インタビュー | 藤本 顯人弁護士 クラリア法律事務所

ーー長く警察官として働いていたようですが、なぜ弁護士に転身されたんですか？

埼玉県警察に15年間勤務していました。弁護士に転身しようと決心したのは、30歳を過ぎてこれまでの人生を見つめ直したときのことです。

ふと頭に浮かんだのが、最も難しい資格のひとつとされる司法試験にチャレンジすること。
さらに、それが社会貢献や人の助けになれる職業だったことが大きな決め手になりました。
今後の人生をかけて、困っている方々のお役に立とうと覚悟を決めたんです。

それからは、仕事を続けながら試験勉強に打ち込む日々が始まりました。
出勤前の早朝や電車通勤中など、わずかな時間を見つけては参考書に目を通す。
そんな生活を数年間続け、晴れて念願を叶えることができたんです。


ーーその後、弁護士になってからの活動歴を教えてください。

全国展開する大手法律事務所に入り、都内にある本店に勤めていました。
それから独立して現事務所を開設し、今に至ります。

事務所名の「クラリア（Claria）」は、ラテン語で「物事を明らかにし、光り輝かせる」という意味を持つ「Clarus」に由来します。そこには、私自身の固い決意が込められています。

「Claria」には、刑事（Criminal Law）と民事（Civil Law）の頭文字の「C」と、AI（人工知能）の逆さである「IA」という表記が含まれます。
刑事・民事を問わず、AI技術も駆使して事件の深層を解明すること。
そして、AIには決して汲み取ることができない依頼者さまの心情にも寄り添い、未来に光を照らそうという思いで名付けたんです。

そこに込めたのは、依頼者さまの心に光を照らそうという思いです。
わずかな心の揺れ動きにもしっかりと目を向け、寄り添いたい思いで名付けました。

ーー現在はどんな事件をメインに扱っているんですか？

取扱分野は多岐にわたります。
刑事事件、離婚・男女トラブル、労働問題、不動産の明け渡し、ネットの誹謗中傷、相続、債務整理、交通事故などです。

なかでも私が強みとしているのが、刑事事件です。
ご紹介した通り、私は長く警察官を務めてきました。
そのため、警察の捜査がどう進むのか、見通しを立てられます。
被害者との示談交渉などでも、警察の経験は大いに活かせるはずです。


ーー捜査の見通しを立てられるとは、どういうことでしょう？

たとえば、警察から「この事件について話を聞かせてほしい」といった電話がかかってきたとしましょう。
突然の連絡に、「関与を疑われているのではないか」と不安になる方が少なくないはずです。

ただ、それはあくまで周辺捜査の一環という可能性も考えられます。
私なら警察の意図や狙いがわかるので、それを踏まえて適切なアドバイスやサポートができます。
状況や今後の見通しがつくだけで、きっと安心いただけるはずです。


ーー逮捕・勾留されてしまった後はいかがですか？

早期の釈放や不起訴を勝ち取るために、全力を傾けます。
そのために最も重要なのは、被害者と示談することです。
それができれば、釈放や不起訴の可能性が一気に高まります。

といっても、交渉は一筋縄ではいかず、被害感情が大きいケースは難航することも少なくありません。
求められるのは、柔軟な交渉力です。

相手の被害回復を図りつつも、依頼者さまの利益になるような着地点はどこにあるのか。
そこも警察時代の経験もうまく活かしながら、私でしたら交渉をまとめることができるはずです。

また、仮に起訴されて裁判になっても、被害者との示談が成立していれば、実刑の回避とともに執行猶予判決に持ち込みやすい面もあります。
その意味でも、示談はとても重要なんです。


ーーちなみに、どんな罪名（犯罪の種類）での相談が多いですか？

多いのは、暴行や傷害、薬物、性犯罪、交通事故の加害者弁護などです。

とくに性犯罪については、形法改正によって「不同意性交等罪」などが新設され、性的同意の有無が厳格に問われるようになるなど厳格化が進んでいます。
それに伴って、トラブルやご相談がとても増えているんです。

示談交渉をはじめ私が力になりますので、困ったことがあればすぐにご連絡いただきたいですね。

ーー刑事事件を除く、ほかの分野はいかがですか？

不貞の慰謝料請求や離婚、労働問題にもとくに力を入れて取り組んでいます。

不貞慰謝料を請求する際に大切なのは、不貞の事実や詳細な実態を明らかにするための調査です。
証拠を固め、事実を立証する。
そのリサーチ力は、長年の警察の捜査で培ってきました。

さらに、それは相手方との交渉でも有利に働くはずです。
男女トラブルは感情的な対立が激しくなりやすく、難癖をつけてくるような手強い人を相手にするようなケースも少なくありません。

その点でも、警察官として数々の容疑者と向き合ってきた私でしたら、どんな相手にも動じず、腰を据えて対峙できるはずです。

そのうえで、請求する側でしたら慰謝料をできる限り増やすとともに、その後離婚をお考えなら、財産分与なども十分に手にできるよう交渉に臨みます。
もちろん、逆に慰謝料を請求された方々からのご相談も歓迎です。


ーー労働問題についても、ぜひ詳しく教えてください。

とくに重点的に扱っているのが、残業代の請求です。
出退勤の記録など証拠が揃っていれば、会社側との交渉によって多額の未払い残業代を獲得できます。
ただ、ご本人だけで交渉に臨むのは荷が重いはずです。
会社側に足元を見られないようにするためにも、ぜひ私を頼っていただきたいですね。

また、最近話題になっている退職代行や、解雇などの問題も積極的にお手伝いさせていただいています。


ーー刑事事件を含め、藤本先生は交渉に強い思い入れがあるように感じます。

裁判までもつれると時間がかかり、弁護士費用もかさみます。
長期化すればするほど、精神的な負担もどんどん大きくなってしまいます。
だからこそ、私は交渉によって1日でも早い解決を依頼者さまにお届けしたいと思っているんです。

それに、裁判になればどう考えても不利な事案でも、交渉でなら駆け引きを通じてダメージを最小限に食い止めたりするようなこともできますからね。

依頼者さまがいち早く苦しみや悩みから解放され、気持ちを新たにリスタートすること。
そのために、私は交渉での解決にこだわっているんです。


ーー交渉には有意義なところがたくさんあるんですね。

一方で、裁判で争って判決をもらうべき事件もあります。
依頼者さまがそれを強く望み、その方がよりよい結果を手繰り寄せられると判断した場合などです。

その際は少し遠回りしてでも、逃げずに最後まで依頼者さまと一緒に闘い抜く覚悟です。

ーー弁護士としての信念、貫いてきた思いも教えていただけますか？

絶対にゆずれないのは、依頼者さま一人ひとりの顔を見て仕事をしたいという思いです。

相談などのやりとりを電話で済ませる弁護士も少なくないようですが、私は違います。
依頼者さまにとって、法律相談は人生の一大事ですからね。
岐路に立たされたなかで、それを顔もわからない弁護士に託すのは不安で仕方がないと思います。

顔を突き合わせ、目を見て対話し、心を通じ合わせる。
信頼関係や連帯感は、そうした温かみのあるやりとりから生まれます。
同時に、そうすればたとえどんな結果になろうとも、心から納得して次の一歩を踏み出していただけるはずです。


ーー愚直に、真摯に。そんな思いが伝わってきます。

警察官としてはもちろん、小さい頃から打ち込んできた剣道を通じても、何事にも真正面から向き合い、継続することの大切さを学んできました。
身近なところでいえば、毎朝続けている筋トレもそうです。

地道に、愚直に、最後までやり抜くこと。
その考え方や価値観は、私の体に染みついているように思いますね。

それと、私は音楽を聴くことも好きなんです。
そこから癒しや安らぎ、パワーをもらえるからです。
私も音楽のように、一人ひとりの依頼者さまの心に静かに、やさしく寄り添う。
そんな頼りがいのある存在になれたらうれしいですね。