きしもと ゆきひろ
岸本 幸大弁護士
ロン法律事務所
天満橋駅
大阪府大阪市中央区谷町1-4-2 大阪オルガンビル801号室
インタビュー | 岸本 幸大弁護士 ロン法律事務所
「0.1%」の真実を追求する。無罪判決勝ち取った刑事に強い弁護士、苦い過去と家族への思い
理系から転身し、若くして独立したロン法律事務所の岸本幸大(ゆきひろ)弁護士。
とくに刑事事件に強く、二審での形成逆転劇や、「0.1%」と言われる無罪判決を獲得した実績もあります。
奥様と家族経営のアットホームな事務所にはキッズスペースも。
事務所名の「ロン」に込めた3つの意味、過去の苦い記憶、そして依頼者への熱い思いをお聞きしました。
とくに刑事事件に強く、二審での形成逆転劇や、「0.1%」と言われる無罪判決を獲得した実績もあります。
奥様と家族経営のアットホームな事務所にはキッズスペースも。
事務所名の「ロン」に込めた3つの意味、過去の苦い記憶、そして依頼者への熱い思いをお聞きしました。
01 弁護士を目指した理由
身近な人が加害者、被害者に。重要性を痛感し統計から法律の世界へ
ーー理系出身のようですが、なぜ畑違いの弁護士を目指すようになったのですか?
大学は理系の学部で、統計の勉強をしていました。
弁護士を強く意識したきっかけのひとつは、身近な人が犯罪被害者、加害者になってしまったことです。
法律の存在を強烈に意識させられるとともに、その重要性を痛感したのです。
それから弁護士を目指すようになったのですが、振り返ると幼少期の頃から、祖母には弁護士になるよう勧められていたんです。
昔から会話や議論が大好き、間違っていることにはすぐ反論したがる性格でした。
今考えると、天職だったのかもしれませんね。
ーー突然の方針転換に、周囲は驚いたのではないですか?
大学の友人は銀行やIT企業などに就職し、ほかに弁護士を目指す人はいませんでした。
「弁護士になる」と公言したときは、反対されることもありましたね。
私がロースクールの受験勉強に励むなか、友人たちは続々と就職先から内定をもらっていました。
焦りや将来への不安がまったくなかったと言えば嘘になりますが、決意はブレることはありませんでしたね。
ーーそれほど固い決意だったのですね。
チャレンジ精神が旺盛な性格は、母親から受け継いだものでもあります。
母親は50歳手前で大学院に通うような人で、私も「丸くなるな、尖れ」とよく言われていました。
自分の意思を貫く生き方が、無意識に染みついているんでしょうね。
02 弁護士としてのキャリアと得意分野
刑事事件で大幅減刑、無罪判決も。0.1%の真実を追求する
ーー弁護士のキャリアをスタートさせてからは、どんな事件を担当してきたのですか?
最初の法律事務所に半年ほど勤めた後、同期と4人で事務所を立ち上げ、共同経営を始めました。
そして、今度は私ひとりでロン法律事務所を開業し、今に至ります。
現在は刑事事件を中心に、離婚・男女問題や借金、労働問題、さらに投資詐欺などの消費者問題も含め、いわゆる「町弁」として幅広い事件を扱っています。
なかでも最も得意としているのは、やはり刑事事件ですね。
とくに、弁護士になって最初に受け持った事件が印象に残っています。
ーーどんな事件だったのでしょう?
窃盗罪で逮捕・起訴された中国人の方の弁護で、一審で下された量刑を二審で大きく減刑させられた事件です。
ご依頼者は一審の量刑に納得できず、弁護士を変えて「量刑不当で控訴したい」と私のもとにご相談にいらっしゃいました。
控訴審で結果を覆すのは簡単なことではありません。
それでもなんとか突破口を見出し、大幅減刑を実現させることができました。
ーーどうやって減刑への突破口を見出したのですか?
まずはご依頼者の話をじっくりお聞きしたうえで、一審の記録に矛盾点がないか、裁判官が見落としているところはないか、資料を無心になって読み込みました。
ご依頼者によると、ご自身は知り合いに唆されて犯行現場に呼ばれ、「そこに立っていて」と事情を知らされずに見張り役をさせられていたようなのです。
ですが、そうした犯行の具体的な流れや背景を、一審では裁判官がかなり見落としている印象を受けました。
一審を担当した弁護士は、おそらくコミュニケーション不足でご依頼者の話をしっかり汲み取っていなかったのでしょう。
ーー控訴審では、そこを強く主張したことで減刑になったわけですね。
犯行に加わってしまった経緯や犯行時の行動、主犯格との関係などを細かく描写し、裁判官に訴えることで結果を大きく変えることができました。
これは大きな自信になり、その後、暴行事件の無罪判決を勝ち取ることにもつながっていきます。
この事件は現在、検察側の控訴によって進行中の案件です。
詳細は控えますが、検察官が有力な証拠として出してきた証拠の内容の矛盾点を突いたところ、一審で無罪判決が出たのです。
日本の刑事裁判における無罪判決の確率は極端に低く、0.1%と言われています。
統計学の世界では、「ほぼ存在しない」に等しい数値です。
でも、事件は「%の問題」ではないんですよね。
たとえわずかな可能性しかなくても、ご依頼者の思いをしっかり汲み取り、徹底的に調査して突破口を見出すことで、真相究明に近づけるのです。
03 弁護士としての心構え
「最初の相談窓口」に。挫折乗り越え、依頼者と通じ合う
ーー逆境でもあきらめず、突破口を見出す。まさに依頼者に伝えたいメッセージでもありますね。
実は、私自身も過去に思い悩み、そこからなんとか這い上がった経験があるんです。
それは、高校受験の失敗です。
小さな悩みに見えると思いますが、当時の私にとっては大きな挫折でした。
志望校とは別の高校に進学したものの、勉強に身が入らず成績は下位。
不登校気味になり、自宅に引きこもるような生活をしていました。
「なんとか変わらないと」と大学受験を決意し、家族にも支えられ今があります。
ーー同じように悩んでいる人たちの気持ちが、よくわかるのではないですか?
ご本人にしかわからない悩みや葛藤があるはずで、「すべて理解できる」とは言いづらいですが、できる限り心を通じ合わせるように心がけていますね。
悩みを家族や友人などに相談できずに孤立し、誰を頼っていいかわからず苦しんでいる方々がたくさんいらっしゃるはずです。
私は、そんな方々にとっての「最初の相談窓口」でありたいんです。
弁護士は敷居が高いと思われがちです。
ただ、当たり前ですが私もみなさんとなんら変わらない、同じ人間です。
最初の一歩を踏み出すのは勇気がいるかもしれませんが、話すだけでも気持ちがスッキリするはずですし、その場で具体的な解決策もお示しできます。
とにかく、もっと弁護士の存在を身近に感じていただけるようになりたいですね。
ーーぜひ、岸本先生に「身近な弁護士像」を切り拓いていただきたいです。
そういう意味でも、弁護士のスキルを生かして新しいことにチャレンジしていきたい思いもあるんです。
例えば、若者の起業塾です。
私は大学とロースクール時代、10年近く塾講師のアルバイトをしていました。
そこで常々感じていたのは、もっと多様な生き方、価値観が尊重されるべきではないか、という思いです。
日本には、型にはまった人生設計が根強く残っているように見えますが、もっと一人ひとりが個性を発揮できるようになるといいですよね。
そのひとつとして、起業が若者にとって身近な選択肢になればと思っています。
私たち弁護士は、それを法務の観点からサポートできます。
そうした活動を通じて、弁護士の役割や存在をもっと多くの方々に知っていただけるようにしたいですね。
04 今後の展望
夫婦で二人三脚、キッズスペースも。アットホームな家族経営
ーーとても仕事熱心な印象ですが、プライベートの姿も気になります。
今は、生後6ヶ月(2021年6月現在)の息子の子育てに夢中ですね。
妻は事務を担当していますので、四六時中一緒に過ごしています。
事務所には、息子も使えるようにキッズスペースを用意しているんです。
小さなお子さんをお持ちの親御さんから好評なんですよ。
ーー事務所名の「ロン」もユニークですね。
「ロン」には、3つの意味があります。
まずは、「論理」のロンです。
理論に裏打ちされた説得の技術を大事にしたいという思いからです。
それと、「ロン」はフランス語で「円」、中国語で「龍」を意味します。
円満解決や勝利の「◯」(丸)、そして力強く空へ駆け上がっていく昇龍のように、ご依頼者の人生を応援したい思いを込めました。
そんな思いを胸に、今後も一つひとつ目の前の事件に全力で取り組み、常にご依頼者の期待値を超えるような仕事を積み重ねていきたいですね。
そして、困ったことがあったら、一番最初に選んでいただけるような代替のきかない弁護士になるのが、最大の目標です。