結婚式の申込金20万の返金に関して

2023年11月にある結婚式場で1年後の結婚式の予約を行い、申込金20万を支払いました。その後書類に不備が多く見つかりその後の対応に誠意が感じられなかったことから、他の式場の見学に行きました。約款には、式の半年前まではキャンセル料はかからないが申込金の半金の返金しか出来ない旨、契約後に他の式場に予約した場合申込金の全額を返金出来ないことが記載されておりました。
ただ私は他の式場を見学前に、電話にて他の式場を検討している旨を伝えた上で、キャンセル料の取扱について改めて確認。打ち合わせが始まる前までであれば半金は返金できることを確認しました。録音等はしておらず、妻に「打ち合わせが始まる前であれば半金返ってくること」「他の式場を検討していること」をLINE文面で報告した履歴があります。
その後、結局結婚式自体をやらないこととなり、2月頭にキャンセルの旨を式場に連絡。しつこい引き止めを懸念し、「他の式場に決めたのでキャンセルしたい」と伝えてしまいました。
その言葉に式場が反応し、約款上他の式場に決めた場合は返金出来ない旨は約款記載があると強く返金出来ない旨を主張しております。当時他の式場を検討する際にキャンセル条項を電話で確認しており、その際は誤案内をされており「他で決めた」との発言をしてしまった自分に落ち度はあるかと思います。ただ他で決めていない以上こちらとして他で決めていないことを証明する術はありません。式場の誤案内に起因している事故ですが、約款記載しているので返せないの一点張りです。半金が返ってくることは過去の判例上あり得るのでしょうか。

まず、真実はそうでなかったにもかかわらず「他の式場に決めたのでキャンセルしたい」と伝えてしまったことにご相談者様の落ち度はありそうです。そうすると、実は結婚式はやらないので、「打ち合わせが始まる前であれば半金が返ってくる」という条項にあてはまるから、半金を返還してください、と主張することは筋が良くないかもしれません。

それでは、他の構成はできないのかを考えると、キャンセル料が「平均的な損害を超えるもの」(消費者契約法9条1項1号)として無効かどうかを問題としうる事案と考えます。
ここで、結婚式のキャンセル料の平均がどのようなものかを定めた公的な基準は、私の知る限りないです。ただ、公益社団法人日本ブライダル文化振興協会が示すモデル約款(https://www.bia.or.jp/wp-content/uploads/2017/03/c9266f05bfd4ad4f5716f6e78044f379.pdf)が参考になるでしょう。
これを見ると、364日目以降180日目までは、申込金の50%及び印刷物等の実費までは解約料金として平均的である、と考えられそうです。
本件では、申込金の半額である10万円を超えた金額の10万円は無効といえそうです(実費は措いておきます)。
したがって、ご相談者様が式場に対して、平均的な損害を超える10万円について、不当利得返還請求を行う(10万円について無効なのだからその10万円を返してください、ということです。)、と主張できると考えます。

他の参考URL:https://zenso.or.jp/dantaisoshou/moushiire/j_10