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福岡わかたけ法律事務所
「急に夫(妻)が家を出ていってしまった。生活費を一切渡してくれず、毎日の暮らしが苦しい」
配偶者からこのような身勝手な仕打ちを受けている場合、それは法律上の「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。
悪意の遺棄は、裁判で離婚が認められる正当な理由(法定離婚事由)のひとつです。
これを正しく主張できれば、相手が離婚を拒んでいても裁判で離婚を成立させたり、相応の慰謝料を請求したりすることが可能になる可能性があります。
しかし、単なる喧嘩による一時的な家出や、やむを得ない事情がある別居の場合は、悪意の遺棄とは認められません。
この記事では、どのような状態が「悪意の遺棄」にあたるのか、その判断基準や慰謝料の相場、有利に解決するための証拠収集について、解説します。

民法第770条第1項では、裁判で離婚を提起できる4つの理由(法定離婚事由)を挙げています。
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一 配偶者に不貞な行為があったとき。 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。 四 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 |
このうち、第2号の「悪意で遺棄されたとき」が、該当する内容にあたります。
悪意の遺棄の具体的な内容とは、正当な理由がないにもかかわらず、夫婦間で果たすべき同居・協力・扶助の各義務を一方的に放棄する行為を指します。
それぞれについて以下で解説します。
民法第752条では、「夫婦は同居し、互いに協力し、扶助しなければならない」と定められています。
「同居義務」とは、原則として同じ家で暮らすという義務です。
相手の同意を得ず、かつ正当な理由(仕事や介護など)もないのに一方的に家を出て、別居を強行し続ける行為は、この義務に違反します。
夫婦は、日々の生活や家事、育児、そして精神的な支え合いにおいて協力し合う義務があります。
同じ家に住んでいても、一切の会話を拒否したり、家事や育児を完全に放棄して配偶者にすべての負担を押し付けたりする行為は、協力義務に違反しているとみなされる可能性があります。
扶助(ふじょ)とは、簡単に言えば「経済的な助け合い」です。夫婦には「生活保持義務」があり、自分の生活水準を落としてでも、相手に自分と同程度の生活を保障しなければなりません。
十分な収入があるにもかかわらず、専業主婦(主夫)の配偶者に生活費を一切渡さない、自分だけ贅沢をして配偶者を困窮させるといった行為は、重大な扶助義務違反となります。

実際の裁判例や実務において、悪意の遺棄と判断されやすいケースを紹介します。

数日間の家出では、悪意の遺棄とは認められません。裁判所は以下のようなポイントを重視します。
判断ポイント |
認められやすい基準の目安 |
|---|---|
別居期間 |
一般的に3〜5年程度。ただし、生活費が一切ないなど緊急性が高い場合は短くなることもあります。 |
連絡の頻度 |
完全に音信不通である、または「離婚するまで金は払わない」といった拒絶の意思が明確であること。 |
復縁の意思 |
相手に復縁する気が全くなく、一方的に関係を断絶している状況。 |
一方性 |
どちらが先に家を出たか。理由もなく先に家を出た側が「遺棄した側」となります。 |

例え配偶者が家を出たり生活費を入れなかったりしても、以下のような「正当な理由」がある場合は、悪意の遺棄とは認められない可能性が高いです。

悪意の遺棄によって精神的な苦痛を受けた場合、慰謝料を請求できます。
悪意の遺棄の慰謝料請求の相場は50万円〜300万円程度です。子どもの有無、不貞行為の有無など、状況によって変動します。
以下のような状況に当てはまる場合、慰謝料が高額になる可能性があります。
遺棄の期間 |
別居や生活費不払いの期間が長いほど高額になります。 |
|---|---|
悪質性 |
相手に十分な収入があるのに意図的に困窮させた、などの事情があるか |
未成年の子供の有無 |
子供を抱えて見捨てられた場合の精神的・経済的苦痛への評価 |
不貞行為や暴力 |
不倫相手と住むために家を出た場合は、不貞の慰謝料と合算され、300万円を超えるケースもあります。 |
経済的付随利益の喪失 |
勝手に健康保険から外されたり、社宅を追い出されたりして実害が出た場合も、考慮の対象となります。 |

悪意の遺棄をした側は「有責配偶者」、つまり破綻の原因を作った側となります。
有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。
認められるためには、「別居期間が非常に長い(10年前後など)」「未成年の子供がいない」といった厳しい条件をクリアする必要があります。
遺棄された側は「自身から離婚を切り出すか、あえて離婚せずに婚姻費用(生活費)をもらい続けるか」という選択権を持つことができます。

裁判や交渉で「悪意の遺棄をされた」と認めてもらうには、主観的な訴えだけでなく、目に見える証拠が必要です。
別居の事実証明 |
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|---|---|
経済的遺棄の証明 |
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拒絶の証拠 |
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録音・日記(家庭内別居の場合) |
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ここからは、ココナラ法律相談の「おしえて!法律Q&A」に寄せられた悪意の遺棄に関する実際のお悩みと、弁護士による回答の概要をご紹介します。
生活費の支払いの有無や、家を出てしまった経緯など、ご自身の状況に近いケースを参考にしてみてください。
なお、悪意の遺棄に該当するかどうかは、個別具体的な状況により判断が異なる可能性があります。
正確な見通しや慰謝料請求の可否については、弁護士にご相談ください。
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【質問】 先月末から、夫が不倫相手とマンションを借りて別居を始めました。生活費はもらっており、週に一度は短時間帰宅しますが、これは「悪意の遺棄」にあたりますか?正当な理由のない別居として、慰謝料を請求したいと考えています。 |
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【回答】 生活費の受け渡しがあっても、同居義務違反等に該当し「悪意の遺棄」と認められる可能性があります。慰謝料として100万円程度の請求が見込め、不倫の明確な証拠を提示できれば、さらなる増額も期待できるでしょう。 |
参考:「勝手に別居されているがこの場合悪意の遺棄となるのか」
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【質問】 夫と喧嘩をして家庭内別居になり、生活費ももらえないため貯金を切り崩して生活しています。夫は育児にも協力せず、無断で家を出ていってしまいました。これは「悪意の遺棄」に該当するのでしょうか。また、離婚後の面会交流についても知りたいです。 |
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【回答】 直ちに「悪意の遺棄」には当たらない可能性が高いものの、別居が長引けば離婚原因になる可能性があります。まずは婚姻費用の請求をご検討ください。なお、面会交流は子どもの権利のため原則応じる必要があります。 |
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【質問】 少額でも婚姻費用を払っていれば、「悪意の遺棄」は成立しなくなるのでしょうか。もし認定された場合の慰謝料相場も教えてほしいです。また、離婚を拒否して婚姻費用をもらい続ける選択についても、アドバイスをいただけますか。 |
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【回答】 少額の生活費を渡すだけでは悪意の遺棄を回避できるとは考えにくく、該当しなくても離婚事由になる可能性があります。慰謝料の相場は50〜200万円程度です。なお、離婚の合意に関わらず婚姻費用は受け取るようにしましょう。 |
参考:「法律相談 | 悪意の遺棄が認められた場合」

悪意の遺棄による離婚を検討している場合は、弁護士に相談することにより、以下のようなサポートが受けられます。
悪意の遺棄は、あなたの生活基盤を脅かす重大な権利侵害です。まずは弁護士に相談し、あなたが本来受け取るべき権利を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。
「離婚の手続きが終わるまでの、生活資金が十分にない」という場合は、まず婚姻費用の分担請求を行いましょう。
婚姻費用とは、 離婚が成立するまでの間、収入の多い側が少ない側に支払う義務がある生活費です。
婚姻費用は、原則として「請求(調停申し立てなど)をした時点」からしか認められません。
過去に遡って請求することは難しいため、1日でも早い行動が重要です。
配偶者が無視する場合でも、 裁判所の調停を利用すれば、最終的には審判によって強制的に金額が決まります。
決まった後も支払わない場合は、給与の差し押さえ(強制執行)も可能です。

配偶者が突如家を出て行ったり、生活費を渡さなかったりする悪意の遺棄は、精神的にも経済的にも非常に苦しい状況を強いるものです。
こうした事態に直面したとき、一人で悩みを抱え込む必要はありません。
弁護士に相談し、適切な法的手続きを踏むことが、ご自身の生活と未来を守るための第一歩となります。
悪意の遺棄という複雑な問題には、信頼できるパートナーを見つけることが重要です。
ココナラ法律相談は、地域や離婚の注力分野、「初回相談無料」などの条件で絞り込み、最適な弁護士を安心かつスムーズに探せます。
また、プロフィールやインタビュー記事で人柄・実績・方針を事前に確認できるため、初めてでも安心です。
対面に加え、オンライン面談や電話相談に対応する弁護士も多く、場所を選ばずアドバイスを受けられます。
悪意の遺棄は法的な救済の対象となり得る重大な権利侵害です。
一人で立ち向かうのではなく、ココナラ法律相談を活用して、あなたの状況に親身に寄り添ってくれる弁護士を見つけ、解決への道筋を立てていきましょう。
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