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福岡わかたけ法律事務所
配偶者による借金が発覚し、離婚を考えて思い悩んでいませんか。
信頼していたパートナーの裏切りや、今後の生活に対する強い不安から、「相手の借金を理由に法的に離婚できるのだろうか」「配偶者名義の借金であっても、自分にまで返済義務が及ぶのではないか」と、深刻に抱え込んでしまうのは当然のことです。
もし正しい法的知識を持たないまま対応を誤ってしまうと、離婚後に元配偶者の借金を背負わされたり、もらえるはずの養育費を取り損ねたりするリスクがあります。
ご自身と子どものこれからの生活を守り、有利かつスムーズに新しい生活をスタートさせるためには、借金問題が絡む離婚のルールを正確に理解しておくことが極めて重要です。
この記事では、借金による離婚の可否から、財産分与や慰謝料の扱いに至るまで、知っておくべき必須知識を網羅的に解説します。
最後までお読みいただくことで、今後どのように行動すべきかが明確になるはずです。

配偶者の借金問題が発覚した場合、すぐに離婚できるケースと、そうでないケースが存在します。
ここでは、どのような状況であれば借金を理由に離婚が可能となるのか、法的な観点から解説していきます。
最もスムーズに離婚できるのは、夫婦双方が離婚に合意しているケースです。
話し合いによる協議離婚、または家庭裁判所での調停離婚においては、離婚の理由が法的に制限されることはありません。
配偶者が借金の事実を認め、離婚届にサインをしてくれれば、借金の金額や用途に関わらず離婚が成立します。
まずは相手と冷静に話し合いの場を持ち、合意による解決を目指すのが基本となるでしょう。
配偶者が離婚したくないと拒否し、話し合いや調停で合意に至らない場合は、離婚裁判を起こすことになります。
裁判で離婚を認めてもらうためには、2026年現在の民法770条1項が定める法定離婚事由に該当しなければなりません。
法定離婚事由とは、以下の5つの要件を指します。
法律の条文上には、借金という明確な理由は記載されていません。
そのため、単に配偶者に借金があるという事実だけでは、裁判で離婚を認めてもらうのは難しいといえます。
借金を理由に裁判で離婚を勝ち取るためには、借金が原因で前述の法定離婚事由を満たしていると客観的に証明する必要があります。
具体的には、以下のような事情が伴う場合、離婚が認められる可能性が高まるでしょう。
生活費が渡されていない |
借金の返済に追われ、またはギャンブルにつぎ込み、家族に一切の生活費を渡さないケース(悪意の遺棄に該当) |
|---|---|
夫婦関係が破綻している |
借金のための度重なる嘘、多重債務による自己破産、取り立てによる家族への深刻な被害などにより、夫婦関係の修復が不可能と判断されるケース(婚姻を継続し難い重大な事由に該当) |
不倫相手との交際費による借金 |
借金の理由が不倫相手との交際費であった場合(不貞行為に該当) |
このように、借金の額面だけでなく、借金によっていかに婚姻生活が破壊されたかを具体的に主張することが重要となります。

配偶者に借金がある状態で離婚すると、「離婚後、自分にまで返済の督促や取り立てが来るのではないか」と不安になりますよね。
実際のところは、借金の性質や契約内容によってあなた自身の返済義務の有無が明確に分かれます。
借金は、あくまでお金を借りた本人と債権者との間の個人的な契約にすぎません。
夫婦であっても、原則として配偶者の借金を肩代わりする法的な義務はないのです。
これは離婚の前後を問わず適用されます。
配偶者が個人的な趣味やギャンブルで作った借金に対して、金融機関や貸金業者があなたに返済を迫ることは貸金業法等の法律で厳しく禁止されています。
例外として、あなた自身が配偶者の借金に対して連帯保証人や連帯債務者になっている場合は、深刻な問題が生じます。
代表的なのは、夫婦で住宅ローンを組む際に、配偶者が連帯保証人になるケースです。
連帯保証人は、主債務者と同等の重い返済義務を負うと法律で定められています。
たとえ離婚したとしても、連帯保証人という契約関係は金融機関との間にあるため解消されず、元配偶者が支払いを滞納すれば当然あなたに一括請求等が来るでしょう。
離婚を機に連帯保証人から外れることは、金融機関の厳格な審査と同意が必要なため非常に困難です。
しかし、決して不可能ではなく、以下のような具体的な交渉方法が考えられます。
交渉方法 |
手続きの詳細 |
注意点・ハードル |
|---|---|---|
代わりの保証人を立てる |
あなたと同等以上の支払い能力を持つ親族などを、新たな連帯保証人として金融機関に承認してもらう。 |
審査が厳しく、多額の借金の身代わりになってくれる親族を探すのは難しい。 |
別の金融機関で借り換える |
配偶者が単独名義で別の銀行からローンの借り換えを行い、現在のローンを全額一括返済する。 |
配偶者単独で住宅ローン審査に通るだけの、高い収入とクリーンな信用情報が必要になる。 |
不動産を売却する |
家を売却し、その売却代金でローンを完済することで保証人の立場から完全に解放される。 |
売却額がローン残高を下回るオーバーローンの場合は、差額を現金で一括補填する必要がある。 |
いずれの方法も金融機関との交渉が伴うため、素人判断で進めず、弁護士に相談することが不可欠です。
民法761条では、夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負うと規定しています。これを日常家事債務と呼びます。
つまり、個人的な浪費ではなく、食費、家賃、水道光熱費、子どもの学費や医療費など、家族が生活していく上でどうしても必要だった借金については、夫婦が連帯して支払い義務を負う可能性があるのです。
生活に困窮してやむを得ず借り入れたお金であれば、離婚しても相手だけに全額を押し付けることは難しいと考えられます。

離婚時には、婚姻中に夫婦で築いた財産を分け合う財産分与を行います(民法768条)。
プラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産がある場合、計算はどのように行われるのでしょうか。
まずは、財産分与の対象になる借金とならない借金の違いを以下の表で整理します。
借金の種類 |
財産分与の対象 |
具体例 |
|---|---|---|
個人的な借金 |
対象外(個人の特有財産) |
|
夫婦生活のための借金 |
対象になる(夫婦の共有財産) |
|
上記の通り、財産分与の対象となるのは、あくまで夫婦が協力して築いた財産です。
そのため、配偶者があなたに内緒で個人的なギャンブル、趣味のコレクション、遊興費のために作った借金は、財産分与の対象には含まれません。
こうした特有財産にあたる借金を、夫婦の共有財産から差し引いて計算する必要はないのです。
相手の個人的な借金は、相手自身が全額返済すべきものとなります。
一方で、家族のための住宅ローン、車のローン、子どもの教育ローン、生活費の補填のためのキャッシングなどは、夫婦の共同生活のために生じた共有の債務とみなされます。
これらの借金は財産分与の対象となるのが一般的です。
計算方法としては、預貯金や不動産の査定額などプラスの財産の合計額から、共有債務である借金の額を差し引き、残った金額を夫婦で2分の1ずつに分ける形になります。
プラスの財産よりも、住宅ローンの残債などのマイナス金額が大きい状態をオーバーローンと呼びます。
差し引きしてトータルがマイナスになる場合、日本の裁判実務では財産分与の対象となる財産は存在しないと判断されます。
つまり、マイナスの借金そのものを夫婦で半分ずつに分割して背負い直す、という処理は原則として行われません。
借金は名義人がそのまま返済を続けるか、任意売却や自己破産といった別の手段で解決を図ることになるでしょう。

配偶者が借金を作ったせいで離婚に追い込まれたのだから、慰謝料をもらいたいと考えるのは自然な感情です。
また、子どものための養育費の請求についても解説します。
慰謝料とは、相手の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金です(民法709条)。
法律上、単に借金をしたことや、借金が返せなくなったこと自体は、直ちに不法行為とはみなされません。
そのため、配偶者に借金があったからという理由だけでは、慰謝料を請求することはとても困難です。
ただし、借金に付随して別の不法行為が存在する場合は、慰謝料請求の対象となります。
次のようなケースでは、精神的苦痛に対する十分な慰謝料を請求できる可能性があります。
このような事情がある場合は、借金そのものではなく不倫やDVを法的根拠として慰謝料を請求していく方針を取ります。
多額の借金を抱えた配偶者が、離婚の前後で自己破産をしてしまうケースはめずらしくありません。
自己破産が裁判所に認められ、免責許可が下りると、原則としてすべての借金の支払い義務が消滅します(破産法253条)。
この際、不倫や軽度なDVを理由とした慰謝料も一般債権として扱われ、免責されて支払ってもらえなくなるリスクが高いです。
ただし、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求など、とても悪質な暴力行為等であれば例外として免責されないケースもあるため、個別の判断は弁護士に確認してください。
親の借金問題と、子どもに対する扶養義務は全くの別問題です。
配偶者に多額の借金があるからといって、養育費の支払い義務が免除されることはありません。
裁判所が公表している養育費算定表に基づき、双方の年収に応じた適正な金額を請求することが可能です。
さらに重要な点として、養育費は破産法253条1項4号において非免責債権と明確に定められています。
たとえ相手が自己破産して他の借金がゼロになったとしても、子どもの養育費だけは支払い義務が消滅しない強い権利なのです。

借金問題を抱えた配偶者との離婚は、感情的なもつれだけでなく、複雑なお金の問題が絡むため慎重に進める必要があります。
とくに連帯保証人からの離脱交渉や、適切な財産分与の計算、強制執行に耐えうる公正証書の作成などは、専門的な知識が必要です。
相手の債権者から不当な請求を受けるトラブルを防ぐためにも、早い段階で法律の専門家である弁護士へ相談し、確実な解決策を講じることをおすすめします。
相手に離婚を切り出す前に、まずは借金の実態を正確に把握することが最優先です。
どこから、いくら借りているのか、そして何に使ったのかを徹底的に調べましょう。
配偶者の隠し借金が疑われる場合、自己申告だけでは全容を掴めないケースが多々あります。
そのようなときは、配偶者自身に信用情報機関(CIC、JICC、KSC)への情報開示請求を行わせるのが最も確実です。
信用情報機関のレポートを取り寄せることで、正確な借入状況が一覧で判明し、財産分与の際の言い逃れを防ぐことができます。
その他にも、消費者金融の利用明細書、クレジットカードの利用履歴、督促状、借金の使い道を認めたLINEのやり取りなどを証拠として集めておきましょう。
相手が多重債務のまま離婚してしまうと、あなたが養育費や慰謝料を請求しても「支払う余力がないため対応できない」と逃げられてしまう可能性が高まります。
可能であれば、離婚を本格化させる前に、相手に任意整理や個人再生といった債務整理手続きを行わせることを検討しましょう。
法的な手続きによって相手の月々の借金負担を減らしておくことで、離婚後の養育費を継続的に支払わせる経済的余力を生み出すことができます。
証拠が揃ったら離婚の話し合いに入ります。
慰謝料、財産分与、養育費などの条件がまとまったら、口約束や手書きのメモで終わらせず、必ず公証役場へ行き、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しましょう。
借金をするルーズな相手は、離婚後の支払いを数ヶ月で滞納するリスクがとても高いです。
強制執行認諾文言を入れておけば、相手が支払いを怠った際、改めて裁判を起こす手間なく、直ちに相手の給料や預貯金を差し押さえることが可能となります。
相手が離婚を拒否したり、慰謝料や財産分与の金額で折り合いがつかなかったりする場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停委員という中立な第三者を交えて話し合いを行い、妥協点を探りながら解決を目指します。
調停でも合意に至らない場合は、最終手段として離婚裁判を起こし、裁判官に離婚の可否や条件の判決を下してもらう手順となります。

借金を理由にした離婚を進める際は、弁護士に依頼することで、精神的な負担軽減だけでなく、経済的な利益を守るためにも大きな意味を持ちます。
得られる具体的なメリットは、以下の3点が挙げられます。
オーバーローン状態の不動産の扱いなど、借金が絡む財産分与は計算や手続きがとても複雑です。
弁護士がいれば、個人の特有財産と共有財産を法的な基準で正確に仕分けし、あなたが本来負担すべきでないマイナス財産を不当に押し付けられるのを防いでくれます。
借金を隠していたり、金銭感覚がルーズな配偶者との話し合いは、多大な精神的苦痛と労力を伴います。
弁護士に依頼すれば、あなたの代理人としてすべての交渉の窓口となってくれます。
相手と直接顔を合わせたり、連絡を取り合ったりする必要が一切なくなり、安心してご自身の新しい生活の準備に専念できるでしょう。
インターネットの雛形を使って個人が作成した離婚協議書では、法的な不備により、いざという時に強制執行できない可能性があります。
弁護士であれば、抜け漏れのない厳密な条項を作成し、相手が自己破産した際のリスクまで見越した確実な公正証書の作成をフルサポートしてくれます。

配偶者の借金による離婚は、単なる感情のすれ違い以上に、今後の自分と子どもの生活基盤に直結する重大な法的トラブルです。
自分が連帯保証人になっているのか不安、養育費だけは絶対に確保したいとお悩みなら、今すぐ専門家の力を頼ってください。
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