「派遣社員を受け入れているが、自社の運用が労働者派遣法に沿っているのか自信がない」
「2026年10月の改正に伴い、何を見直せばよいのかわからない」
派遣社員を受け入れている企業の人事担当者や経営者の中には、このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
労働者派遣法のルールを知らないままでいると、都道府県労働局から勧告を受けたり、労働契約申込みみなし制度によって派遣社員を直接雇用することになる可能性があります。
本記事では、労働者派遣法の基本と改正の流れ、2026年10月施行の改正ポイント、派遣の種類、派遣先企業が守るべきルールと義務、違反した場合のリスクを解説します。
派遣先に求められるルールと改正点を押さえておけば、派遣元との契約や現場の運用を事前に点検でき、派遣社員を安心して受け入れられます。
自社の受け入れ体制を見直し、法令に沿った派遣活用に向けて動きましょう。

労働者派遣法は、派遣元・派遣先・派遣労働者の三者の関係を定めた法律で、派遣社員を受け入れる企業にも多くの義務を課しています。
ここでは、法律の目的と三者の関係、混同しやすい請負・業務委託との違いを整理します。
労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」です。
派遣事業が適正に運営されるようにするとともに、派遣労働者の雇用の安定や福祉の向上を図ることを目的として、1985年に制定されました。
労働者派遣では、次の派遣元・派遣先・派遣労働者の間で関係が成り立ちます。
派遣元(派遣会社) |
派遣労働者と雇用契約を結び、賃金の支払いや社会保険の手続きを行う |
|---|---|
派遣先(受け入れ企業) |
派遣元と労働者派遣契約を結び、派遣労働者に業務の指示(指揮命令)を出す |
派遣労働者 |
派遣元に雇用され、派遣先の指示を受けて働く |
雇用主は派遣元ですが、日々の仕事の指示を出すのは派遣先です。
この雇用主と指示を出す会社が分かれている点が、通常の雇用と大きく異なります。
そのため、労働時間の管理や安全衛生など、派遣先が責任を負う場面も法律で定められています。
派遣と混同しやすいのが、請負・業務委託です。
両者を分ける最も大きなポイントは、働く人に指示を出す権限(指揮命令権)が誰にあるかです。
労働者派遣 |
請負・業務委託 |
|
|---|---|---|
指揮命令権の所在 |
派遣先企業 |
受託業者 |
雇用主 |
派遣元(派遣会社) |
受託業者 |
契約の目的 |
労働力の提供 |
成果物の完成・業務の遂行 |
契約書が請負・業務委託になっていても、発注した企業が現場の作業員に直接指示を出していれば、実態は労働者派遣と判断されます。
これがいわゆる偽装請負で、後述する労働契約申込みみなし制度の対象となる場合もあります。
業務委託で外部人材を受け入れている場合は、現場で自社の社員が作業手順や時間配分を指示していないかを確認しておきましょう。

2026年10月1日に、派遣労働者の待遇改善を目的とした省令・告示の改正が施行されました。
今回の改正は、法律そのものの改正ではなく、労働者派遣法施行規則(省令)と、同一労働同一賃金ガイドライン・派遣元指針・派遣先指針(告示)の改正です。
改正省令・告示は2026年4月28日に公布され、2026年10月1日に施行・適用されました(厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について」)。
改正の柱は次の3つです。
説明義務の改善 |
雇入れ時・派遣時の明示事項に、待遇差について説明を求めることができる旨を追加 |
|---|---|
|
同一労働同一賃金 ガイドラインの明確化 |
退職手当・家族手当・住宅手当などについて、不合理な待遇差の考え方を追加 |
公正な評価による待遇改善 |
派遣料金の配慮義務の留意点、評価への協力、配慮が必要な福利厚生施設の例の追加など |
派遣元は、派遣労働者を雇い入れるときと、派遣するときに、待遇の相違の内容や理由について説明を求めることができる旨を明示しなければならなくなりました(厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金 改正ポイントのご案内」)。
これまでも派遣労働者から求めがあれば説明する義務はありましたが、今回の改正で、説明を求められること自体を書面などで事前に知らせる仕組みになりました。
明示の義務を負うのは派遣元ですが、派遣先の正社員との待遇差について派遣労働者が説明を求めるケースが増えると考えられます。
派遣元が正確に説明できるよう、派遣先が提供する待遇情報(比較対象労働者の情報)が最新の内容になっているかを確認しておくことが大切です。
どのような待遇差が不合理とされるかを示した同一労働同一賃金ガイドラインに、裁判例などを踏まえた考え方が追加されました。
派遣先均等・均衡方式に関する主な追加内容は次のとおりです。
賞与・退職手当 |
労務の対価の後払いや功労報償といった目的が派遣労働者にも当てはまるのに、職務内容の違いに応じた支給をしない場合は不合理と認められる可能性がある |
|---|---|
無事故手当 |
業務の内容が同じ派遣労働者には、通常の労働者と同一の手当を支給する |
家族手当 |
契約更新を繰り返すなど、継続的な勤務が見込まれる派遣労働者には同一の手当を支給する |
住宅手当 |
転居を伴う配置変更に応じて支給する手当であれば、同じ配置変更がある派遣労働者には同一の手当を支給する |
福利厚生施設 |
料金や割引率などの利用条件に不合理な差を設けない |
|
病気休職中の 給与保障・夏季冬季休暇・褒賞 |
病気休職中の給与保障は継続勤務の見込み、勤続に対する褒賞は勤続期間に応じて同一とし、夏季冬季休暇も通常の労働者と同一に付与する |
あわせて、待遇差を解消するために正社員の労働条件を引き下げるのではなく、派遣労働者の労働条件を改善することが求められると示されています。
派遣労働者の待遇を決めるのは派遣元ですが、派遣先均等・均衡方式では派遣先の正社員の待遇が比較の基準になります。
自社の手当や休暇制度の情報が派遣元に正しく伝わっているかを点検しておきましょう。
一方、労使協定方式は、派遣元が労働者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者と、法定の要件を満たす労使協定を結び、待遇を決める方式です。
賃金は、同種の業務に同一の地域で従事する一般労働者の平均的な賃金と同等以上とし、職務の成果や能力・経験などの向上に応じて改善される仕組みを設ける必要があります(労働者派遣法第30条の4)。
賃金以外の待遇は、原則として派遣元の通常の労働者(派遣労働者を除く)との間で不合理な差が生じないように定めます。
今回のガイドライン改正では、労使協定方式についても、福利厚生施設の利用条件、病気休職中の給与保障、夏季冬季休暇、勤続に対する褒賞などの考え方が追加されました(厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」)。
ただし、派遣先が実施する業務に必要な教育訓練と、食堂・休憩室・更衣室は労使協定の対象外です。
労使協定方式でも、派遣先にはこれらの情報を派遣元に提供し、教育訓練の実施や施設の利用機会の確保などに対応する義務があります。
派遣先には、派遣元が派遣労働者の公正な待遇を確保できるよう、派遣料金について配慮する義務があります。
今回の派遣先指針の改正で、次のような対応は法の趣旨に沿ったものとはいえないことが示されました(厚生労働省「派遣労働者を受け入れる際に注意すべきポイント」)。
契約更新のたびに派遣料金を据え置いている企業は、派遣元から交渉の申し入れがあった場合の社内の対応手順を決めておくとよいでしょう。
交渉の経緯や判断の理由を記録しておくと、労働局から確認を受けた際にも説明しやすくなります。
派遣先の福利厚生施設は、種類によって派遣先の義務の強さが異なります。
今回の改正で、利用に関する便宜を図るよう配慮が求められる施設の例に駐車場が加わりました。
派遣労働者にも利用の機会を与える義務 |
食堂、休憩室、更衣室 |
|---|---|
利用に関する便宜を図るよう配慮する義務 |
物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設、駐車場など |
社員用の駐車場を派遣社員には一律で使わせていない場合は、運用を見直す必要がないか検討しましょう。
派遣元は、派遣労働者の職務の成果などを評価し、その向上が待遇の改善につながるように取り組むことが求められるようになりました。
これに対応して、派遣先は、派遣元の求めに応じて派遣労働者の業務の遂行状況などの情報を提供し、評価に協力することが求められています。
派遣元から評価のための情報提供を求められたときに、誰がどの情報を回答するのかを、派遣先責任者を中心に決めておくと対応しやすくなります。
今回の改正を踏まえ、派遣先企業は次の点を確認しておくとよいでしょう。
厚生労働省は派遣先向けの自主点検表も公表しているため、あわせて活用するとよいでしょう。

労働者派遣は、派遣元との雇用契約の期間によって有期雇用派遣と無期雇用派遣に分かれます。また、派遣先での直接雇用を予定した紹介予定派遣もあります。
種類によって期間制限の適用や事前面接の可否が異なるため、受け入れる派遣社員がどの種類にあたるかを確認しておきましょう。
有期雇用派遣 |
無期雇用派遣 |
紹介予定派遣 |
|
派遣元との雇用 |
期間の定めあり |
期間の定めなし |
派遣期間(最長6か月)の後に派遣先での直接雇用を予定 |
期間制限(3年ルール) |
原則として適用される |
適用されない |
原則として適用される(紹介予定派遣自体は最長6か月) |
事前面接・履歴書の提出 |
原則として行わない |
原則として行わない |
例外として認められる |
派遣元と期間の定めのある雇用契約を結んで働く形態です。
派遣先が決まってから雇用契約を結ぶ登録型派遣は、その一例です。
原則として期間制限(3年ルール)の対象となるため、同じ組織で長く受け入れる場合は抵触日の管理が欠かせません。
派遣元と期間の定めのない雇用契約を結んでいる派遣労働者を受け入れる形態です。
派遣先での仕事が終わっても、派遣元との雇用関係は続きます。
無期雇用派遣の労働者には期間制限が適用されないため、同じ組織で3年を超えて受け入れることができます。
最長6か月の派遣期間のあとに、派遣先が派遣労働者を直接雇用することを予定した形態です。
通常の派遣では行わないこととされている事前面接や履歴書の提出が、紹介予定派遣では例外として認められています。
派遣期間中に適性を確認できるため、採用のミスマッチを防ぐ手段になります。
派遣期間の終了後に直接雇用しない場合は、派遣元の求めに応じてその理由を明示する必要があります。

労働者派遣法には、派遣社員を受け入れる段階から契約を終了する段階まで、派遣先が守るべきルールが定められています。
ここでは、特に違反が起きやすい受け入れ時の確認事項や禁止行為を解説します。
労働者派遣事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要で、派遣先は許可を受けていない事業者から派遣を受け入れてはなりません(労働者派遣法第24条の2)。
無許可の事業者から受け入れると、労働局から指導や勧告を受け、勧告に従わなければ企業名が公表される可能性があります。
さらに、後述する労働契約申込みみなし制度の対象にもなります。
新しい派遣会社と契約する際は、許可番号を確認し、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」などで許可の有無を調べておきましょう。
派遣先は、派遣契約を結ぶ際に、受け入れる派遣労働者を選ぶことを目的とした行為(特定目的行為)をしないよう努めなければなりません(労働者派遣法第26条第6項)。
条文上は努力義務ですが、派遣先が講ずべき措置に関する指針(派遣先指針)では、次のような行為を行わないこととされています。
派遣労働者を選ぶのは雇用主である派遣元であり、派遣先が自社の採用選考のように選別することを防ぐためのルールです。
なお、紹介予定派遣の場合は例外として認められます。また、派遣労働者が自ら希望して行う職場見学は、派遣先による選考を目的としない限り可能です。
有期雇用派遣の労働者を受け入れる期間には、原則として次の2つの制限があります。60歳以上の労働者や、産休・育休・介護休業の代替派遣などは対象外です。
事業所単位の期間制限 |
同じ事業所で派遣を受け入れられるのは原則3年まで。 抵触日の1か月前までに過半数労働組合などから意見を聴く手続きを取れば、最長3年ずつ延長できる (労働者派遣法第40条の2) |
|---|---|
個人単位の期間制限 |
同じ派遣労働者を、同じ組織単位(課など)で受け入れられるのは3年まで (労働者派遣法第40条の3) |
期間制限に抵触する最初の日を抵触日といいます。
派遣先は、派遣契約を結ぶ前に、事業所単位の抵触日を派遣元に通知しなければならず、通知がなければ派遣元は契約を結ぶことができません(労働者派遣法第26条第4項・第5項)。
抵触日を過ぎて受け入れると、労働契約申込みみなし制度の対象になるため、事業所ごとに抵触日を一覧で管理しておくことが大切です。
派遣先は、自社を離職してから1年が経っていない元従業員を、派遣労働者として受け入れてはなりません(労働者派遣法第40条の9)。
正社員などを派遣労働者に切り替えて、労働条件を引き下げることを防ぐためのルールです。
60歳以上の定年退職者は例外とされています。
派遣元から通知された派遣労働者が離職後1年以内の元従業員だとわかった場合は、速やかに派遣元に伝える必要があります。
派遣元との雇用期間が30日以内の日雇労働者を派遣することは、原則として禁止されています(労働者派遣法第35条の4)。
ただし、次のような場合は例外として認められます。
短期の繁忙期に派遣を利用する際は、派遣元との雇用期間がどうなっているかを確認しておきましょう。
次の業務には、労働者派遣を利用できません(労働者派遣法第4条など)。
建設会社でも、現場事務所の事務や施工管理のように、直接作業に従事しない業務は派遣の対象になります。
派遣社員に任せる業務を広げるときは、禁止業務に当たらないかを事前に確認しましょう。
偽装請負とは、契約上は請負・業務委託でありながら、実態は発注者が、受託業者が雇用する労働者に直接指示を出している状態をいいます。
二重派遣とは、受け入れた派遣労働者を、さらに別の会社に派遣して働かせることです。
二重派遣は、職業安定法第44条が禁止する労働者供給事業に当たります。
グループ会社や取引先の現場に派遣社員を常駐させる場合は、誰が指示を出しているのかを確認しておきましょう。
派遣先は、派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、正当な労働組合活動などを理由として、派遣契約を解除してはなりません(労働者派遣法第27条)。
派遣社員の交代を求めたり契約を打ち切ったりする場合は、その理由が業務上のものかを確認し、記録に残しておくとよいでしょう。

派遣先には、禁止行為を避けるだけでなく、派遣労働者が適正に働けるよう積極的に行うべき義務もあります。
ここでは、待遇の確保への協力、安全衛生、管理体制、契約解除時の措置について解説します。
派遣先は、派遣契約を結ぶ前に、待遇の決定方式に応じて、比較対象労働者の待遇や教育訓練・福利厚生施設などの情報を派遣元に提供しなければなりません(労働者派遣法第26条第7項)。
情報を提供しないまま派遣契約を結ぶことはできず、提供した待遇情報に変更があったときも、そのつど情報を提供する必要があります。
派遣元がどちらの方式で待遇を決めているかによって、提供する情報は異なります。
派遣先均等・均衡方式 |
比較対象労働者の職務内容・配置の変更範囲と雇用形態、選定理由、待遇の内容・性質・目的、待遇の決定で考慮した事項 |
|---|---|
労使協定方式 |
業務に必要な教育訓練の内容、食堂・休憩室・更衣室の内容 |
派遣先は、自社の労働者に業務に必要な能力を身につけさせる教育訓練を行っている場合、派遣元の求めに応じて、同じ業務に従事する派遣労働者にも実施するなどの義務があります(労働者派遣法第40条第2項)。
また、食堂・休憩室・更衣室は派遣労働者にも利用の機会を与えなければなりません(同条第3項)。
それ以外の福利厚生施設については、前述のとおり利用に関する便宜を図るよう配慮する必要があります。
派遣労働者の雇用主は派遣元ですが、実際に働く場所は派遣先であるため、労働基準法や労働安全衛生法の一部は派遣先が責任を負います。
労働基準法 |
労働時間、休憩、休日、時間外・休日労働の管理 |
|---|---|
労働安全衛生法 |
危険防止の措置、危険有害業務に就かせる際の安全衛生教育、有害業務の健康診断など |
派遣社員に時間外労働をさせる場合は、派遣元の36協定の範囲内で行う必要があります。
派遣社員の労働時間を自社の社員と同じように記録し、管理しておきましょう。
派遣先は、事業所ごとに派遣先責任者を選任しなければなりません(労働者派遣法第41条)。ただし、その事業所で雇用する労働者と受け入れる派遣労働者の合計が5人以下の場合は、選任不要です。
派遣先責任者は、派遣労働者を指揮命令する社員への法令や契約内容の周知、派遣労働者からの苦情への対応、派遣元との連絡調整などを担います。
選任しなかった場合は30万円以下の罰金の対象になります。
派遣先は、派遣労働者ごとに派遣先管理台帳を作成しなければなりません(労働者派遣法第42条)。ただし、上記の合計が5人以下の事業所では、台帳の作成・記載は不要です。
台帳には、派遣労働者の氏名、就業した日、始業・終業の時刻と休憩時間、従事した業務の種類などを記載します。
台帳は派遣が終了した日から3年間保存し、記載内容の一部は1か月に1回以上、派遣元に通知する必要があります。
台帳の作成や保存、通知を怠った場合も30万円以下の罰金の対象になります。
派遣先の都合で派遣契約を期間の途中で解除する場合、派遣先は、派遣労働者の新たな就業機会の確保や、休業手当などの支払いに必要な費用の負担といった措置を講じなければなりません(労働者派遣法第29条の2)。
関連会社での就業をあっせんするなどして就業機会を確保できない場合は、派遣元が負担する休業手当などに相当する額以上の損害を賠償する必要があります。
派遣契約を結ぶ段階で、中途解除の際の措置を契約書に定めておきましょう。

派遣先が労働者派遣法に違反すると、行政による勧告・公表、直接雇用の申込みとみなされる制度、刑事罰といったリスクがあります。
ここでは、それぞれの内容を順に解説します。
派遣先に違反があると、都道府県労働局から指導や助言を受け、それでも改善されない場合は勧告を受けることがあります。
勧告に従わない場合は、企業名が公表される可能性があります(労働者派遣法第49条の2)。
勧告・公表の対象となる主な違反は次のとおりです。
企業名が公表されると、取引先や求職者からの信用が低下し、取引や採用に影響が出る可能性があります。
派遣先が次の違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に直接雇用の申込みをしたものとみなされます(労働者派遣法第40条の6)。
派遣労働者がこの申込みを承諾すると、派遣元との労働条件と同じ内容で派遣先との労働契約が成立します。
この申込みは、違法な状態が終わってから1年間は撤回できません。
ただし、派遣先が違法であることを知らず、知らなかったことに過失もない場合は、この制度は適用されません。
許可の確認や抵触日の管理を記録として残しておくことが、自社を守ることにつながります。
労働者派遣法には、違反の内容に応じて次のような刑事罰が定められています。
主な違反 |
刑罰 |
|---|---|
公衆衛生・公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で派遣した(第58条) |
1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金 |
無許可で派遣事業を行った、禁止業務について派遣事業を行った(第59条) |
1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
違反を申告した派遣労働者を不利益に取り扱った(第60条) |
6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
派遣先責任者の未選任、派遣先管理台帳の不作成・不保存・未通知など(第61条) |
30万円以下の罰金 |
違反行為をした担当者だけでなく、法人にも罰金刑が科される両罰規定があります(第62条)。
派遣元側の違反に関する罰則も含まれますが、派遣先責任者や管理台帳に関する違反は派遣先自身が罰則の対象になる点に注意が必要です。
派遣労働者が、派遣先の違反を労働局などに申告したことを理由として、解雇やその他の不利益な取扱いをすることは禁止されています(労働者派遣法第49条の3)。
違反した場合は、前述のとおり6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。
違反を指摘された場合は、申告者を探すのではなく、事実関係を調査して是正することが求められます。

ここからは、ココナラ法律相談の「おしえて!法律Q&A」に寄せられた、労働者派遣法に関する実際のお悩みと、弁護士による回答の概要をご紹介します。
労働者派遣法については派遣社員側の相談が多く、契約外業務の指示と直接雇用への切替の打診と派遣先による契約の中途解除のような相談が寄せられています。
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【質問】 派遣社員として、コールセンターで電話の受付業務に従事しています。ある日、派遣先から受電を止めて一斉に電話をかける業務(発信業務)を行うよう指示されました。契約書の業務内容には受付と付随するデータ入力、その他の庶務業務が記載されているのみで、発信業務の記載はありません。派遣会社と派遣先は業務の一環であり契約違反ではないと説明していますが、契約外の業務に当たるのではないでしょうか。 |
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【回答】 判断が難しいケースと考えられます。契約書には発信業務の明確な記載がない一方で、受付業務に限るとの記載もありません。一般に発信業務として想定されるのは営業的な業務ですが、今回の窓口の性質からすると、そのような趣旨は含まれないと考えられます。そのため、契約書に記載された庶務業務に含まれるという考え方もできるでしょう。 |
参考:派遣社員です。先日、コールセンターでの受付業務が突然発信業務に変わりました。契約外業務ではないのか?
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【質問】 派遣社員として約半年間勤務した派遣先を、契約期間満了で退職しました。3回目の更新の打診の際、派遣会社の担当者から、翌月から派遣先での直接雇用に切り替わると突然告げられました。契約書には直接雇用についての記載がなく、別の職種を目指して勉強中であることや、直接雇用後の条件が派遣のときより悪かったことから、お断りしました。直接雇用を断って契約満了で退職した場合、離職理由は自己都合退職になるのでしょうか。また、派遣先と派遣会社の都合で突然直接雇用への切替を求めることは、法的に許されるのでしょうか。 |
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【回答】 派遣としての更新がされなかったことになるため、契約期間満了による退職として会社都合になると考えられます。ただし、契約満了だけで雇用保険上の離職理由が会社都合に決まるわけではなく、更新条件や本人の更新希望などを踏まえ、ハローワークが判断します。直接雇用への切替は、雇用形態が変わるため、新たな雇用契約と見るべきでしょう。新たな契約の申入れである以上、ご本人の承諾が必要で、強制することはできず、断ったことを理由に不利益に扱うこともできないと考えられます。ただし、直接雇用を断った後の雇止めが常に無効になるわけではなく、更新の実態や更新への合理的な期待などを踏まえて個別に判断されます。最終的な扱いについては、ハローワークにも確認されるとよいでしょう。 |
参考:派遣社員が直接雇用の切替を断った場合、契約満了で退職しても離職理由は自己都合退職になるのでしょうか?
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【質問】 派遣社員として勤務しています。異動先の部署の人間関係が原因で体調を崩し、医師から1か月の自宅療養が必要と診断されました。派遣会社が加入している健康保険組合の傷病手当金を利用したいと担当者に申し出たところ、派遣先が契約期間の途中で契約を解除したいと言っていると連絡を受けました。契約を解除されると有給休暇も傷病手当金も使えなくなり、収入がなくなってしまうのではないかと不安です。解除には同意していませんが、派遣会社にどのように対応すればよいでしょうか。 |
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【回答】 傷病手当金の申請の条件を満たしているのであれば、まずは申請を進めるのがよいでしょう。派遣会社が手続きに協力しない場合は、労働基準監督署や健康保険組合に相談されるとよいでしょう。雇用主は派遣会社であるため、有給休暇や傷病手当金の手続き、次の就業先の確保については、派遣会社が責任を負う立場にあると考えられます。 |
参考:派遣社員の傷病手当申請で契約解除を通告された場合の対応策

ここでは、派遣先企業が弁護士に相談することで得られる主なメリットを紹介します。
弁護士に相談すると、派遣元と結ぶ基本契約・個別契約の内容や、現場での指揮命令の実態が法令に沿っているかを確認してもらえます。
業務委託で外部人材を受け入れている場合に、偽装請負と判断されるおそれがないかを事前に点検できる点も大きな利点です。
問題が見つかった場合も、契約の見直しや運用の変更など、具体的な改善策について助言を受けられます。
2026年10月の改正のように、同一労働同一賃金ガイドラインや派遣先指針が改正されると、派遣先が見直すべき点は待遇情報の提供、派遣料金の交渉、福利厚生施設の運用など多岐にわたります。
弁護士に相談すれば、自社の状況に照らしてどの点を優先して見直すべきかを整理でき、社内規程や対応手順の整備も進めやすくなります。
労働局による調査や指導を受けた場合、事実関係の整理や是正内容の検討を誤ると、勧告や公表につながるおそれがあります。
弁護士に相談すれば、調査への対応方針や是正計画について助言を受けながら進めることができます。
労働契約申込みみなし制度の適用が問題になった場合も、制度が適用されるかどうかの見通しを踏まえて対応を検討できます。
派遣社員の交代要請や契約の中途解除、ハラスメントの申告などをきっかけに、派遣社員や派遣元とのトラブルに発展することがあります。
顧問契約などで日頃から相談できる弁護士がいれば、問題が大きくなる前に対応方針を確認でき、担当者の負担も軽減できます。

労働者派遣法は、派遣元だけでなく派遣先にも多くの義務を課しており、違反すると勧告・公表や直接雇用の成立といった経営への影響が生じる可能性があります。
改正への対応や現場の運用に不安がある場合は、労働問題や企業法務に詳しい弁護士の助言を受けることで、リスクを事前に抑えやすくなります。
ココナラ法律相談では、労働問題や企業法務を扱う弁護士を、地域や分野から検索して相談できます。
自社に合った弁護士を見つけ、法令に沿った派遣の活用に向けて体制を整えましょう。