過去の判決の存否自体が、裁判で争われることは有り得る?
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日本の裁判所は、過去の民事訴訟の判決等は、通常は記録・管理はしていないと聞きました。 それでは、次のような事例の場合は、どうなるのでしょうか? 甲が乙から不法行為を受けて損害を被った、そのため、甲は乙を提訴し、裁判所から「乙は甲に損害賠償を支払え。」との判決(判決A)を勝ち取り、確定した。 しかし、乙は一向に甲への損害賠償支払いを履行しようとしないため、甲は裁判所に対して、先の判決の強制執行を求める申し立てを行なった。 ところが、それに対して乙は、「私は甲から提訴されて敗訴し、裁判所から損害賠償支払いを命じられたという事実など存在しない。」と、敗訴事実(判決Aの存在)そのものを否定してしまった。 そこで甲は、判決Aの存在を裏付ける資料を示そうとするも、全て紛失してしまっており、手元に無かった。 このような事例の場合、甲は、当時の関係者などなら証言を集めるなどして、判決Aが存在したという事実を、自ら立証しないといけないのですか? つまり、過去の判決の存否自体が、裁判にて争われる事になってしまうのでしょうか? 疑問に思ったので、よろしくお願いします。
わっか さん ()
弁護士からの回答タイムライン
- 設例が判決確定後を前提としているので、それを前提に回答します。 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施するものとされています(民事執行法第25条)。そして、確定判決は債務名義の一つとされています(民事執行法第22条)。 裁判所から受け取っていた判決正本を紛失してしまった場合、判決正本の交付申請が可能です。交付申請先は、裁判が確定した場合、事件記録は第一審裁判所で保管しているようなので、通常は、判決をした第一審裁判所かと思います。 民事訴訟事件については、判決原本の保存期間は事件の完結から50年とされています(事件記録等保存規程)。 【参考】民事執行法 (強制執行の実施) 第二十五条 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。 【参考】事件記録等保存規程(裁判所サイトより) https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/tsuutatsu/kitei04/02jikenkirokutouhozonkitei.pdf
- わっかさんお二方、ありがとうございました。
この投稿は、2024年2月17日時点の情報です。
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