識していることはありますか?
相手のことをよく“見る”ようにしています。先程お話した、債務整理のご相談を受けた女性の事例もそうですが、依頼者の方が皆最初から全てを語ってくれるわけではありません。それもそのはず、大半の方にとっては「弁護士に相談する」という経験自体が初めて。依頼者が緊張している場合、まずはこちらから質問を投げかけて会話をリードしていく必要があります。そのときに大切なのが、ただ相手の受け答えの言葉だけを聞くのではなく、態度や表情、仕草など、それ以外のところに注目するということ。相手をよく見ると、“言葉の裏側”や“声にならないメッセージ”を感じとることができます。
――心理カウンセラーのようですね。依頼者が緊張しているということを前提として考え、依頼者に寄り添うように対応されているのですね。
これは私たち弁護士としての課題でもあると思いますが、一般の人は弁護士に対して「遠い存在」というイメージを根強くもっています。だからこそ、そのイメージを乗り越えてご相談に来られた方には、話しやすい環境をこちらから作ってあげたいと考えています。理想は、弁護士事務所が「町の診療所」のような存在になること。体に異変を感じるとすぐに町の診療所に行く人がいますが、その結果、特に異常なしと診断されることもあれば、大きな病気の早期発見につながることもあるでしょう。弁護士事務所も一般の人にとってもっと身近な存在になることで、法律問題も深刻化する前に早期で解決できるようになるはずです。
――中には「自分が抱えている悩みを弁護士に相談すべきかどうか」ということで悩んでいる方もいると思いますが、そういった人はどのように考えるべきでしょうか?
法律で解決できることか、それとも法律以外の方法で解決すべきかことかということ自体、弁護士の判断で明らかになると思います。だからこそ、何らかの悩みを抱えていて精神的に苦痛を感じているのなら、まずは一度弁護士事務所に相談して欲しいです。
03 経歴・強み
海外経験で培ったのは語学と“多様な価値観”
――原先生のご経歴を簡単に教えていただけますか?
中学卒業までを日本で生活してから、留学してニュージーランドに高校に通い、イギリスの大学を卒業しました。その後は帰国して一度貿易関係の会社に就職しましたが、もともと法律に興味があったので、一から勉強をして司法試験に合格し、念願の弁護士になりました。
――法律のどんなところに興味があったのですか?
法律を知るということは、この国の“ルール”を知るということ。ルールそのものにも興味がありましたが、それだけで全てが取り締まれるというわけではありません。そこで必要になるのが弁護士という仕事。法のスペシャリストとして、困った人の力になれるという弁護士の仕事に魅力を感じていました。
――海外経験が仕事に活かされていると感じたことはありますか?
まず、英語力は役に立ちますね。企業法務では、英文契約書の翻訳にも対応できます。また、海外生活中は人種を超えていろいろな人と接する機会がありました。そこで得た、多様性を認めて相手の立場に立って考えるという感覚は、様々な悩みをもつ依頼者から相談を受けるときに活かされているのかもしれません。
04 弁護士としての目標
「この人なら相談できるかも」そう思ってもらえる人になりたい
――仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか?
とても単純ですけど、面談に来た方が話をしたことでスッキリして、笑顔で帰っていく姿を見るときは私も嬉しくなります。「町の診療所」を例に話しましたが、弁護士として委任契約に至らなくても、その人の気持ちが晴れたり、法律以外の解決策が見つかったりすれば、それでいいと思っています。
――依頼者から深刻な相談を受ける中、先生自身が神経をすり減らすようなことはありませんか?
私はすごくプラス思考の人間なので、あまり精神的にダメージを受けるということはないですね。ご相談に来られる方は深い悩みを抱えていらっしゃることもあるので、そこは汲み取り、寄り添いつつ、最後はポジティブなエネルギーで解決に導きたいと思っています。
――それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。
弁護士に相談することを躊躇っている方にも「この人なら気軽に相談できるかも」と思ってもらえるような弁護士になり、少しでも多くの方のお役に立てるようになりたいと考えています。それが私の目標です。「この悩みを誰に相談したらいいかわからない」と思っている方は、ぜひ一度、私にご連絡いただければと思います。
撮影 WeWork Oceangate Minatomirai