「配偶者が家を出て行ってしまい、電話に出ないしLINEもブロックされてしまった…」
このような厳しい状況に直面し、「もはや関係修復は不可能だ」と離婚を決断したとしても、相手との連絡手段が閉ざされていれば話し合いの機会すら得られず、どうすべきか途方に暮れてしまうことでしょう。
そこで本記事では、連絡が取れない配偶者と法的に離婚するための具体的な手順や、居場所の調査方法、裁判で認められる条件について詳細に解説します。
出口の見えない現状から抜け出し、あなたが前を向いて新しい一歩を踏み出すための解決策が必ず見つかるはずです。

配偶者と全く連絡が取れない状況だと、「本当に離婚できるのか」と不安になることでしょう。
ここでは、相手の同意が得られない状況下での離婚と、法的に定められている3つの離婚手続きについて詳しく解説します。
日本の法律において、離婚は原則として夫婦双方の合意が必要とされています。
そのため、相手が話し合いを拒否している状態や、行方不明で連絡がつかない状態のままでは、役所に離婚届を提出しても受理されることはありません。
ただ、相手が意図的に連絡を絶っている場合でも、決して離婚を諦める必要はありません。
法律上の条件を満たし、家庭裁判所での公的な手続きを経ることで、最終的には相手の同意がなくても強制的に離婚を成立させることが可能です。
個別の状況によって選択すべき法的手続きは異なるため、まずは現状を冷静に把握することが重要となります。
離婚を成立させるための法的な手段は、大きく分けて以下の3種類が存在します。
協議離婚 |
夫婦の話し合いによって合意し、役所に離婚届を提出して成立させる最も一般的な方法です。 |
|---|---|
調停離婚 |
家庭裁判所の調停委員が間に入り、第三者を交えた話し合いによって解決を目指す手続きです。 |
裁判離婚 |
調停で合意できなかった場合などに訴訟を起こし、裁判官の判決によって強制的に離婚を決定させる方法です。 |
相手と音信不通の場合は当事者同士での協議が不可能なため、基本的には家庭裁判所を利用した調停離婚か裁判離婚のいずれかの手続きへ進むことになります。
日本の家事事件手続法第257条には、裁判の前に必ず調停を行わなければならない調停前置主義という厳格なルールが定められています。
しかし、相手の行方が全くわからず、裁判所からの調停呼出状すら届けられない状況下では、例外的に最初から離婚裁判を起こすことが認められています。
その際、相手に訴状を届けられない問題を解決するために、民事訴訟法第110条に基づく公示送達という特殊な制度を利用します。
これは裁判所の掲示板に一定期間書類を掲示することで、法的に相手へ書類が届いたとみなす制度であり、相手が法廷に不在のままでも判決を得ることが可能です。

音信不通と一口に言っても、相手の現住所が判明しているケースと、完全に行方不明であるケースでは取るべき対応が大きく異なります。
具体的にどのような手続きをすべきか、順を追って確認していきましょう。
相手の実家やアパートなどの居場所はわかっているものの、連絡を無視し話し合いに応じないケースへの対処法です。
この場合、まずは郵便局の記録に残る内容証明郵便を送付し、離婚の意思があることや話し合いに応じるよう求めるのが有効な手段となります。
それでも無視され続ける場合は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に対して夫婦関係調整調停(離婚調停)を申し立てます。
裁判所という公的機関からの呼出状が届くことで、相手が事の重大さに気づき、観念して調停の場に姿を現すケースも少なくありません。
相手が突然家を出て行き、現在の居場所がわからない場合は、まず所在調査を行う必要があります。
別居にあたって相手が住民票を移している場合、本籍地の役所で戸籍の附票を取得するか、住民票の除票などをたどることで現住所の特定が可能です。
もし住民票を移していない場合は、相手が契約している携帯電話会社や利用している金融機関などに対し、弁護士法第23条の2に基づく弁護士照会を行う手法も存在します。
ただし、近年は個人情報保護の観点が厳格化されており、携帯電話会社などが照会に素直に応じないケースも増えている点に注意が必要です。
離婚を検討している場合、音信不通であることを放置せず、速やかに最寄りの警察署へ行方不明者届(捜索願)を提出することをおすすめします。
警察に公的な届け出をしているという事実は、将来的に離婚裁判を起こした際、客観的な証拠として重要な意味を持ちます。
本当に所在不明であるという主張の信憑性が高まり、裁判官に深刻な状況を理解してもらいやすくなるでしょう。

裁判で離婚を成立させるためには、法律で定められた離婚原因が必要です。
具体的には、民法第770条1項で規定されている法定離婚事由のいずれかに該当しなければなりません。
音信不通の配偶者に対して主張できる主な条件と、必要となる証拠について詳しく解説します。
突然の音信不通において最も主張しやすいのが、民法第770条1項2号が定める悪意の遺棄です。
民法第752条では、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という義務が規定されています。
正当な理由もなく勝手に家を出て行き、残された家族に生活費(婚姻費用)も一切入れないような状態は、この義務に違反しているといえます。
悪意の遺棄を裁判で証明するためには、以下のような客観的な証拠を集めておくことが有効です。
相手が不倫相手のもとに走って同居を始め、そのまま音信不通になった場合は、民法第770条1項1号の不貞行為に該当します。
ここでいう不貞行為とは、配偶者以外の者と自由な意思で性的関係を結ぶことを指します。
不貞行為を立証するためには、以下のような証拠が強い武器となります。
これらの証拠があれば、離婚の成立だけでなく、相手および不倫相手に対する慰謝料請求も認められやすくなります。
民法第770条1項4号のその他婚姻を継続し難い重大な事由が適用され、離婚が認められるケースもあります。
これは、夫婦関係が修復不可能なほどに完全に破綻していると客観的に判断される状態を指します。
長期間の別居や音信不通が続いている事実自体が、夫婦関係の破綻を示す証拠として扱われることが多いです。
また、相手からのDV・モラハラから逃れるために、被害者であるあなた自身がやむを得ず身を隠して音信不通にしている場合も、この事由によって離婚請求が可能です。
この場合、以下のような証拠を残しておくことが推奨されます。

配偶者が行方不明になってから何年も経過している場合、離婚手続き以外にも法的な解決策が存在します。
ここでは、法律上相手を死亡したものとみなす失踪宣告という制度について解説します。
離婚とは異なる法的な効果をもたらすため、ご自身の希望に合わせて慎重に選択する必要があります。
失踪宣告とは、民法第30条に基づき、長期間生死不明の者を法律上死亡したものとみなす制度です。
家庭裁判所に申し立てを行い、認められれば戸籍上も死亡した扱いとなり、自動的に婚姻関係は終了します。
失踪宣告には、次の2種類があります。
あなただけではなく、親族や友人、知人、職場の人も相手と連絡を取ることができず、警察で捜索してもらっても見つからない状態になって7年以上の歳月が経過している場合には有効な選択肢と言えるでしょう。
裁判で離婚判決を得る場合と、失踪宣告によって死亡扱いになる場合とでは、その後の法的な扱いに明確な違いが生じます。
以下に主な違いをまとめましたので、手続きを選択する際の参考にしてください。
裁判離婚をした場合 |
失踪宣告(死亡扱い)の場合 |
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|---|---|---|
婚姻関係 |
判決による離婚成立と同時に終了する |
配偶者の死亡とみなされた時点で終了する |
姓(名字) |
原則として結婚前の旧姓に戻るが、手続きをすれば結婚時の姓を名乗ることも可能(民法第767条) |
特に手続きをしなければ結婚時の姓のままとなる(民法第751条) |
財産の分配 |
相手に対し財産分与を請求する |
法定相続人として相手の財産(債務も含む。)を相続する |
相手の親族との関係 |
離婚の成立と同時に自動的に終了する(民法第728条1項) |
原則として継続するが、役所に姻族関係終了届を提出すれば終了できる(民法第728条2項) |

相手と連絡が取れない状況での離婚は、通常の手続き以上にさまざまなリスクや疑問が伴います。
ここでは、勝手な手続きによる犯罪リスクや、子どもの親権、金銭問題など、事前に知っておくべき重要事項について詳しく解説します。
一刻も早く離婚を成立させたいからといって、相手の署名を勝手に代筆し、無断で離婚届を役所に提出する行為は絶対に避けてください。
このような行為は、刑法第159条の有印私文書偽造罪や、同第157条の公正証書原本不実記載罪といった重い犯罪に問われる危険性が高いです。
さらに、相手の同意がないまま提出された離婚届は要件を欠いているため、後から相手に協議離婚無効確認の調停や裁判を起こされれば、離婚自体が無効となってしまいます。
未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、親権者をどちらにするかを定めるか、親権者指定の調停・審判の申立てをしていなければ離婚届は受理されません。
相手が音信不通で行方不明の場合、裁判所は民法第819条に基づき、子どもの利益を最優先に考えて親権者を指定します。
相手が育児を放棄して失踪している状況であれば、そもそも相手が子どものための重要な意思決定をすることは不可能ですので、裁判所はあなたを単独親権者に指定すると考えられます。
相手が音信不通であったとしても、相手の財産の内容や現在の収入が判明しているのであれば、裁判所は、判決で、相手に対して、財産分与や養育費を支払うよう命じる可能性があります。
また、相手が正当な理由なく突然一方的に出ていき、生活費も一切支払っていないことが原因で離婚せざるを得なくなったということであれば、判決で離婚慰謝料が認められる余地があります。
しかし、問題となるのはその後の回収であり、相手の預貯金口座や勤務先などの財産の所在が不明であれば、強制執行(差し押さえ)の手続きをとることができません。
結果として、判決文という書面は手に入っても、実際にお金を回収するのは困難になるのが実情です。
音信不通の相手が、消費者金融やカード会社から多額の借金を残していた場合、残された家族が返済を迫られるのではないかと恐怖を感じる方は多いでしょう。
日本の民法第762条では夫婦別産制が採用されており、夫婦であっても個人の財産や債務は別々に扱われます。
そのため、配偶者の名義で作った借金であれば、あなたが連帯保証人になっていない限り返済する法的な義務は一切ありません。
債権者から取り立てを受けたとしても、配偶者の個人的な借金であると毅然と断っても問題ない事案と言えます。
ただし、住宅ローンが典型例ですが、自宅に抵当権が設定される場合には、相手が借金を支払わなくなると、いずれ自宅が競売にかけられ、家を失うことになるので注意が必要です。

ここからは、ココナラ法律相談の「おしえて!法律Q&A」に寄せられた、音信不通と離婚に関する実際のお悩みと、弁護士による回答の概要をご紹介します。
ご自身の状況に近いケースを参考にしてみてください。
なお、見通しは個別の事情によって変わり得ますので、正確な見通しについては、弁護士にご相談ください。
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【質問】 数年前から夫と音信不通の状態が続いており、幼い子どもを抱えて離婚したいと考えています。「悪意の遺棄」を理由に公示送達で離婚訴訟を起こそうと思っていますが、自分から積極的に相手を探さなかったことが判決に影響しないか不安です。調停はできれば避けたい気持ちもあり、進め方に悩んでいます。 |
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【回答】 戸籍の附票で相手の住所が判明している段階では、公示送達の要件を満たさないとされています。また離婚訴訟の前には、原則として調停を先に申し立てる必要があります(調停前置主義)。まずは附票で確認できた住所に居住しているかを確認し、それでも所在がわからない場合に離婚の理由となり得ます。手続きが複雑なため、弁護士への依頼も検討するとよいでしょう。 |
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【質問】 夫が会社で横領事件を起こして失踪してしまい、自宅も仮差押えを受けてしまいました。夫がこのまま見つからない場合でも離婚できるのか、これから何をすればよいのか、まったく見当がつかず不安です。 |
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【回答】 配偶者の生死が3年以上わからないときや、悪意の遺棄にあたるとき、婚姻を続けることが難しい重大な事情があるといえるときは、離婚が認められる可能性があります。相手が行方不明でも、公示送達を使って離婚訴訟を起こす道があるとされています。 |
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【質問】 妻が娘を連れて家を出たまま連絡が取れず、通帳や保険証券、パスポートも持ち出されてしまいました。娘は保育園も勝手に退園させられていて、これからどう対応していけばよいのか途方に暮れています。 |
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【回答】 状況としては、別居を経て離婚調停へ進む流れが見込まれ、今は焦らず備える時期と考えられます。ご自身名義の保険が勝手に解約される心配があるなら、保険会社に事前連絡をしておくとよいでしょう。財産や子どもに関わる問題が絡むため、具体的な進め方は弁護士に相談することをおすすめします。 |

音信不通の配偶者との離婚は、居場所の調査から裁判手続きまで、一般の方が自力で行うには壁が高いです。
弁護士に依頼して離婚手続きを進める場合、一般的な弁護士費用の目安は、着手金として30万円から40万円程度、離婚が成立した際の報酬金として30万円から50万円程度が相場となります。
また、解決までの期間については、相手の居場所がすぐに判明して調停でまとまれば半年程度で済むケースもあります。
一方で、完全に行方不明の状態で調停前置主義の例外を主張し、公示送達による裁判手続きを進める場合は、所在調査等、公示送達が完了するまでの対応に時間がかかることが一般的です。
ここでは、法律の専門家である弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットについて解説します。
行方不明の相手の居場所を探し出すには、相手の住民票の取得や戸籍の附票の取得など、慣れない手続が必要になります。
弁護士であれば、正当な業務遂行の範囲内において住民票や戸籍の附票の請求が可能ですので、これら役所からスムーズに取り寄せ、迅速に現住所を特定しやすくなります。
自力で役所の窓口に何度も足を運んだり交渉したりする時間と精神的な負担を大幅に省くことができるでしょう。
調停前置主義の例外を家庭裁判所に認めてもらうための上申書の作成や、公示送達の厳格な要件を満たすための現地調査報告書の作成などは、高度な専門知識が要求されます。
平日の日中に仕事や育児をこなしながら、裁判所が求めるレベルの書面を作成し、法廷に出頭するのは現実的ではありません。
弁護士が代理人となれば、複雑な法的手続きのすべてを一任することができ、スムーズに離婚成立へと手続きを進めることが可能となります。
仮に相手の居場所が判明したとしても、長らく音信不通だった相手と直接連絡を取り、離婚やお金の交渉をするのは多大なストレスを伴います。
弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として、すべての連絡や複雑な条件交渉を窓口となって引き受けてもらえます。
配偶者からの電話や手紙は頑なに無視する相手でも、弁護士名の入った内容証明郵便が届けば、調停や裁判に発展する負担を避けるために真剣に話し合いに応じるケースはとても多いです。

音信不通や完全に行方不明となってしまった配偶者との離婚手続きは、通常の協議離婚に比べてやるべきことが多く、また、一般的な人にとって馴染みのない手続きが必要になることが多いため、個人の力だけで解決へと導くのは非常に困難です。
適正な居場所調査、警察との連携、そして最終的な裁判手続きに至るまで、弁護士の介入が不可欠な状況と言えます。
ココナラ法律相談では、離婚問題や複雑な家庭内トラブルの解決に精通した実績豊富な弁護士を多数掲載しており、全国各地からあなたに合った弁護士を比較・検討することが可能です。
一人で悩みを抱え込まず、まずは一度弁護士に状況を相談し、暗い現状を打破して新しい人生への第一歩を踏み出してみてください。