【ご相談内容】【相談前】
ご本人は、債権者からの請求に対し、時効援用ができないかと考え、過去にほかの弁護士に依頼した経験のある方でした。
その当時の弁護士が債権調査をしたところ、過去に債務名義を取られており、相談を受けた時点では、まだ7年程度しか経過しておらず、時効援用は無理であることが判明し、仮に任意整理手続きとなると、遅延損害金も含め全額支払わなければならなくなるため、後3年ほど待って時効援用した方がよいと助言され、一旦辞任(委任契約終了)となった、とおっしゃっていました。
その上で、後3年も中途半端な状態で待ち続けることに対し、疑念を抱き、相談に来られました。
【相談後】
ご本人から話を伺うと、債務元金に遅延損害金を多少付加した金額なら支払う意思があること、このまま3年も何も手続きをとらずあいまいな状態にしておくことを望んでいないこと、が確認できました。
債権者から見れば、債務者がまったく音信不通の状態となっている場合ならまだしも、弁護士に依頼して一旦手続きを進めた経緯があるため、後3年程度待ったとしても、その間に再度の時効中断手続きを取られてしまう可能性が相当程度あると考えられることを説明しました。
さらに、再度債務名義が取られると、支払いの交渉がさらに難化すること、また債権回収会社に債権が譲渡されてしまうと遅延損害金についての交渉の余地が極めて小さくなることもあわせて説明しました。
支払う意思があるのであれば、速やかに手続きをとるべきであると説明し、ご本人も納得されました。
ご依頼を受け、結果として債務名義で確定した債務元金(利息制限法による引き直し後の残元金)に3万円程度の遅延損害金を付加する金額を支払うことで、任意整理和解を行うことができました。
【先生のコメント】
安易に先延ばしをするだけでは、何らの解決にもつながりませんし、ご本人を不利な立場に追いやることになりかねません。
特に、依頼者が支払意思を有し、現実的に支払可能である以上、その意思を十分尊重し、それに沿った解決策を提案すべき事案でした。
確かに、時効援用により支払を免れる方法もあります。
しかし、時効成立まで後3年も待つような方針を、債務整理希望の依頼者に説明することは、弁護士の職務の放棄に等しいともいえます。
特に、本件では、一度債務名義を取得された過去があり、しかも弁護士名で債権調査をした事実があることも踏まえると、再度の時効中断手続きを取られる可能性が極めて高いケースでした。
約3年後の時効成立を待ったところで、遅延損害金が一日一日上乗せされていくだけであり、依頼者にとって、マイナスでしかありませんでした。