テナントの賃料増額請求(現行賃料の倍額程度の増額を獲得した事案)
松本 匡史
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
当社は、所有している建物を他社にテナント物件として一棟貸ししています。
契約当時、賃借人から強い要望があり、相場よりもかなり安価な賃料で賃貸することとしました。物件の利用も賃借人の好きなようにしてもらっていました。
しかし、最近、賃借人と口頭で約束していたことがなかったかのような対応をされるようになり、両社の関係性が以前から変わってしまいました。
それであれば、特別に安い賃料でお貸しする理由はもうないので、適正な賃料を支払ってほしいと思います。
自社で調べたところ、賃料増額はできたとしても一気に高くすることはできず、少しの増額しかできないというようなことを聞きました。本物件の賃料は相場よりもかなり安いので、それだと納得できる額にならないと思います。費用をかけてまで増額を請求するのは諦めた方が良いのでしょうか。
【相談後】
依頼後、不動産鑑定士さんと連携し物件の立入調査を行い、算出された賃料額をもとに賃借人に交渉を行ってもらいました。その結果、早期に現行賃料の倍額程度で増額の合意をすることができました。
当社にとって納得できる結果となり大変感謝しております。
【コメント】
賃料増額請求では、現行賃料をベースにした継続賃料という考え方が用いられるため、新規賃料の相場より低い金額になるのが通常です。また、単に安く貸しているというだけでなく、経済的事情の変動も前提となり、その変動幅が考慮されます。
そのため、急激・大幅な増額は認められないことが多いですが、そもそもの賃料が低ければ、適正な継続賃料との差額は自然と大きくなります。本件では、このことに加えて物件の利用状況などの特殊事情もあり、鑑定結果に基づく請求額は、これでも控えめな金額であるとの説明ができうるものでした。
増額されるべき額を知るには、実際に検証してみることが必要ですので、最初から諦めなければいけないということはありません。