おおが こういち
大賀 浩一弁護士
さっぽろ法律事務所
西11丁目駅
北海道札幌市中央区大通西10丁目4 南大通ビル3階
インタビュー | 大賀 浩一弁護士 さっぽろ法律事務所
社会的弱者に寄り添い30年。依頼者と二人三脚で勝利を目指す”人権派”弁護士
生まれ育った札幌を拠点に30年以上活動してきた、さっぽろ法律事務所の大賀 浩一(おおが こういち)弁護士。
とくに労災の問題に強く、不支給決定の取り消しを求めた訴訟で国を相手に勝訴した実績などがあります。
また、ひき逃げ死亡事故で加害者は不起訴になるも、民事訴訟で多額の損害賠償を手にしたことも。
たとえ証拠が乏しくても、依頼者の心が折れかけても、希望を捨てずに最後は勝利を手繰り寄せる執念の弁護活動に迫ります。
とくに労災の問題に強く、不支給決定の取り消しを求めた訴訟で国を相手に勝訴した実績などがあります。
また、ひき逃げ死亡事故で加害者は不起訴になるも、民事訴訟で多額の損害賠償を手にしたことも。
たとえ証拠が乏しくても、依頼者の心が折れかけても、希望を捨てずに最後は勝利を手繰り寄せる執念の弁護活動に迫ります。
01 キャリアの歩み
社会的弱者に寄り添い約30年。石炭じん肺訴訟や原爆症認定訴訟なども
ーー30年以上もの長い間、弁護士を続けていらっしゃるようですね(2025年1月現在)。
新人の頃が懐かしいですよね。
最初は「来るもの拒まず」でいろんな事件を引き受け、1つずつ解決するのに必死でした。
離婚、相続、債務整理、労働問題、交通事故、刑事事件などです。
弁護団活動や集団訴訟にも力を注いできました。
10年以上の長いスパンで携わったのが、北海道石炭じん肺訴訟やフランチャイズ契約違反をめぐる裁判です。
ほかにも、原爆症認定訴訟やハンセン病をめぐる国賠訴訟、生活保護費引き下げ違憲訴訟などもあります。
ハラスメント被害や養育費の不払い、多重債務に苦しんでいる方などを含め、一貫して社会的に弱い立場に置かれた方々に寄り添い続けた約30年だったように思います。
ーー現在はどんな事件をメインに扱っているんですか?
件数としては離婚や相続、債務整理が多いですね。
思い入れがひときわ強いのは、ひとつは労働問題です。
先ほどのフランチャイズ訴訟はもちろん、不当解雇や残業代未払いなどのご相談も数多くお受けしてきました。
全国の弁護士で構成する日本労働弁護団のメンバーとして、労働判例の勉強会や無料の相談会などにも参加しています。
私に特徴的なのはとくに労災のご依頼が多く、労働事件の過半数を占めることです。
きっかけは、原爆症認定訴訟に携わったことでした。
そこで知り合った学者の方々が、労災の患者さんやご家族を支援しており、悲惨な現実を目の当たりにして放って置けなくなったんです。
新人の頃が懐かしいですよね。
最初は「来るもの拒まず」でいろんな事件を引き受け、1つずつ解決するのに必死でした。
離婚、相続、債務整理、労働問題、交通事故、刑事事件などです。
弁護団活動や集団訴訟にも力を注いできました。
10年以上の長いスパンで携わったのが、北海道石炭じん肺訴訟やフランチャイズ契約違反をめぐる裁判です。
ほかにも、原爆症認定訴訟やハンセン病をめぐる国賠訴訟、生活保護費引き下げ違憲訴訟などもあります。
ハラスメント被害や養育費の不払い、多重債務に苦しんでいる方などを含め、一貫して社会的に弱い立場に置かれた方々に寄り添い続けた約30年だったように思います。
ーー現在はどんな事件をメインに扱っているんですか?
件数としては離婚や相続、債務整理が多いですね。
思い入れがひときわ強いのは、ひとつは労働問題です。
先ほどのフランチャイズ訴訟はもちろん、不当解雇や残業代未払いなどのご相談も数多くお受けしてきました。
全国の弁護士で構成する日本労働弁護団のメンバーとして、労働判例の勉強会や無料の相談会などにも参加しています。
私に特徴的なのはとくに労災のご依頼が多く、労働事件の過半数を占めることです。
きっかけは、原爆症認定訴訟に携わったことでした。
そこで知り合った学者の方々が、労災の患者さんやご家族を支援しており、悲惨な現実を目の当たりにして放って置けなくなったんです。
02 得意分野と実績①
上司のパワハラで精神疾患。労災は不支給決定も、取り消し求めた裁判で勝訴
ーー労働問題のなかでも、労災に力を入れている弁護士は決して多くないのでしょうか?
解雇や残業代などと比べると、少ないと思いますよ。
それだけ時間も手間もかかるからです。
たとえば以前、解決まで約5年もの長い年月を費やした壮絶な争いがありました。
依頼者さまは、大手企業に勤めていた方でした。
社内表彰を何度も受けるほど将来を嘱望されていたんですが、ある支店に異動してから奈落の底に突き落とされることになります。
とんでもないパワハラ上司に目をつけられ、連日の嫌がらせや叱責にわずか数ヶ月で精神疾患を患い、休職に追い込まれてしまったんです。
ーーそこから5年に及ぶ長い闘いが始まったと。
まずは労災を申請したものの、労働基準監督署が下したのは不支給決定。
二度にわたって不服を申し立てましたが、それも棄却されました。
残された手段は、不支給決定の取り消しを求める行政訴訟を起こすこと。
相手は国ですから、そう簡単に勝てる裁判ではありません。
それでも、やるしかありませんよね。
私たちと、被告の国の主張は真っ向から対立。
しかし、最後は勝訴して終えました。
決め手になったのは、反対尋問でした。
国側が申請したパワハラの加害者や同僚らに対する反対尋問。
そこで動揺を誘ったり、不誠実な態度を引き出したりしたことが裁判官の判断に影響を与えたんだと思います。
ーー晴れて労災不認定が取り消されたわけですね。
そのうえで、会社側と損害賠償について交渉に乗り出しました。
その相手方代理人もなかなか難敵でしてね。
決裂寸前のところでなんとか折り合いをつけ、依頼者さまに十分ご満足いただける金額で示談解決することができました。
ハラスメントによる精神疾患は因果関係を証明しづらく、労災認定には壁が立ちはだかります。
その依頼者さまも、私にたどり着くまでに何人もの弁護士に当たっては断られ、それでも挫けずに探し回っていたそうです。
「よくぞここまで来てくださった」と思いましたね。
私がやらなかったら、誰が助けられるというのかーー。
なんとか力になりたい一心で引き受けさせていただきました。
解雇や残業代などと比べると、少ないと思いますよ。
それだけ時間も手間もかかるからです。
たとえば以前、解決まで約5年もの長い年月を費やした壮絶な争いがありました。
依頼者さまは、大手企業に勤めていた方でした。
社内表彰を何度も受けるほど将来を嘱望されていたんですが、ある支店に異動してから奈落の底に突き落とされることになります。
とんでもないパワハラ上司に目をつけられ、連日の嫌がらせや叱責にわずか数ヶ月で精神疾患を患い、休職に追い込まれてしまったんです。
ーーそこから5年に及ぶ長い闘いが始まったと。
まずは労災を申請したものの、労働基準監督署が下したのは不支給決定。
二度にわたって不服を申し立てましたが、それも棄却されました。
残された手段は、不支給決定の取り消しを求める行政訴訟を起こすこと。
相手は国ですから、そう簡単に勝てる裁判ではありません。
それでも、やるしかありませんよね。
私たちと、被告の国の主張は真っ向から対立。
しかし、最後は勝訴して終えました。
決め手になったのは、反対尋問でした。
国側が申請したパワハラの加害者や同僚らに対する反対尋問。
そこで動揺を誘ったり、不誠実な態度を引き出したりしたことが裁判官の判断に影響を与えたんだと思います。
ーー晴れて労災不認定が取り消されたわけですね。
そのうえで、会社側と損害賠償について交渉に乗り出しました。
その相手方代理人もなかなか難敵でしてね。
決裂寸前のところでなんとか折り合いをつけ、依頼者さまに十分ご満足いただける金額で示談解決することができました。
ハラスメントによる精神疾患は因果関係を証明しづらく、労災認定には壁が立ちはだかります。
その依頼者さまも、私にたどり着くまでに何人もの弁護士に当たっては断られ、それでも挫けずに探し回っていたそうです。
「よくぞここまで来てくださった」と思いましたね。
私がやらなかったら、誰が助けられるというのかーー。
なんとか力になりたい一心で引き受けさせていただきました。
03 得意分野と実績②
ひき逃げ死亡事故で加害者は不起訴も、民事で5,000万円超の損害賠償
ーーほかにも印象に残っている事件をぜひお聞きしたいです。
忘れられない事件があります。
埼玉県内で起きたひき逃げ死亡事故です。
亡くなった方は、バイクを運転していた男性でした。
後ろから大型トラックが急に幅寄せしてきたので、接触を避けようとしたら路肩に乗り上げ、電柱に衝突して即死という悲惨な事故。
しかも、あろうことかトラックはその場から逃走したんですよ。
ーーひどい事故ですね。
ただ、トラックの運転手に課されたのは自動車運転致死による罰金のみで、懲役刑もあり得るひき逃げの罪については不起訴となったそうです。
北海道にいらしたご遺族が、それは到底納得できないとして私のもとを訪ねてこられたんです。
不起訴処分は不当だとして検察審査会に審査を申し立てましたが、残念ながら不起訴相当となり捜査は終結。
となれば、もう民事で闘うしか手はありません。
運転手と勤務先の運送会社を相手に、損害賠償請求訴訟を起こしました。
ーー裁判ではどんな戦略を取ったんですか?
実は、埼玉県内の警察署まで出向いて事故の記録を調べていたところ、重要な目撃者がいることがわかっていたんです。
ただ、住所、氏名、電話番号とも黒塗りで身元は不明。
裁判手続きのなかでそれを開示してもらい、コンタクトを取って法廷で証言を頼めないかと考えていました。
裁判所を通じて検察に何度も働きかけると、住所と氏名が出てきたんです。
ただ、お手紙を出しても返事はなし。
仕方なく埼玉にあるご自宅を訪ねると、同居するお父さまが庭いじりをしていらっしゃいましてね。
「息子さんに渡してください」と、ひとまずお手紙を託しました。
ーー果たして、返事はあったんでしょうか?
それが、あったんですよ。
ですから、また埼玉まですっ飛んでいってお話することができたんですが、「証人になるのは勘弁してほしい」と頑なに断られてしまいましてね。
どうしたものかと頭を抱えていたんですが、裁判官がその目撃者の存在にえらく興味を示してきたんですよ。
それも踏まえて私から再び事情を説明したところ、証言台に立ってくれることになったんです。
その証言は、裁判官の心を動かすような実にリアルなものでした。
というのも、彼は事故を起こしたトラックのすぐ後ろを車で走っていたので、急な幅寄せやひき逃げの様子をばっちり目にしていたんです。
ーーこれで勝負あり、という展開になったと。
相手は判決までいくとダメージが大きいと判断したんでしょう。
和解が成立し、5,000万円を超える損害賠償が認められる結果となりました。
舞台となった横浜地裁には、北海道からご遺族も駆けつけてくださいましてね。
終わった後は、みんな揃って中華街で祝勝会ですよ。
今でも亡くなった方の弟さんとはお付き合いがあって、食事をする仲でもあるんです。
忘れられない事件があります。
埼玉県内で起きたひき逃げ死亡事故です。
亡くなった方は、バイクを運転していた男性でした。
後ろから大型トラックが急に幅寄せしてきたので、接触を避けようとしたら路肩に乗り上げ、電柱に衝突して即死という悲惨な事故。
しかも、あろうことかトラックはその場から逃走したんですよ。
ーーひどい事故ですね。
ただ、トラックの運転手に課されたのは自動車運転致死による罰金のみで、懲役刑もあり得るひき逃げの罪については不起訴となったそうです。
北海道にいらしたご遺族が、それは到底納得できないとして私のもとを訪ねてこられたんです。
不起訴処分は不当だとして検察審査会に審査を申し立てましたが、残念ながら不起訴相当となり捜査は終結。
となれば、もう民事で闘うしか手はありません。
運転手と勤務先の運送会社を相手に、損害賠償請求訴訟を起こしました。
ーー裁判ではどんな戦略を取ったんですか?
実は、埼玉県内の警察署まで出向いて事故の記録を調べていたところ、重要な目撃者がいることがわかっていたんです。
ただ、住所、氏名、電話番号とも黒塗りで身元は不明。
裁判手続きのなかでそれを開示してもらい、コンタクトを取って法廷で証言を頼めないかと考えていました。
裁判所を通じて検察に何度も働きかけると、住所と氏名が出てきたんです。
ただ、お手紙を出しても返事はなし。
仕方なく埼玉にあるご自宅を訪ねると、同居するお父さまが庭いじりをしていらっしゃいましてね。
「息子さんに渡してください」と、ひとまずお手紙を託しました。
ーー果たして、返事はあったんでしょうか?
それが、あったんですよ。
ですから、また埼玉まですっ飛んでいってお話することができたんですが、「証人になるのは勘弁してほしい」と頑なに断られてしまいましてね。
どうしたものかと頭を抱えていたんですが、裁判官がその目撃者の存在にえらく興味を示してきたんですよ。
それも踏まえて私から再び事情を説明したところ、証言台に立ってくれることになったんです。
その証言は、裁判官の心を動かすような実にリアルなものでした。
というのも、彼は事故を起こしたトラックのすぐ後ろを車で走っていたので、急な幅寄せやひき逃げの様子をばっちり目にしていたんです。
ーーこれで勝負あり、という展開になったと。
相手は判決までいくとダメージが大きいと判断したんでしょう。
和解が成立し、5,000万円を超える損害賠償が認められる結果となりました。
舞台となった横浜地裁には、北海道からご遺族も駆けつけてくださいましてね。
終わった後は、みんな揃って中華街で祝勝会ですよ。
今でも亡くなった方の弟さんとはお付き合いがあって、食事をする仲でもあるんです。
04 依頼者への思い
最後まで二人三脚でやり遂げる。息抜きは温泉、現役生活への思いも
ーー弁護士として、一番大切にしているのはどんなことですか?
決してあきらめないことです。
「わずかながらでも、勝算はある」と見通しを立てて引き受けた以上は、依頼者さまと二人三脚でゴールを目がけて走り抜けます。
どんなことがあってもです。
証拠の乏しい労災事件をはじめ、ともすれば私よりも依頼者さまの心が先に折れてしまうことも少なくありません。
でも、あきらめたらそこで終わりですからね。
依頼者さまのために、なんとか最後までやり遂げようと心に誓っています。
ーー明るく振る舞い、笑顔を絶やさない姿も印象的です。エネルギッシュな方なんですね。
昔のように連日の徹夜仕事には、だんだん体がもたなくなってきましたけどね。
それでも、30年以上もキャリアを重ねても、依頼者さまを思う気持ちや事件解決に傾ける執念はちっとも変わりません。
少しは息抜きもしていますよ。
一番は温泉巡りです。
妻と一緒に全国あちこちを回りましてね。
お気に入りは乳頭温泉(秋田県)や黒川温泉(熊本県)、草津温泉(群馬県)にもまた行きたいですね。
気力と体力が続く限り、まだまだ10年、20年と現役でこの仕事を長く続けていくつもりです。
理不尽な目に遭って苦しんでいる方がいらっしゃれば、決して泣き寝入りせず私を頼っていただけるとうれしいですね。
決してあきらめないことです。
「わずかながらでも、勝算はある」と見通しを立てて引き受けた以上は、依頼者さまと二人三脚でゴールを目がけて走り抜けます。
どんなことがあってもです。
証拠の乏しい労災事件をはじめ、ともすれば私よりも依頼者さまの心が先に折れてしまうことも少なくありません。
でも、あきらめたらそこで終わりですからね。
依頼者さまのために、なんとか最後までやり遂げようと心に誓っています。
ーー明るく振る舞い、笑顔を絶やさない姿も印象的です。エネルギッシュな方なんですね。
昔のように連日の徹夜仕事には、だんだん体がもたなくなってきましたけどね。
それでも、30年以上もキャリアを重ねても、依頼者さまを思う気持ちや事件解決に傾ける執念はちっとも変わりません。
少しは息抜きもしていますよ。
一番は温泉巡りです。
妻と一緒に全国あちこちを回りましてね。
お気に入りは乳頭温泉(秋田県)や黒川温泉(熊本県)、草津温泉(群馬県)にもまた行きたいですね。
気力と体力が続く限り、まだまだ10年、20年と現役でこの仕事を長く続けていくつもりです。
理不尽な目に遭って苦しんでいる方がいらっしゃれば、決して泣き寝入りせず私を頼っていただけるとうれしいですね。