インタビュー | 松本 佳朗弁護士 ゴッディス法律事務所

――弁護士を目指したきっかけを教えてください。

知識をつけて、人を助けたい。
これが最初のきっかけです。
私、中学を卒業してすぐ工場で働き始めたんですよ。
日中働きながら、夜間高校に通っていて。

職場である工場では、業務の性質上どうしても労災が起こることもありました。
実際に、同僚が巻き込まれているのを目の当たりにしたこともあって。
どうにかして助けたくても、当時は知識も無く、何もできなかったんですよね。
それが非常に歯がゆかったです。
自分の人生、このままでいいんだろうか…。
法律の知識があれば、身近な人が困っているときに助けられるかもしれない。
そう思って一念発起、大学に行くことにしたんです。


――かなり大きな決断ですよね。

そうですね。ストレートに進学した人が大学を卒業するくらいの年に、入学したので。
一般的なルートに比べると、かなり回り道をしてしまったかもしれません。
でも、大学での勉強は非常に楽しかったですね。
法律は、トラブル解決のための一つの物差しになります。
揉め事が起こった時、どの法律を使い、どんなプロセスで解決していくのか…。
それを考えるのが、凄く面白かったです。


――実際に弁護士になって、いかがですか？

自分には合っているなと感じます。
私は、10年ほどの社会人経験を経て弁護士になったので。
今まで、さまざまな仕事を経験してきました。
その中でも弁護士は、一番刺激的で面白いなと思いますね。
依頼者さまの抱えるお悩みは多種多様で、ひとつとして同じものはありません。
法律というルールを基に、依頼者さまの個々の事情を踏まえて最善策を考える。
オーダーメイドで筋道を立てる過程に、とてもやりがいを感じます。
あと、依頼者さまから感謝のお言葉をいただけたときは、本当に嬉しいですね。
「先生のお陰で救われました」「依頼して本当に良かったです」
このようなお言葉に、なによりの幸せを感じます。

――弁護士になってから今に至るまでの歩みを教えてください。

まず、都内の大手法律事務所に入所し、家事事件を中心とした事件対応を行っていました。
不貞の慰謝料請求をメインに。離婚問題なども含めて累計500件ほどの事件を解決しましたね。
相談を受けた件数だけでいうと、数千件にも及ぶのではないでしょうか。
交渉案件が多かったので、業務中はとにかく四六時中、相手方と交渉してました。
特に慰謝料請求は、当事者が感情的になりやすい分野でもあります。
お互いの怒りや悲しみといった感情を落ち着かせて、依頼者さまに納得していただける落としどころを見つける。
そして、相手方の出方やパーソナリティーを踏まえて、こちらの要望を理解してもらう。
このような柔軟な交渉術が身につき、私の大きな強みとなっています。

3年ほど経験を積んだのち、より事件を深堀りして業務の幅を広げたいという想いが芽生え、若井綜合法律事務所へ移籍しました。


――移籍後は、どのような案件に注力されていましたか？

こちらでは、離婚調停や訴訟を始めとした離婚問題全般、そして、認知、養育費の請求など。DNA鑑定が絡む複雑な事案も多く経験しました。
今巷で話題になっている、「パパ活」系の男女トラブルも多かったですね。
女性からお金を巻き上げられてしまった男性側。
男性から受け取った金品を、別れた後に全部返せといわれた女性側など。
双方の代理人経験があります。

あとは、債権回収です。
債権回収の中でも、個人間の貸付を中心に。
マッチングアプリで出会った相手にお金を貸したとか、投資話に乗ってお金を取られてしまったとか。
詐欺が絡むような、ちょっと珍しい事案もありましたね。


――現代社会ならではのトラブルですね。対応時に心がけていたことはありますか？

依頼者さまのお話をじっくり聞いて、回収までの適切なスキームを組むことです。
そのためには、どんなやり取りを経てお金を渡してしまったのか、借用書や振り込んだときの明細書など、手元にある証拠を洗いざらい確認します。

あと債権回収の場合は、速攻訴訟手続きを取ることも多いですね。
詐欺を働く狡猾な相手方は、交渉している間に逃げてしまうこともあります。
判決を取れば執行もできますし、回収のチャンスも広がりますし。
実際に、数千万単位の回収に成功したこともあるんですよ。
債権回収は、強気な攻めの姿勢が大事かなと思います。


――そして今は、独立開業されていると。

はい。現在は独立し、新宿でゴッディス法律事務所を開業しています。
大手事務所で培った経験値と大手ならではの先進的な事件処理のシステム、そして若井綜合法律事務所で学んだ依頼者さまに寄り添う姿勢。
両者を融合して、より良い法サービスを提供したい。
このように考えて、独立開業に至りました。
引き続き男女トラブルや債権回収には、特に注力して弁護活動を行っています。

――印象的だった事例はありますか？

貞操権侵害の事例をご紹介します。
依頼者さまは既婚の男性だったのですが、独身だと偽って女性と交際していたんです。
結局、既婚者だということがバレて別れることになったのですが、女性からお金を要求されて。
かなり長期間にわたりお金を支払い続けていたので、いい加減止めたいとご相談にいらっしゃいました。
しかも、既に別の弁護士に依頼されてたんですよ。
相手方と3年ほど交渉していたにもかかわらず、話が全くまとまらなかったようで…。
それで、セカンドオピニオンでいらしたんです。


――なぜそこまで交渉が長期化したのでしょうか？

どうやら、男女トラブルが専門外の先生だったようです。
その点私は、500件以上の不貞慰謝料事件、男女問題の解決実績があります。
このような交渉事は、いわば私の十八番。
今まで支払った金額がかなり高額なので、もうこれ以上は払えませんと、毅然とした態度で交渉しました。
もちろん、過去の判例もしっかり調べて。
もし裁判になったらこのくらいの金額が妥当なんだと、根拠資料も集めましたね。
すると、3年間も難航していたのが嘘のように。ものの2か月ほどで解決したんです。
最後は、これ以上の金銭請求は行わないという清算条項を入れた合意書も締結しました。


――かなりのスピード解決ですね。何かコツはあったのでしょうか？

精度の高い見通しを立てること。
そして、相手の出方を何手も先まで読み、何を言われても反論できる資料を用意しておくことです。
これは、請求側・被請求側双方にいえることでもあります。
どんな証拠があれば、相手からの請求を退けられるとか、逆にこの証拠がないとちょっと厳しいですよとか。
経験値が高いからこそ、正確に予測できるんです。

あと、弁護士にはそれぞれ得意分野があるので。
スピード感、そして少しでもメリットのある解決がしたいのであれば、やはりその道に長けた弁護士に依頼すべきだなと思いますね。

――今後の展望を教えてください。

私、中途半端な仕事は絶対したくないんですよ。
どんなご依頼でも恥ずかしくないような結果を出せるように。
そして、可能な限り依頼者さまに寄り添った対応を、これからも心がけていきます。

あと現在、大手消費者金融と業務委託契約を結び、消費者に対する債権回収業務を行っているんです。
債権回収が得意だからこそいただけている仕事なので、引き続きスキルを磨いていきたいですね。


――最後にメッセージをお願いします。

法律トラブルは、一人で悩んでいても解決しません。
それに悩みって、人に話すだけでも少しスッキリしますよね。
ちょっと誰かに話してみようかな、という気持ちで構いませんので。
私に相談してみませんか？

弁護士はちょっと恐いとか、話し辛いとか思う方もいるかもしれません。
でも私は、プライベートではアニメや漫画、そして可愛いワンちゃんネコちゃんが大好きな普通の人間です(笑)
肩ひじ張らずに、ぜひ気楽にご相談にいらしてくださいね。