夫婦同時に事故に遇い、相手損保会社から届いた示談提案額の妥当性に疑問をもち、依頼となった例
宮崎 正仁
弁護士
【ご相談内容】【相談前】
夫が運転し、妻が助手席に同乗していた被害車両が、交差点において赤信号のために停車していたところ、後方から、加害車両により追突されたという事故でした。
夫婦ともに、総治療期間は約7か月と比較的長かった事案でした。
ご本人らは、ともに60歳を超え、相手損保会社からご本人らあてに、夫については約50万円、妻については約70万円の示談提示がありました。
この金額が妥当な金額なのか、少額すぎるのではないかと疑問をもち、相談となりました。
【相談後】
相手損保会社からご本人らあてに届いたという示談提案の内容を確認し、増額可能性があることを説明したところ、ご依頼を希望されました。
運転手である夫の過失は0と考えられること、仮に運転手である夫の過失が認められる場合でも、本件夫婦間では身分上の一体性があることから利益相反にはならないと判断し、夫婦同時受任となりました。
夫については、通院慰謝料のみの増額となりましたが、結果的に約60万円で示談となりました(約10万円の増額)。
他方、妻については、主婦の休業損害につき、相手損保会社からの事前の示談提示では、自賠責保険の基準額により算定された低い金額となっていましたが、賃金センサスの収入を基礎として算定した損害金を請求し、結果的に約130万円で示談となりました(約60万円の増額)。
さらに、弁護士費用も弁護士費用特約からすべて賄うことができました。
【先生のコメント】
ご夫婦ともに無職(年金生活者)であり、就業に関する休業損害は基本的に発生しないケースでした。
ただし、ご夫婦だけの二人暮らしとはいえ、妻は、日常生活において、夫のために家事を行う家事従事者であるため、主婦休業損害金を請求できる立場にありました。
ご夫婦間で示談金額に差が生じた原因は、この主婦休業損害金の有無によるところが大きいといえます。
本件では、運転手であった夫の過失が0となるケースでしたが、仮に夫の過失が認められるような場合には、同乗していた妻に何らの落ち度がなかった場合でも、被害者側の過失として妻についても、夫と同じ過失があるとされるところでした。
弁護士に依頼する前の被害者に対し、相手損保会社から提示される示談金額が妥当と思える場合も全くないとは言い切れません。
しかし、大概の場合において、低い金額の提示となっています。妥当な金額かどうか確認してから示談をすべきと考えられます。
そのためにも、示談を成立させる前に、弁護士に相談することは意味があることだと考えています。