内定取消しの違法性を主張し、慰謝料及び逸失利益(収入減少に関する損害)の賠償を求め、勝訴的和解を獲得した事例
清水 卓
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
ご依頼者はある事業でリーダーとして活躍していたところ,同業会社の社長の目に止まり,「是非,我が社に来ないか。今の会社よりもお給料をはずむから」というスカウトを受けました。
ご依頼者は現職場を気に入っていたため,誘いを受けて転職するか否か悩みましたが,シングルマザーであったご依頼者は,育ち盛りの子どもたちを育てるのにこれからもお金が沢山かかるという家族事情を踏まえ,この誘いを受けることとしました。
しかしながら,現職場に退職の話をつけ,後戻りができない時期に,スカウトしてきた社長からいきなり一方的に内定取消しの連絡を受けました。
【相談後】
ご依頼者は、内定先の会社の社長に対し,内定取消しの撤回を求めたものの撤回がされることはなく、それならば生じた損害の賠償をしてもらいたいと伝えても,無視され続けました。
そのような状況下、当事務所がご依頼者から相談を受け、交渉による解決を試みたものの,同社は話し合いに全く応じようとしませんでした。
そのため、ご依頼者とよく相談したところ,時間がかかってもいいので、この会社に内定取消しが違法であることを認めさせ、生じた損害の賠償をさせたいということで、訴訟による解決を目指すことになりました。
【コメント】
この事案では、内定先の会社との信頼関係回復が不可能ということで、内定取消しの無効を求めるのではなく、違法な内定取消しに基づく損害賠償を求める方針で訴訟に臨みました。
ご依頼者は転職活動をがんばったものの、これまでのキャリアに傷がついてしまい、転職が思うように行かず、本来得られるはずであった収入(内定を出した会社で支払われるはずであった給料)よりも、収入が減少してしまうこととなりました。
そのため,慰謝料のみならず、逸失利益(収入減少に関する損害)についても賠償を求めることにしました。
訴訟はご依頼者の有利に進み、判決も見据えていたところ、依頼者が良い条件で再転職することとなり、その仕事で忙しくなるため、訴訟の長期化を望まない新たな事情が生じました。
そのため、裁判所とも協議の上、①内定取消しで会社が依頼者に多大なる迷惑をかけたことに対する謝罪、②会社からご依頼者への解決金の支払を内容とする勝訴的和解を成立させ、解決に至りました。
弁護士としては判決を獲得したかった事案ではあるものの、依頼者の意向に沿った良い解決ができたのではないかと思います。