上場会社の広報・IR支援を受託する際の、受託者側のインサイダー取引規制上の注意点と契約書の定め方
広報・IR支援を行う小規模な会社の代表です。上場会社から広報・IR支援を準委任で受託する予定で、受託者側の立場から、次の点を教えてください。
【前提】
委託先の上場会社では、大株主の関係者が取締役を務めています。
定例会議には、その取締役も出席します。
今後、資金調達や新規事業の発表が行われる可能性があります。
受託者は、会議やチャットを通じて、公表前の情報に触れる可能性があります。
【質問】
受託者(当社と担当する個人事業主)が公表前の重要事実を知る場合、インサイダー取引規制や情報伝達・取引推奨規制の観点で、契約書と社内規程に最低限どのような定めが必要でしょうか。
大株主の関係者である取締役の発言が、実質的に意思決定に影響する場合、受託者は誰の指示・承認に基づいて動くべきでしょうか。連絡窓口と承認者を1名に特定し、窓口以外の発言は「意見」として扱う、という定め方で足りるでしょうか。
上記のような案件で、契約書のレビューを有料で依頼する場合、どのような専門分野の弁護士が適していますか。費用の目安もあれば教えてください。
受託会社および担当する個人事業主が未公表の重要事実を知る環境下では、以下の定めや管理体制を設けることが求められます。
業務委託契約書における定め:
対象会社株式等の売買禁止、および第三者(家族や委託先を含む)に対する情報伝達・取引推奨の禁止規定。
再委託先や業務を担当する個人事業主(履行補助者)に対する事前承諾制や適切な管理に関する規定。
情報漏洩等が発生した際の報告・適時対応に関する規定。
社内規程(情報管理規程や体制)における定め:
取引推奨規制の内容を網羅したインサイダー取引防止規程の整備・周知。
インサイダー情報を取扱う者とそうでない者の間における適切な情報遮断措置(ファイアウォール)の設定
また、業務委託において、受託者が誰の指示や承認に従うべきかを明確にするため、連絡窓口と承認者を特定の1名に絞り込み、窓口以外の者の発言を法的拘束力のない「意見」として扱う定めを契約書に置くことは、指示の混同や現場の混乱を未然に防止するために有効な定め方であろうと思います。
企業法務および資本市場・金融商品取引法(インサイダー取引規制・適時開示等)を専門とする弁護士、あるいは上場会社の広報・IR法務やガバナンスに精通した弁護士が適していると思います。
費用の目安は、業務委託契約書1通のスポットレビューや修正案作成の費用は、一般的な弁護士実務において概ね5万円〜15万円程度(税別)が目安となるのではないかと思います。