処分権主義違反になるか

民事請求事件で、相手が錯誤を主張してきました。
全部容認か、全部棄却で、判決をたのみましたが、断った一部容認の不利な判決がでました。
処分権主義違反は問題になりますか。

訴状などの請求の趣旨の内容を拝見しなければ断定はいたしかねますが、
処分権主義は、イメージで言えば、当初の請求の枠組みと外れた判断は出来ないということなので、その範囲内の判決であれば、処分権主義には反しません。
途中で全部認容か全部棄却かを頼んだという事実は関係ありません。

今調べましたが、これは最高裁の判例がありますね…
最判昭24年8月2日民集2・9・291です。
「訴を提起する原告としては、請求の全部が認容されないで、その一部が認容される場合には認容される部分について一部勝訴の判決を求める意思があるのが通常である。それ故、原告の請求が可分である場合に、裁判所がその一部は理由があり他の一部は理由がないと認めたときは、その理由とる部分につき請求を認容し、その理由なき部分につき請求を棄却するのである。たゞ、原告がその理由ある部分のみならば請求認容の判決を求めないことが明らかな場合は請求全部を棄却する外ない」としています。
すなわち、明確に、「一部認容判決なら望まない」との意思を明確にしてたならば、一部認容判決は、違法となる余地があります。

問題は、「全部容認か、全部棄却で、判決をたのみました」が、裁判所に「一部認容判決なら望まない」との明確な意思表示として捕らえられたかという点に帰着するのではと思われます。

なお、上記判例は、「上告人は本件家屋のうち原判決が明渡を命じた南側一戸の部分だけでも明渡を求める意思であつたことは、弁論の全趣旨殊に昭和二二年一月一日及び同二三年二月一八日の各口頭弁論期日において陳述された準備書面に照せば明らかである。されば、原審はこの点について特に上告人に対し釋明を求める必要はなかつたわけであつて、もし上告人において本件家屋の一部明渡だけでは請求認容の判決を求めない意思であつたならば、上告人みずから進んで前記準備書面の趣旨を訂正すべきであつたのでめる。それ故、原審には所論のような違法はなく論旨は理由がない」と述べて、一部認容は適法であったと判示して、一部認容が違反であるとの主張を退けました。