交際相手から婚約を破棄された子連れのシングルマザーにおいて、100万円の損害賠償を回収した事例
中澤 拓夢
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
女性は、離婚歴のある子連れのシングルマザーであるところ、後に婚約者となる男性(関東圏に居住している。)から何度も交際を申し入れられ、自らの離婚歴や子供の存在等を明らかにして「それでもいいの?」などと尋ねたが、同男性はそれでも熱烈に交際を申入れ、その後プロポーズをするに至った。これを受けて、女性は、子を連れた上で男性と同棲生活を開始するために、同男性とともに関東圏の物件を探したり、引越しの準備を整えたり、子供を関東圏の高校へ入学させるなどした。もっとも、婚約指輪の購入・両家顔合わせ・結婚式場の見学・予約等をしたという事情はなかった。
ところが、男性は、引越しを直前に控えた時期になって、突然、「他に好きな女ができた」、「女性の年齢に問題がある」、「女性に子供がいることに問題がある」、「女性の束縛が激しい」などと述べて同女性との交際関係を一方的に終了させ、もって婚約を破棄した。
女性としては、男性にそれなりの責任をとってもらいたいと考えている。
【相談後】
女性は男性に対して損害賠償を請求したが、同男性が雲隠れして協議に応じなかったため、やむなく民事訴訟を提起した。男性は、そもそも女性とは婚約をしていないし、仮に婚約が成立していたとしても正当な理由に基づく破棄であるなどと主張して自己の責任を否定した。
女性は、LINEのやりとりや同女性と子供が関東圏に引っ越すに至った経緯を示す資料等を証拠として提出し、婚約が成立していることや不当な婚約破棄であることを主張した。
その結果、裁判所は、総合的に考えれば男性と女性との間で婚約が成立していたと考えるのが自然かつ合理的であり、婚約を破棄したことに正当な理由はない旨の心証を開示し、これを前提として和解協議をした結果、男性が女性に100万円(額面)の損害を賠償する旨の裁判上の和解が成立した。
【先生のコメント】
しばしば、婚約破棄の損害賠償額の相場は、特段の事情がない限り、数十万円程度であると言われるが、本件では、膨大なLINEのやりとりや女性と子供が関東圏に引っ越すに至った経緯を示す資料等の各証拠を綿密に精査し、粘り強く主張を展開し続けた結果、100万円という相場以上の損害賠償額を得ることができた。