役員を退任するに際し、会社と退職合意をした上で、合理的な退職慰労金を会社に支払ってもらい、裁判外で円満に解決をした事例
田丸 啓志
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
ご相談者は、長く同じ会社に勤め、役員までされていらっしゃる方でした。もっとも、会社との間のトラブルで、会社からは休職命令を受け、役員として働くことができない状況にありました。また、会社ではご相談者の会社との間のトラブルの件で懲戒委員会が開かれており、調査がされているようでした。
ご相談者からお話を伺う限り、懲戒事由が存在しないのではないか、また、解任については正当な事由がないのではないかと思われました。そこで、ご相談者の方で、残りの任期をまっとうするのか、あるいは、納得のいく方法で退任をするのか検討しつつ、懲戒委員会の対応等のアドバイスや仮に会社との和解をする場合には和解案を作成する等の業務を委任いただき、まずは継続的にご相談を頂く形で業務を遂行していくこととしました。
【相談後】
懲戒委員会の聴き取りに対するアドバイスやこちら側で用意をした方が良い証拠等についてアドバイスを重ねました。ご依頼者は当初会社に戻ることも意向としてあったようでしたが、後に納得のいく辞め方を模索するようになりました。
懲戒委員会においては弁明の機会も付与されます。弁明の機会に向け、ご依頼者に詳細にお話を伺った上で主張書面を作成しました。内容としては、ご依頼者の考える事実の主張や、法律上の主張についてその要件充足性に関する主張、企業秩序への影響や情状(過去の処分歴や反省の態度)、他の労働者への処分との均衡に関する主張です。これらの主張を重ね、仮に裁判所の手続に移行した場合、ご依頼者の主張が認められる可能性は十分にあることや、紛争の長期化は避けられない状況でした。
そうしたところ、会社から早期解決のための財産給付に関する提案があり、もともと会社が提示していた退職慰労金の金額を大きく上回る解決金の提示がありました。
そこで弁護士が退職に関する合意書を作成し、ご依頼者は、会社との間で裁判外で和解の上、円満に退職をすることができました。
【先生のコメント】
ご依頼者とは、電話やメールを活用し、頻繁にコミュニケーションをとらせていただきました。会社対応や懲戒委員会の対応について、安心して臨んでいただけたものと思っています。
労使紛争は、裁判外で解決するべき場合のみならず、労働審判の申立てが適切な場合、民事調停や訴訟を選択するべき場合等、解決の仕方はバリエーションが豊富で、何を選択するべきかは事案により様々です。
何を選択し、どのように解決に当たるかによって、紛争が長期化するかどうかにも大きな影響を与えます。
本事案のご依頼者は、役員でもあり、大事にはしたくないとのご意向もありましたので、早期に、裁判外で解決を図ることを優先しました。