「経営方針が合わない取締役に辞めてもらいたいが、後からトラブルにならないか不安だ」
「不正の疑いがある取締役を外したいのに、株式の保有割合の関係で株主総会の決議を通せそうにない」
取締役の解任は、手続きを誤ると決議そのものが取り消されたり、解任された取締役から損害賠償を請求されたりする可能性があるため、慎重に進める必要があります。
必要な準備をしたうえで解任の手続きを進めれば、紛争になるリスクを抑えながら経営体制を立て直しやすくなるでしょう。
この記事では、取締役の解任に必要な決議要件、手続の流れ、正当な理由の判断、損害賠償の範囲、株主総会で可決できない場合の対応、実務上の注意点までを順に解説します。
取締役の解任は、会社の意思決定のなかでも影響の大きい判断です。
制度の全体像をつかんだうえで、課題の解決に向けて動きましょう。

取締役の解任とは、任期の途中で、会社の側から一方的に取締役としての地位を失わせることをいいます。
ここではまず、解任と辞任、任期満了による退任、従業員の解雇、代表取締役の解職との違いを整理します。
解任は会社の意思によって地位を失わせるもので、辞任は取締役本人の意思によって地位を離れるものです。
取締役と会社の関係は委任に関する規定に従うとされており、委任契約は当事者のいずれからでも解除できるのが原則です。
実務では、解任の決議に踏み切る前に、本人に辞任を求める交渉が行われることがよくあります。
辞任であれば、後述する解任にともなう損害賠償の問題が生じにくいためです。
ただし、辞任を強要したと評価されるような進め方をすると、辞任の意思表示の効力自体が争われることがあります。
任期満了による退任は、定められた任期が終わり、再任されなかった結果として地位を失うものです。
取締役の任期は原則として選任後2年以内に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結時までですが、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除きます。)では、定款で10年まで伸ばすことができます。
任期の満了を待って再任しない方法であれば、任期の途中で地位を失わせるわけではないため、解任にともなう損害賠償の問題は生じないと考えられています。
解任を検討する際には、まず対象となる取締役の任期がいつまでかを登記事項証明書と定款で確認し、待てる期間かどうかを判断することが出発点になります。
従業員の解雇には、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は無効とするという、労働契約法上の制限がかかります。
これに対して取締役としての地位の解任には、従業員の解雇に関するこの制限は及びません。
株主総会の決議が有効に成立すれば、正当な理由の有無にかかわらず地位は失われます。
ただし、正当な理由がない場合には、地位を失わせること自体は有効でも、会社が損害賠償の責任を負う可能性があります。
解任できるかどうかという問題と、解任にともなう金銭の負担が生じるかどうかという問題は、切り分けて考える必要があります。
代表取締役の地位を失わせることは、解任ではなく解職と呼ばれます。
取締役会設置会社では、代表取締役の選定と解職は取締役会の決議事項とされているため、株主総会ではなく取締役会で決議します。
取締役の解任 |
代表取締役の解職 |
|
|---|---|---|
決議する機関 |
株主総会 |
取締役会(取締役会設置会社の場合) |
失う地位 |
取締役の地位 |
代表取締役の地位のみ(取締役としては残る) |
対象者の議決権 |
解任の対象であっても株主として議決権を行使できる |
特別の利害関係を有する取締役として議決に加われない |
解職の場合、対象者は取締役としては会社に残ります。
取締役の地位からも外すのであれば、株主総会での解任決議が別途必要になります。
どちらを目的としているのかによって、招集する機関も必要な手続も変わるため、着手前に整理しておきましょう。

取締役の解任は、株主総会の決議によっていつでも行うことができるとされています(会社法339条1項)。
必要な決議の種類は、その取締役がどのように選ばれたかによって変わります。
ここでは、原則の要件と、要件が加重される場合を整理します。
通常選任された取締役の解任手続は、株主総会の普通決議を通じて進められます。
この決議の可決には、議決権を行使可能な株主の過半数に当たる議決権を有する株主が出席したうえで、出席株主が有する議決権の過半数による賛成を得なければなりません(会社法341条)。
解任の対象となっている取締役自身が株主である場合でも、株主としての議決権は行使できます。
そのため、対象者が議決権の過半数を保有しているときは、株主総会の決議による解任は事実上難しくなります。
着手する前に、株主名簿で議決権の分布を確認しておく必要があります。
通常の普通決議では、定款によって定足数を排除することができます。
一方、役員の選任と解任の決議については、定款で定めても定足数を議決権の3分の1未満にすることはできません。
株主が分散していて出席率が低い会社では、この定足数を満たせるかどうかが実務上の関門になります。
議決権行使書面や委任状の取り扱いを含め、当日の出席見込みを事前に確認しておくことが重要です。
累積投票とは、複数の取締役を選任する際に、株主が持つ議決権を特定の候補者に集中させることができる方法で、少数株主の意向を取締役の構成に反映させる仕組みです。
この方法で選任された取締役の解任には、普通決議ではなく特別決議が必要になります。
特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を要します。
ただし、定款で定足数を3分の1以上まで引き下げることができます。
自社の過去の選任手続がどの方法で行われたかによって必要な賛成数が変わるため、議事録をさかのぼって確認しておく必要があります。
種類株式を発行し、特定の種類の株主が取締役を選任できる仕組みを設けている会社もあります。
この方法で選任された取締役は、原則としてその取締役を選任した種類株主総会の決議によって解任することになります。
ベンチャーキャピタルからの出資を受けている会社などで、種類株主総会による取締役の選任を定款で定めているケースが該当します。
通常の株主総会では解任できない可能性があるため、定款の定めを確認しておくことが必要です。
監査等委員である取締役と監査役の解任も、特別決議によって行います。
監査を担う立場の独立性を確保するため、通常の取締役より要件が重く設定されているものです。
役職の名称だけで判断すると要件を誤りかねません。
対象者がどの区分の役員として登記されているかを、登記事項証明書で確認したうえで手続を組み立てるようにします。

解任は、株主総会の決議だけで完結するものではありません。
招集の決定から登記までが一連の手続になります。
ここでは、取締役会設置会社を前提に、各ステップで何を行うのかを順に説明します。
まず、取締役会で株主総会の招集を決定します。
開催の日時と場所、株主総会の目的である事項(議題)などを決議します。
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行います。
取締役会に代理人を出席させることは認められていないため、当日の出席の可否を事前に確認しておく必要があります。
なお、解任の対象となる取締役も、この招集決議には参加できるのが原則です。
決定した内容にもとづき、株主に招集通知を発送します。
公開会社では総会の日の2週間前まで、公開会社でない会社では原則として1週間前までに発送する必要があります(公開会社でない会社でも、書面や電磁的方法による議決権行使を認める場合は2週間前までとなります)。
招集通知には、株主総会の目的である事項を記載します。
記載のない議題について決議をしても、後に決議の取消しを求められる原因になります。
誰を解任する議案なのかがわかるように、対象者を特定して記載しておくことが実務上の要点です。
株主総会を開催し、前述の要件に従って解任の決議を行います。
解任の効力は、決議によって生じるのが原則です。
対象となる取締役に対して解任の通知を出すことは、法律上の必須の要件とはされていません。
もっとも、本人が決議の存在を知らないまま業務を継続すると混乱が生じるため、実務では決議後すみやかに通知を行うのが通常です。
決議の内容を記載した株主総会議事録を作成します。
議事録は、後の登記申請の添付書面になるほか、決議の有効性が争われた場合の資料にもなります。
記載すべき主な事項は次のとおりです。
取締役の解任は登記事項であるため、変更の登記を申請します。
申請の期限は、登記すべき事項が生じた時から2週間以内です。
期間内の申請を怠った場合、代表取締役は100万円以下の過料に処される可能性があります。
決議が終わった時点で手続が完了したと考えてしまい、登記が漏れる例は少なくありません。
申請書の様式は法務局の商業・法人登記の申請書様式のページで公開されており、登記懈怠の注意点は法務省の役員変更登記に関する案内にまとめられています。

解任について正当な理由がない場合、解任された者は会社に対して解任によって生じた損害の賠償を請求できると定めています(会社法339条2項)。
したがって、正当な理由が存在するか否かは解任自体の可否を決めるものではなく、会社側に金銭的な支払責任が生じるかどうかを左右する判断基準となります。
ここでは、判断の傾向を整理します。
会社の財産や信用を害する具体的な行為があり、それを裏づける資料がある場合には、正当な理由が認められやすくなります。
たとえば次のような事情です。
共通しているのは、取締役としての職務を適切に果たせない具体的な事実があるという点です。
抽象的な評価ではなく、いつ、何が起きたのかを特定できるかどうかが分かれ目になります。
一方で、次のような事情は、それだけでは正当な理由と認められにくいと考えられています。
業績の不振や交渉の失敗を理由とする場合も、そもそも達成が困難な状況だったと判断されれば、取締役の責任には結びつきません。
経営判断が結果的に失敗したというだけでは、正当な理由が認められない場合があります。
正当な理由の有無は、後になって争われます。
解任の決議を終えた後では、社内の資料へのアクセスが難しくなることもあるため、着手前に整理しておくことが重要です。
確保しておきたい資料の例は次のとおりです。
資料が揃っているかどうかによって、解任に踏み切るか、任期満了を待つかという判断も変わります。
集められる見込みが乏しい場合には、進め方そのものを見直す材料になります。

取締役の解任に正当な理由がないと判断された場合、会社側に賠償責任が生じます。
どこまでが損害に含まれるのかは、会社にとって金額のインパクトに直結する論点です。
ここでは、賠償の範囲についての基本的な考え方を整理します。
損害の中心となるのは、解任されなければ受け取ることができたはずの、残任期分の役員報酬に相当する額です。
そのため、任期がどれだけ残っているかによって金額が大きく変わります。
任期を10年に伸長している会社で、就任から間もない時期に解任した場合、残任期が長いため賠償額も大きくなりえます。
定款で任期を長く定めることには機関運営の負担を減らす利点がありますが、解任の場面ではリスクにもなるという関係にあります。
役員の報酬や退職慰労金は、定款に定めがない場合には株主総会の決議によって定めるとされています。
裏を返せば、定款の定めも株主総会の決議もない状態では、原則として会社に退職慰労金の支払義務は生じないことになります。
もっとも、支給基準が社内で定められ、過去に一貫して支給されてきたといった事情がある場合には、退職慰労金相当額が損害に含まれると判断される可能性があります。
自社に支給の内規があるかどうかを確認しておくことが必要です。
なお、次のような費用・損害は、会社法339条2項に基づく賠償の対象外とされるのが一般的です。
他方で、解任された取締役が他社で報酬を得た場合に、その分を差し引くべきかといった点は個別に判断されます。
賠償額の見込みは事情によって幅が出るため、交渉に入る前に整理しておくとよいでしょう。

解任したい取締役が議決権の多くを保有している場合、通常の決議では解任できません。
その場合にも、いくつかの手段が用意されています。
ここでは、裁判所を利用する方法と、それ以外の現実的な選択肢を説明します。
取締役の職務の執行に関して不正の行為があった場合や、法令・定款に違反する重大な事実があった場合において、株主総会で解任の議案が否決されたときは、株主は裁判所に解任を求める訴えを提起することができます。
役員の解任請求訴訟を提起できる主体は株主に限定されており、不正行為を示す明確な証拠がある場合であっても、従業員や取引先などが直接裁判所へ訴え出ることはできません。他方、対象議案について議決権を持たない株主であっても、保有株式数の要件を満たせば提訴できる場合があります(少数株主権)。
そのため社内で不正が発覚した際は、まず提訴権限を有する株主の有無と適格性を特定・確認することから法的対応を始める必要があります。
主な要件は次のとおりです。
まず株主総会を開いて否決される必要がある点と、提訴の期限が短い点が実務上の注意点です。
訴えを起こす前提として総会を開催することになるため、段取りを先に描いておく必要があります。
訴訟には時間がかかるため、その間に会社の財産がさらに流出するおそれがある場合には、裁判所に対して、取締役の職務の執行を停止し、職務を代行する者を選任するよう求める仮処分を申し立てる方法があります。
認められれば、その旨が登記され、当該取締役は職務を執行できなくなります。
急いで止める必要がある事情と、それを裏づける資料が求められるため、申立ての準備には専門的な検討が必要です。
解任という手段に固執しないことで、より迅速かつ円滑に問題を解決できる可能性もあります。
検討できる主な選択肢には、以下のような項目が挙げられます。
どの方法が現実的かは、株式の保有状況、任期の残り、資料の有無によって変わります。
複数の選択肢を並べて比較したうえで方針を決めることが、結果的に会社の負担を軽減できるでしょう。

取締役解任の要件を満たしたとしても、周辺事項への適切な配慮や対応を怠ると、予期せぬトラブルにつながる恐れがあります。
本項では、実務上とくに注意すべき5つのポイントについて詳しく解説します。
取締役会設置会社では、取締役は3人以上でなければならないとされています。
解任によってこの人数を下回ると、法律上必要な員数を欠いた状態になります。
注意が必要なのは、任期満了や辞任によって退任した役員は、後任が就任するまで引き続き役員としての権利義務を有するとされているのに対し、解任された取締役にはこの取り扱いが及ばないという点です。
そのため、解任により法令または定款で定められた員数を欠く場合には、後任を選任しておかないと、直ちに欠員が生じます。
その場合、株主総会の議案には、解任の件と後任の選任の件を並べて上程しておく必要があります。
取締役でありながら、部長や工場長といった従業員としての地位も併せ持っている場合があります。
このような使用人兼務取締役については、取締役を解任しても、従業員としての地位までは失われません。
従業員としての契約関係も終了させるのであれば、労働法の規律に従った手続が別途必要になります。
取締役の解任と同様の進め方をすると、不当解雇を主張されるリスクがあります。
雇用を継続するのか終了させるのかを整理し、それぞれの手続を分けて検討しましょう。
取締役の地位を失っても、株主としての地位は残ります。
そのままにしておくと、株主総会での議決権行使や帳簿の閲覧請求などを通じて、経営に関与し続けることになります。
会社が一方的に株式を取り上げることはできないため、買い取るのであれば価格を含めた交渉が必要です。
株式に譲渡制限が付されていない場合は、第三者に譲渡されることも防げません。
創業の段階で、離脱した場合の株式の取り扱いを取り決めておくことが、こうした事態への備えになります。
取締役は在任中に会社の重要な情報に触れています。
退任後にその情報が競合先で使われる事態を避けるため、秘密保持に関する合意を交わしておくことが考えられます。
競業を制限する合意については、対象となる業務の範囲、地域、期間、代償の有無といった事情から、その有効性や及ぶ範囲が個別に判断されます。
広く制限する内容にすれば守られるというものではないため、必要な範囲に絞って定めることが実務上のポイントになります。
招集の手続や決議の方法が法令・定款に違反する場合、株主は決議の日から3か月以内に、決議の取消しを求める訴えを提起することができます。
招集通知の発送が期限に間に合っていなかった、通知に記載のない議題を決議した、定足数を満たしていなかったといった不備が原因になります。
急いで進めた結果として手続に瑕疵が残ると、決議自体をやり直すことになりかねません。
日程に余裕を持たせ、招集通知の記載と発送の記録を残しておくことが、確実に進めるための備えになります。

ここからは、ココナラ法律相談の「おしえて!法律Q&A」に寄せられた、取締役の解任に関する実際のお悩みと、弁護士による回答の概要をご紹介します。
取締役の解任については、議決権の大半を持つ場合の解任可否と、理由を示されない代表取締役の解任後の引継ぎや報酬と、資金流用が疑われる代表取締役の解任といった相談が寄せられています。
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【質問】 株式会社を経営しており、私が株式の75%を保有しています。実務にはほとんど関与していないのに経営方針へ細かく口出ししてくる取締役(持株5%)がおり、正直やりにくさを感じています。議決権の比率からすれば、株主総会を開いて解任を提案すればすぐに辞めさせられるのではないかと考えているのですが、本当にそれで問題ないのでしょうか。 |
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【回答】 会社法339条1項により、役員は株主総会の決議によっていつでも解任できるとされており、議決権の過半数を確保していれば決議自体は成立し得ると考えられます。ただし同条2項は、解任に正当な理由がない場合、解任された役員が会社に対して損害賠償を請求できると定めています。賠償の範囲としては、残存任期に対応する役員報酬や賞与、退職慰労金相当額などが問題となる余地があります。経営方針への口出しだけで正当な理由と評価されるかは慎重な検討が必要で、任期満了を待って再任しない形のほうが紛争のリスクは小さい選択肢になり得ます。 |
参考:取締役の解任について
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【質問】 株主から一方的に代表取締役を解任され、困っています。届いた通知書には具体的な解任理由が一切書かれておらず、株主総会で決まったという記載しかありません。知りたいのは二点で、私に業務の引継義務があるのか、あるならその対価を請求できるのか、そして代表取締役を5年間務めるという趣旨の契約条項が解任後も有効なのか、この解任通知に法的な効力があるのかです。 |
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【回答】 引継ぎについては、新たな代表取締役に業務を引き渡すほうが望ましいものの、一般には法的な引継義務が生じる可能性は低いと考えられます。他方、解任決議自体が有効に成立していれば地位は失われますが、契約で任期が定められていた事情は、正当な理由のない解任として残任期分の報酬相当額を損害賠償請求できるかを判断する材料になり得ます。理由が示されていない点も含め、契約書や通知書などの資料を弁護士に直接確認してもらったうえで対応を検討することが勧められています。 |
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【質問】 代表取締役が傷病でほとんど業務に従事できない状態にあるのに、会社のお金を私的な関係者の生活費として渡しているようで悩んでいます。その関係者が会社の業務にまで口を出して妨害してくる状況で、現場が回らなくなっています。代表を解任するか、せめて業務の権限を他の者へ移したいのですが、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。会社の資金流出を止める方法も含めてアドバイスをお願いします。 |
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【回答】 取締役の解任は株主総会の決議事項であり、資金の私的流用を裏づける証拠があっても、解任を決められるのは従業員ではなく株主だと整理されています。そのため、当該代表取締役が過半数の株式を保有している場合は、通常の決議による解任は事実上難しくなる可能性があります。他の株主の議決権を確認したうえで総会招集を検討する、あるいは新たに取締役を選任して業務執行の体制を組み替えるといった対応が現実的な選択肢になり得ます。私的流用が明確であれば、会社としての責任追及を別途検討する余地もあります。 |

取締役の解任は、決議、賠償、登記、退任後の関係という複数の論点が同時に動きます。
ここでは、弁護士に相談することで得られるものを4つの角度から説明します。
解任を検討する場面では、任期満了を待つ、辞任を求める、代表取締役の解職にとどめる、体制を組み替えるといった複数の選択肢があります。
どれが現実的かは、株式の保有状況、任期の残り、資料の有無によって変わります。
弁護士に相談すれば、それぞれの方法について、必要な手続、想定される反論、金銭的な負担の見込みを踏まえて比較できます。
解任に踏み切るかどうかという入口の判断から一緒に検討できることが、初期段階で相談する意味です。
正当な理由が認められるかどうかは、事実の内容とそれを裏づける資料によって決まります。
社内では十分な理由があると考えていても、資料が揃っていなければ主張として成り立ちません。
弁護士に相談すれば、どの事実が主張の柱になるのか、それを示すためにどの資料が必要かを、着手前の段階で整理できます。
解任の決議を終えた後では収集が難しくなる資料もあるため、順序として先に確認しておく価値があります。
招集通知の期限、議題の記載、定足数、議事録の作成といった手続は、一つでも欠けると決議の効力を争われる原因になります。
急いで進めた案件ほど、後から不備が見つかることがあります。
弁護士に関与してもらえば、日程の組み方から通知の記載、当日の進行、議事録の作成、登記までを一連の流れとして確認できます。
やり直しになった場合の手間と時間を考えると、事前に確認しておく効果は小さくありません。
解任は、決議で終わりではありません。
株式の買取交渉、退職慰労金の取り扱い、秘密保持や競業に関する合意、損害賠償を請求された場合の対応といった問題が続きます。
弁護士に依頼すれば、これらを個別の問題として切り離すのではなく、全体の落としどころを見据えたうえで進められます。
交渉の窓口を任せられることで、当事者同士の直接のやり取りによる対立の激化を避けられる面もあります。

取締役の解任は、会社法の定める決議要件を満たすだけでは終わりません。
正当な理由をどう説明するか、賠償の見込みをどう見るか、後任の選任と登記をどう組むか、退任後の株式や情報をどう扱うかまでが一続きの問題です。
進め方を誤ると、決議のやり直しや、想定していなかった金銭の負担につながることもあります。
だからこそ、会社法にもとづく紛争を扱った経験のある弁護士に、着手前の段階で相談しておくことに意味があります。
ココナラ法律相談では、地域や分野から弁護士を検索できます。
企業法務を取扱分野に挙げている弁護士を絞り込み、経歴や費用の目安を確認したうえで問い合わせ先を選べます。
取締役の解任をめぐる問題は、時間が経つほど関係が硬直し、選べる手段が狭まっていきます。
気になっていることがある方は、早めに弁護士へ相談し、取締役の解任という課題の解決に向けて動きましょう。