既婚者同士肉体関係なし

職場の上司とのラインのやりとりと4回遊びに行ったのが奥様に知られて今お互い弁護士さん同士での話し合いの途中です。(肉体関係なし。)
2回娘さんと奥様のお母様3人で自宅に乗り込んで来られて示談書にサインしてしまいました。その内容は会社を辞める、これを破ったら100万円払うと書かれていました。その時は家の中に家族がいてバレるのを恐れてとにかく早く帰ってほしくてサインしてしまいました。帰ってくださいとお願いしても無理と断られ、仕事を辞めたら生活できないとお願いしたら水商売でもしたらいいと言われました。
奥様からの要望は会社を辞めること、私の家族に全て話すこと、慰謝料50万払うことです。
このまま会社も辞めず家族にも知られず慰謝料だけで解決することは出来るでしょうか?

私見を回答させていただきます。

肉体関係がないのであれば(それを推認させる事実や証拠もないのであれば)、一般的には不貞行為と認定される可能性は低いと思います。

示談書に署名してしまっている点は不利な事情だと思います。ただし、相手方が複数人で自宅に来て、帰るよう求めても帰らず、そのような状況で署名したという経緯などから、示談書の効力を争える可能性はあります。

仮に交渉で解決できず裁判になったとしても、示談書を履行しなかったことによる違約金が問題になる可能性はあるものの、裁判の性質上、相手方が希望されている内容(会社を辞めることやご家族に今回のことを話すこと)を強制的に実現することはできません。

既に双方に弁護士が入っているのであれば、今後、相手方が直接自宅に来たり、ご家族に連絡したりする可能性も低いと思います。担当の弁護士とよく相談し、会社を辞めず、ご家族にも知られない形での解決を目指して交渉してもらうのがよいと思います。

肉体関係がなく、LINEのやり取りと4回遊びに行ったという事情だけであれば、当然に不貞慰謝料が発生するわけではありません。もっとも、肉体関係がなくても、交際の内容・親密度によっては婚姻共同生活の平和を侵害したとして慰謝料が認められるケースもありますので、LINEの内容等を含めた具体的な検討が必要です。

示談書の記載内容に関し、「会社を辞める。違反した場合100万円を支払う」という条項の有効性には疑義があります。退職を強制する条項は貴方の生活・就労に対する制約が非常に大きく、公序良俗違反(民法90条)として効力が問題となる可能性があります。また、相手方ら3人が自宅に来て、家族に知られることを恐れて早く帰ってもらうために署名した、退去を求めても応じなかったという経緯に関しては、具体的な言動や当時の状況によっては、強迫による意思表示として取消し(民法96条)を検討する余地もあります。「家族にすべて話す」という要求についても、相手方が当然に貴方へ強制できるものではありません。

したがって、会社を辞めず、家族にも告知せず、金銭によって解決することを交渉すること自体は可能です。既に双方に弁護士が付いているのであれば、今後は相手方本人とは直接やり取りせず、署名時の状況を代理人に詳しく伝え、退職条項の効力を争うのか、条項を削除して金銭解決するのか等を十分に検討してうえで、交渉してもらうのがよいでしょう。