親や親族が亡くなり、相続の手続きを進める中で、「どのような財産が、どこに、どれくらいあるのか分からない」と悩んでいませんか。
相続における財産調査は、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金をはじめとするマイナスの財産も漏れなく正確に把握するために、とても重要なプロセスです。
もし財産調査を怠ったり、漏れがあったりすると、知らないうちに多額の借金を背負ってしまうなど、親族間での深刻なトラブルに発展するリスクがあります。
また、相続税の申告漏れにより重いペナルティが課されるリスクも無視できません。
この記事では、自分でできる種類別の財産調査の方法から、調査が難しいケース、そして弁護士に依頼するメリットまでを詳しく解説します。
記事を読むことで、期限内に漏れなく財産を特定するための具体的な手順が分かり、不安のない相続手続きを進める第一歩を踏み出せるでしょう。

相続における財産調査とは、亡くなった方(被相続人)が遺したすべての財産を特定し、その価値を評価する作業のことです。
民法第896条により、相続人は被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継することになります。
調査の主体は、原則として相続人全員、または指定された遺言執行者となります。
被相続人が亡くなった直後は葬儀などで慌ただしいものですが、早急に調査を開始する必要があります。
相続財産調査・鑑定に強い弁護士に強い弁護士
遺産分割協議は、相続人全員で誰がどの財産を受け継ぐかを話し合う重要な手続きです。
民法第906条に基づき、遺産分割は遺産の種類や性質などを考慮して行う必要があり、前提として全財産の把握が欠かせません。
もし一部の財産が漏れた状態で協議を成立させてしまうと、後から新たな財産(とくに多額の預貯金や不動産など)が発見された場合に、協議のやり直しが必要になる可能性があります。
一部の相続人が財産を隠していたと疑われ、親族間で深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。
すべての財産を初期段階で正確に把握しておくことが、公平でスムーズな話し合いの絶対条件となります。
財産調査を迅速に行うべき最も重要な理由は、相続放棄や限定承認の手続きに法律上の厳しい期限が設けられているからです。
民法第915条第1項の規定により、相続人は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内(熟慮期間)に、以下のいずれかを選択しなければなりません。
この3ヶ月という極めて短い期間内に、被相続人の遺産(預貯金、不動産、株式等)だけでなく、借金や未払金といったマイナスの財産も正確に把握し、家庭裁判所へ必要な申述を行うかどうかの最終判断を下す必要があります。
万が一、財産調査が遅れてこの期限を過ぎてしまった場合、法律上は「単純承認」をしたものとみなされます(法定単純承認)。
その結果、後から多額の借金や保証債務が発覚したとしても、相続人はそれらをすべて個人の財産から返済する責任を負うことになり、生活に甚大な支障をきたす恐れがあります。
もし、調査に時間を要し期限に間に合わない可能性がある場合には、弁護士を通じて家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てることも検討すべきですが、まずは早期に調査を開始し、現状を正確に把握することが不可欠です。
遺産総額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納税を行う義務が生じます。
相続税法第27条の規定に基づき、この申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内と厳格に定められています。
国税庁の規定によれば、財産調査の不足により申告期限に遅延したり、過少に申告したりした場合には、延滞税や過少申告加算税といった重い附帯税が課されるリスクがあります。
こうした税務上の不利益やペナルティを回避し、円滑な納税手続きを完了させるためにも、初期段階での正確かつ網羅的な財産調査は極めて重要です。

財産調査を確実に行うためには、闇雲に探すのではなく、正しい手順で情報を収集し、多角的な視点を持つことが重要です。
ここでは、財産の見落としを限りなくゼロにするための調査方法を解説します。
被相続人が生前に公正証書遺言を作成していた場合、全国の公証役場にある「遺言検索システム」を利用して探し出すことができます。
相続人や受遺者、遺言執行者などの利害関係人であれば、被相続人の死亡を証明する戸籍謄本や自身の身分証明書、実印、印鑑登録証明書などを提示することで、最寄りの公証役場から全国の公正証書遺言の有無を無料で検索することが可能です。
公正証書遺言は原本が公証役場で厳重に保管されているため、紛失や改ざんの恐れがなく、家庭裁判所での検認手続きも不要です。
検索の結果、遺言書が見つかれば、その内容を確認することで被相続人が把握していた主要な財産が判明します。
遺言書には財産目録が添付されている可能性も高く、預貯金の口座情報や不動産の所在地を特定する大きな手がかりとなるため、財産調査の手間を大幅に省くことができるでしょう。
被相続人が自営業者であったり、不動産収入があったりした場合、過去数年分の確定申告書の控えを確認することもとても有効です。
確定申告書を見れば、どの不動産から収益を得ているか、どの金融機関と取引があるかなどを推測できます。
具体的には、不動産所得の明細から所有物件の所在地を特定したり、利子所得の項目から預貯金口座のある金融機関を割り出したりすることが可能です。
被相続人に顧問税理士がついていた場合は、守秘義務の範囲内で当時の財産状況について直接照会してみるのも一つの手段です。
税理士は毎年の申告を通じて、預貯金の動きや不動産の増減、さらには借入金の有無といった詳細な財産情報を把握しているケースが多く、自力での調査が難航している際の非常に強力な情報源となります。

実際に財産を調べる際、対象となる財産の種類によって照会先や必要書類が大きく異なります。
ここでは、代表的な財産の種類ごとに、調査を進めるための具体的な手順を解説します。
照会先 |
必要な主な書類 |
調査方法の概要 |
|---|---|---|
自宅・遺品 |
- |
通帳、キャッシュカード、金融機関からのノベルティや郵便物を探す |
各金融機関の窓口 |
被相続人および相続人の戸籍謄本、本人確認書類など |
窓口で残高証明書と取引明細書の発行を請求する |
全国銀行協会(全銀協) |
預金口座照会依頼書、戸籍謄本類、印鑑証明書など |
ネットまたは郵送で加盟銀行における口座の有無を一括照会する |
預貯金の調査は、まず自宅にある通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵送物を探すことから始めます。
特に、近年は「e通帳」など紙の通帳を発行しないネット銀行も増えているため、被相続人のスマートフォン内のアプリや、金融機関からのメール履歴も重要な手がかりとなります。
取引先の金融機関が判明したら、その銀行や信用金庫の窓口に出向き、残高証明書および過去の取引明細書の発行を請求しましょう。
残高証明書は、相続税申告における「相続開始日時点の評価額」の正式な証明となります。
また、取引明細書を確認することで、生前の多額の出金や、他の金融機関、生命保険会社、証券会社、あるいは借入先との取引履歴を把握でき、調査範囲を広げる有力な情報源となります。
もし、どこの金融機関に口座があるか全く見当がつかない場合は、全国銀行協会(全銀協)が提供する「預金口座照会制度」を利用するのが有効です。
この制度を利用することで、全銀協に加盟している銀行、信託銀行、商工中金などに被相続人名義の口座があるかどうかを一括して照会することができます。
ただし、信用金庫や農協(JA)、漁協などは照会対象外となるため、それらについては心当たりのある支店への個別照会が必要です。
照会先 |
必要な主な書類 |
調査方法の概要 |
|---|---|---|
自宅 |
- |
毎年送付される固定資産税の納税通知書(課税明細書)を確認する |
市区町村役場 |
被相続人および相続人の戸籍謄本、本人確認書類など |
名寄帳を取得し、同一市区町村内の全所有不動産を把握する |
法務局 |
対象不動産の地番・家屋番号がわかるものなど |
登記事項証明書と共同担保目録を取得し、他地域の不動産等がないか確認する |
不動産の調査では、毎年春頃に役所から送られてくる固定資産税の納税通知書を確認するのが基本です。通知書に同封されている課税明細書には、その市区町村内で課税対象となっている土地・建物が一覧で記載されており、所有物件を特定する最も身近な手がかりとなります。
2024年4月1日の法改正により、相続登記が義務化され、相続の開始を知った日から3年以内に登記を行わない場合は過去の相続分を含めて10万円以下の過料が科される可能性があるため、迅速な対応が必要です。
過去の相続分も含めて非課税不動産などの見落としがないよう、納税通知書だけでなく名寄帳や公図を活用した網羅的な調査が重要です。
正確な調査を怠ると、過料のリスクだけでなく、将来の売却や活用に支障をきたす恐れもあります。
照会先 |
必要な主な書類 |
調査方法の概要 |
|---|---|---|
自宅・郵便物 |
- |
取引残高報告書や配当金の支払通知書を探す |
証券保管振替機構 |
開示請求書、戸籍謄本類、本人確認書類など |
登録済加入者情報の開示請求を行い、口座を持つ証券会社を特定する |
各証券会社 |
戸籍謄本類、証券会社の指定する請求書など |
判明した証券会社に対し、個別に残高証明書の発行を依頼する |
上場株式や投資信託については、証券会社から郵送される取引残高報告書や、配当金の支払通知書、さらには信託銀行から届く議決権行使書などの郵便物が、口座の存在を知るための手がかりとなります。
最近では電子交付サービスの普及により、紙の報告書が届かないケースも増えています。
その場合は、被相続人のパソコンのブラウザのブックマークや、スマートフォンのアプリアイコン、証券会社からのメール受信履歴を丹念に確認することが不可欠です。
利用していた証券会社が不明な場合は、証券保管振替機構(ほふり)に対して「登録済加入者情報の開示請求」を行うことで、口座を持つ証券会社を一括して特定可能です。
口座の所在が判明した後は、各証券会社に対して個別に「残高証明書」の発行を依頼し、相続開始日時点での正確な保有銘柄と評価額を把握する流れとなります。
照会先 |
必要な主な書類 |
調査方法の概要 |
|---|---|---|
自宅・通帳 |
- |
保険証券、控除証明書、通帳の引き落とし履歴をチェックする |
生命保険協会 |
照会申請書、戸籍謄本類、本人確認書類など |
ネットまたは郵送で各保険会社へ契約の有無を一括照会する |
被相続人が生命保険に加入していたかを調べるには、まず自宅に保管されている保険証券や、生命保険料控除証明書のハガキ、さらには通帳の引き落とし履歴を確認します。
生命保険の加入状況が不明な場合は、生命保険協会が運営する「生命保険契約照会制度」を利用することで、加盟するすべての保険会社に対して被相続人の契約有無を一括で照会できます。
照会には所定の手数料が必要ですが、オンラインまたは郵送で申請でき、戸籍謄本などの本人確認書類を揃えることで相続人からの調査が可能となります。
生命保険金は、指定された受取人が固有の権利として受け取るため、原則として遺産分割協議の対象外ですが、みなし相続財産として相続税の課税対象になるため、正確な把握が欠かせません。
照会先 |
必要な主な書類 |
調査方法の概要 |
|---|---|---|
自宅・通帳 |
- |
督促状、契約書、不自然な引き落とし履歴を探す |
信用情報機関(CIC等) |
開示申込書、戸籍謄本類、本人確認書類など |
CIC、JICC、KSCへ情報開示を請求し、金融機関からの借入状況を把握する |
マイナスの財産については、まず自宅に保管されている消費者金融や信販会社からの督促状、契約書、または通帳に記された不自然な引き落とし履歴をチェックすることが重要です。
確実を期すためには、以下すべてに対して情報開示請求を行うのが鉄則です。
開示請求には、被相続人と相続人の関係を証明する戸籍謄本類や、請求者本人の本人確認書類などの準備が必要となります。
また、被相続人が誰かの連帯保証人になっているケース(保証債務)は、主債務者が滞納しない限り金融機関からの通知が届かないため、契約書が見つからない限り気づくことができないケースが多いです。
こうした潜在的な債務の見落としは、相続放棄の期限(3ヶ月)を過ぎてから発覚した場合、相続人が個人の財産で返済する義務を負うことになり、深刻なトラブルの原因となります。
照会先 |
必要な主な書類 |
調査方法の概要 |
|---|---|---|
自宅・専門業者 |
車検証、鑑定依頼書など |
価値がありそうな動産をリストアップし、専門の鑑定士に評価を依頼する |
各金融機関の窓口 |
相続人全員の同意書、印鑑証明書、戸籍謄本など |
貸金庫の鍵や履歴から利用状況を確認し、規定に沿って開扉手続きを実施する |
自動車や骨董品、貴金属、絵画などの動産も相続財産となります。
これらは自宅での遺品整理を通じて発見されることが多いですが、特に市場価値が高いと思われるものは、専門の鑑定士に評価を依頼し、正確な時価を把握することが、公平な遺産分割や適正な相続税申告のために重要です。
また、被相続人が貸金庫を利用していた形跡がある場合は、その中に預金通帳や権利証、重要書類、あるいは高価な動産が保管されている可能性があるため、必ず調査対象に含める必要があります。
貸金庫の開扉にあたっては、金融機関ごとに定められた厳格な手続きが求められ、原則として相続人全員の同意書や印鑑証明書、被相続人との関係を示す戸籍謄本などを用意しなければなりません。
照会先 |
必要な主な書類 |
調査方法の概要 |
|---|---|---|
遺されたスマホ・PC |
なし |
メール履歴、ブラウザのお気に入り、アプリアイコンを確認する |
データ復旧業者 |
業者の指定する申込書など |
パスワード不明でデータ初期化のリスクがある場合、専門業者へ解析を依頼する |
近年急増しており、相続において最も見落としのリスクが高いのが、スマートフォンやパソコンの中にのみ記録されている「デジタル遺品」です。
ネット銀行や仮想通貨(暗号資産)、証券会社のネット専用口座などは、従来の金融機関とは異なり紙の通帳や取引明細、郵送による通知が一切届かないことが多いため、その存在自体に気づけず、調査が難航しがちです。
まずは被相続人の端末(スマホ・PC)のメール履歴やアプリアイコンなどから、金融機関や取引所からのログイン通知、メルマガ、ドメイン名を確認しましょう。
もしデバイスがロックされておりパスワードが不明な場合、無理に何度も入力するとデータが初期化されるリスクがあるため、専門のデータ復旧業者へ解析を依頼することも検討してください。

財産調査を一通り終えたら、その結果を必ず一覧表にまとめる作業が必要です。
財産目録(遺産目録)とは、判明したプラスの財産(預貯金、不動産、株式等)とマイナスの財産(借金、未払金、保証債務等)をすべて書き出したリストのことです。
目録を作成することで、遺産全体の中でどの財産がどれだけの価値を持っているかが可視化され、相続人全員が客観的な数字に基づいて現状を把握できるようになります。
この目録は、相続人同士で行う遺産分割協議のベースとなるだけでなく、相続税の基礎控除額を超えるかどうかの判定や、税務署への申告書類、さらには家庭裁判所での手続きにおいても必須の資料となります。
形式に厳格な決まりはありませんが、後日のトラブルを防ぐため、以下のように財産を特定できる詳細な情報を漏れなく記載することが重要です。
もし調査が不十分なまま目録を作成し、遺産分割協議を終えてしまうと、後から新たな財産や借金が判明した際に協議のやり直しが必要になったり、親族間での不信感につながったりするリスクがあるため、慎重な作成が求められます。

財産調査は、自分たちだけで進めることも可能ですが、内容や状況によっては困難を伴うことが少なくありません。
将来的な法的トラブルや不利益を避けるためにも、次に挙げるようなケースに該当する場合は、速やかに弁護士へ相談することをおすすめします。
なお、弁護士に調査のみを単独で依頼する場合、費用の相場は着手金や実費を含めて10万円から30万円程度が目安となります。
亡くなった方と長期にわたって交流がなかったり、生とに財産状況の共有を受けていなかったりすると、通帳や郵便物といった基本的な手掛かりすら得られないケースがあります。
特に昨今はネット銀行や暗号資産(仮想通貨)といった「デジタル遺品」が普及しており、形に残る証拠が見つかりにくいのが現状です。
このような状況下でゼロから調査を進めるのは多大な労力と時間を要するため、相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎてしまう危険性が高まります。
そのため、手がかりが乏しい場合には、専門のデータ復旧業者への解析依頼や、弁護士会照会(23条照会)といった強力な調査権限を持つ弁護士などの専門家に早期に相談することが、不測の負債から身を守るための最善の策となります。
役所の窓口や法務局、金融機関の窓口は、基本的に平日の日中しか開いていません。
仕事などで平日に動けない方が、各機関を何度も回って必要書類(戸籍謄本など)を収集し、照会手続きを行うのは物理的に困難なケースが多いです。
特に、相続人調査のための戸籍謄本収集は、被相続人の出生から死亡まで全ての連続した戸籍が必要となるため、本籍地が遠方にある場合や転籍を繰り返している場合は、郵送での請求手続きを何度も繰り返す必要があり、膨大な時間と手間がかかります。
また、金融機関の残高証明書の発行請求も、各行ごとに所定の書式や必要書類が異なり、複数の銀行に口座がある場合はその都度窓口に足を運ぶか、個別の郵送対応に追われることになります。
専門家に依頼することで、これらの煩雑な事務作業をすべて代行させることができ、自身の負担を大幅に軽減できます。
弁護士であれば、職務上請求等を用いてスムーズに書類を収集し、迅速に調査を進めることが可能です。
不動産が各地に散らばっている、未上場株式がある、連帯保証人になっている可能性があるなど、財産や権利関係が複雑な場合は、個人の調査では限界があります。
特に未上場株式の評価や、名義が被相続人ではないものの実質的には被相続人の財産とみなされる「名義預金」の有無などは、法的な専門知識がなければ正確に特定・評価することは極めて困難です。
また、一部の相続人が財産を隠していると疑念を持たれているなど、少しでも親族間で揉める兆候がある場合は、客観的な調査結果を示すためにも、第三者である専門家を早急に介入させるべきです。
感情的な対立がある中では、一人の相続人が提示する調査結果は信頼されにくく、疑心暗鬼を生んで紛争を長期化させる恐れがあります。
弁護士であれば、弁護士会照会(23条照会)等の強力な調査権限を用いて、より精度の高い財産特定が可能です。
この制度は、個人には非開示の金融機関等に対しても法的根拠に基づき回答を義務付けるもので、隠れた預貯金や保険、借入金の実態を明確にできます。

財産調査を弁護士に依頼することで、次のような多くのメリットが得られます。
弁護士へ財産調査を依頼する最大のメリットは、先述の通り弁護士会照会(23条照会)という法的強制力を伴う権限を行使できる点にあります。
この制度は、弁護士が所属する弁護士会を通じて、官公庁や銀行、証券会社、保険会社などの各機関に対し、調査に必要な情報の報告を求めるものです。
個人による開示請求に対しては、個人情報保護や守秘義務を理由に回答を拒絶する機関も少なくありませんが、弁護士会照会は法律に基づく公的な手続きであるため、各機関は正当な理由がない限り回答を拒むことができず、回答を得られる確率が飛躍的に高まります。
具体的には、被相続人が家族に伝えていなかった銀行口座の取引履歴の遡り調査や、解約済みの生命保険の加入状況、さらには消費者金融や信販会社からの借入状況まで、広範囲にわたる調査が可能です。
個人では特定が困難な隠し財産や、死後に発覚すると深刻な不利益を招く負債を、法的根拠に基づき正確に洗い出せる点が非常に強力な強みです。
これにより、相続人は網羅的な情報に基づいた適正な遺産分割協議を進めることができ、後から新たな財産や借金が発見されてトラブルになるといったリスクを未然に防ぐことが可能になります。
弁護士は戸籍の収集から各機関への照会手続きまでを迅速かつ正確に処理します。
相続手続きに慣れていない一般の方が、自分だけで全ての調査を行おうとすると、書類の不備や手続きの煩雑さに手間取ってしまい、貴重な時間を浪費してしまいがちです。
そうして時間を費やしているうちに、あっという間に相続放棄の期限である3ヶ月(熟慮期間)が経過してしまうリスクがあります。
弁護士に依頼することで、限られた時間内でもスムーズにマイナス財産の調査を完了させ、期限に余裕を持って相続放棄などの重要な法的判断をしやすくなります。
特に、職務上請求等を用いて各地の役所から戸籍を効率的に収集できる点は、遠方に本籍がある場合などに大きなメリットとなります。
もし、どうしても財産調査に時間がかかり、法定の3ヶ月以内に判断が間に合わない恐れがある場合には、弁護士が代理人として家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長(熟慮期間の伸長)」の申立てを行うこともできます。
これにより、法的な不利益を回避しながら、より確実な調査結果を待ってから判断を下すことができるようになります。
弁護士に依頼する利点は、単なる財産調査や目録作成といった現状把握のフェーズにとどまらず、その後の具体的な解決までをワンストップで任せられる点にあります。
行政書士や司法書士は、法律上の「代理権」に制限がありますが、他の相続人と利害が対立して交渉が必要になった場合や、家庭裁判所での遺産分割調停・審判といった法的紛争に発展した際に、代理人として活動できるのは原則として弁護士だけです。
弁護士に依頼すれば、遺産分割協議において自分の代わりに他の相続人と交渉を行ったり、借金が判明した際の相続放棄の手続きを家庭裁判所へ申述したりといった、専門的な判断が求められる法的手続きを一貫してサポートを受けることができます。
これにより、相続人は煩雑な事務作業や感情的な対立が予想される親族との直接交渉から解放されます。法的な確実性を担保しながら、精神的なストレスや時間的負担を大幅に軽減し、円満かつ迅速な相続解決を目指せるのが大きな魅力といえるでしょう。

ここからは、ココナラ法律相談の「おしえて!法律Q&A」に寄せられた財産調査に関する実際のお悩みと、弁護士による回答の概要をご紹介します。ご自身の状況に近いケースがあれば、参考にしてみてください。
なお、最適な対処法や具体的な手続きについては、個別具体的な状況により判断が異なる可能性があります。
正確な見通しや調査の可否については、弁護士にご相談ください。
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【質問】 亡くなった母親の銀行口座を確認したいのですが、弁護士名で紹介状を送れば口座の有無や残高について教えていただけるのでしょうか。 |
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【回答】 弁護士会照会をご利用にならなくても、相続人ご本人が戸籍等で相続人であることを証明されれば、各銀行に直接照会することが可能です。金融機関ごとに手続きが多少異なりますが、戸籍の広域交付制度をご利用いただければ、書類収集もより簡便に進められます。ご自身で進めることにご不安がある場合は、弁護士にご相談されるとよいでしょう。 |
参考:「亡くなった母親の銀行口座の確認」
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【質問】 生前父から相当額の現金が口座にあると聞いておりましたが、同居していた兄からの報告では残高がわずかしか残っていませんでした。弁護士に依頼した場合、兄名義の口座の入出金履歴を調べていただくことは可能でしょうか。 |
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【回答】 兄名義の口座を直接調べることは、原則として難しいとされています。まずは父名義の口座の履歴をお調べになり、いつ・どのように預金が減っていったかをご確認ください。兄の口座へ移転した疑いがあると言える具体的な事情がある場合には、裁判所を通じて調査できる可能性もございます。まずは父の口座履歴の確認から始められるとよいでしょう。 |
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【質問】 結婚歴もなく、子どももいない伯母が亡くなり2年が経ちますが、遺産に関して何の連絡もありません。自分にも相続権があるはずだと思っておりますが、遺産の有無や処分状況が分からず、もやもやしております。調べる方法はございますでしょうか。 |
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【回答】 まずは伯母様の戸籍を取得され、ご自身が相続人であるかどうかを確定させる必要がございます。相続人であることが確定できれば、金融機関への照会も可能になりますが、それでも不動産については名寄帳の写しを、預金については近隣の金融機関を個別に当たるなど手間がかかりますので、生前お付き合いのあったご親族にご確認いただく方法もございます。 |

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