X(旧Twitter)における発信者情報開示の方法と実務上の留意点を整理
瀬戸 伸一
弁護士
【ご相談内容】X(旧Twitter)上の投稿について、権利侵害が問題となる場合、発信者情報開示請求によって投稿者を特定できるかどうかが検討対象となります。
もっとも、X社の運用や法的手続きの進め方によって、開示までの流れや必要な対応は他のSNSとは異なる点が多く、どのルートでの特定が現実的かを整理する必要があります。
特に、通信情報の保存期間や、X社が任意開示に応じないという前提を踏まえると、制度上可能な手段と実務上の制約を区別して検討することが求められます。
X社に対する発信者情報開示について、通信経路ルートと登録情報ルートの双方を想定し、実務上の流れを整理しました。
通信経路ルートでは、提供命令が利用できないため、開示命令または仮処分命令によりIPアドレスやタイムスタンプの開示を求める必要があります。
仮処分命令は比較的迅速に進められる一方で、供託や強制執行といった追加の手続きが不可欠となり、時間的・地理的な負担が生じる点も考慮事項となります。
また仮処分命令が出てもX(旧Twitter)は、任意に開示をしてこないので、2週間以内に、強制執行をする必要があります。
また、開示命令についても、命令確定後に強制執行を行って初めて情報が開示される運用となっており、全体として相応の期間を要します。
一方で、登録情報として電話番号が存在する場合には、その後の照会手続きを通じて発信者を特定できる可能性がありますが、電子メールアドレスのみの場合には特定に至らないケースも想定されます。
【注意コメント】
X(旧Twitter)に対する発信者情報開示は、制度上は可能であっても、実務上は複数の法的手続きを経る必要があり、時間や費用の負担が大きくなりがちです。
特に、通信ログの保存期間や、強制執行を前提とした運用を踏まえると、早期に全体像を把握したうえで対応方針を検討することが重要になります。
投稿内容や登録状況によって、特定に至る可能性は大きく異なります。
どのような手段が考えられるのか、現実的な見通しを整理したうえで判断することが、適切な対応につながります。