別居中の配偶者に対し、子の習い事の費用や歯科矯正費用の支払を求めた事例
日吉 加奈恵
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
相談者さま(妻)は、お子さまふたりを連れて自宅を出る形で相手方(夫)と別居を開始した。
妻は、夫に対し、算定表上認められる婚姻費用に加え、同居中から続けている子らの習い事の費用及び別居後に開始したお子さまたちの歯科矯正費用を請求した。
これに対し、夫は、習い事は妻が勝手に始めたものであること及び歯科矯正費用も別居後に夫の承諾なく始めたものであるとして、習い事の費用と歯科矯正費用の支払を拒否した。
【相談後】
夫と妻の収入割合に応じて、算定表上認められる婚姻費用とは別に、習い事の費用と歯科矯正費用の加算が認められた。
【先生のコメント】
習い事の費用については、同居中から続けているものである場合、夫婦双方が習い事をすることに同意していたと推認され、夫婦の収入割合に応じて婚姻費用への加算が認められるケースが多いです。
別居後に習い事を開始した場合、非監護者側の配偶者が承諾している時には婚姻費用への加算が認められますが、承諾していない場合であっても、夫婦の収入・学歴・収入等に鑑み、非監護者側の配偶者に費用を負担させることが不合理でないと認められる場合には、加算が認められます。
習い事以外の教育費でよく争点となるのは、私立幼稚園・中学・高校の学費です。
私立の学費についても、前述した習い事の加算と同じ枠組みで判断されることになります。
また、算定表上考慮されている範囲を超える医療費については、必要性が認められる場合には、別居後かつ非監護者側の配偶者の承諾がなくても、婚姻費用への加算が認められます。
歯科矯正費用はその典型例といえます(ただし、歯科矯正の必要がないとの反証が成功した場合には加算は認められません)。
なお、上記枠組みは婚姻費用の場合に限られ、養育費の場合、「特別出費」として支払義務が認められるか否かという判断となります。
裁判例・裁判実務上、私立の学費や病気による高額な医療費は支払義務が認められるケースが多いですが、習い事の費用は支払義務が認められないことが多いです。