自宅不動産に担保権を設定し借入した債務につき時効主張が成功し、担保権抹消につながった例
宮崎 正仁
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
ご本人は、貸金業者から当初は無担保で借入していましたが、比較的大きな金額を用立てる必要があったため、途中から、母親名義の自宅に抵当権設定をして貸金業者から借入して取引を継続していました。
しかし、途中で、支払いが滞り、債権者から300万円以上の残債務を請求され、このまま支払わなければ担保に取られている自宅を失ってしまうのではないかと心配され、相談となりました。
【相談後】
ご本人から話を伺う限り、時効が成立している可能性はありました。
ただし、一般的に、不動産に担保がついている借入については、貸付金額も大きい場合が多く、債権者も、通常は時効が成立しないように案件管理をしていると説明しました。
債権調査の結果として、時効援用の主張ができないリスクもある点は、覚悟をしておくことも注意しました。
ご依頼後に、債権者から取引履歴を取得し、債権者側が特に時効を中断させる手続きを取っていないことが確認できたため、時効援用手続きを行いました。
そして、無事に抵当権の抹消手続きに至り、ご自宅を失う心配もなくなりました。
【先生のコメント】
銀行などの金融機関が住宅ローンの支払を担保する目的で、借主の不動産に担保権を設定することはよくあります。
また、貸金業者も、貸付に際し、借主の不動産に担保権を設定することもあります。
本件の貸金業者のように、当初は無担保で貸付けしていたが、債務者からの返済状況が良好で、借主から貸付金額の拡大など要望があった場合に、不動産に担保を設定することを条件として、その要望を聞き入れることもあります。
本件では、貸金業者の案件管理が、銀行などのそれに比較して緩慢であることも幸いして、うまく時効援用ができました。
時効という制度は、ただ法律上の日数が経過しただけでは成立しません。
時効が成立したので、それを援用すると相手方(債権者)に主張する必要があります。
また、時効期間が経過し、それを主張すればよかっただけなのに、債権者から支払を催促する連絡が入り、分割で支払っていく示談などをしてしまうと、その時効主張ができなくなることもあります。
時効の主張をすれば、1円も支払わずに終わったはずなのに・・と後悔してもしきれない、こんな思いをする前に、ぜひ一度ご相談ください。