他人の家に不法侵入して占有し続け時効取得が完成したら、刑法上の住居侵入罪は初侵入時に遡って消滅する?

民法の規定で、時効取得という制度がありますね。

例えば、私が、空き家となっている他人の家を、所有者に無許可で違法に侵入して、20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と占有し続けたら、私はその家を時効取得できてしまうわけですね。

しかし、上記の例で、私が他人の家に勝手に違法に侵入する行為は、刑法上の住居侵入罪に該当してしまいます。

ですが、占有しはじめてから20年間経過したら、私はその家を占有開始時点に遡って時効取得できるので、私が犯していた住居侵入罪という犯罪は、最初から無かったことにされるのですか?

それとも、民事上の時効取得の完成とは関係なく、刑法上の住居侵入罪という犯罪は、占有開始時点から時効完成時点まで継続して犯され続けていたという事実は残ったままになり、その家について民事上の時効取得は完成しても、刑法上の住居侵入罪の罪では有罪となり得るのですか?

疑問に思ったのでよろしくお願いします。

時効取得と犯罪の成否はまったく関係がありません。他人の住居に侵入した時点で住居侵入罪が成立します。時効取得したからといって、住居侵入罪が遡及的に消滅することはありません。なお、住居侵入罪の法定刑は「3年以上の懲役又は10万円以下の罰金」ですので、3年の公訴時効にかかります。取得時効が成立するころには、とっくに公訴時効が経過しているでしょう。

ご回答ありがとうございます。

なるほど、時効取得と犯罪の成否は全く関係が無いのですね。
時効取得すると占有開始時点に遡ってその所有権を取得するというのは、あくまでも私法上の関係性においてのみの話なのでって、刑事事件には全く関係の無い法理論なのですね。

<なお、住居侵入罪の法定刑は「3年以上の懲役又は10万円以下の罰金」ですので、3年の公訴時効にかかります。取得時効が成立するころには、とっくに公訴時効が経過しているでしょう。>

まぁそうですけど、ただ、20年間の占有期間中、毎日その家に出入りを繰り返していたとすれば、その一回一回の出入りの度に、新たに住居侵入罪が成立して、その度ごとに公訴時効がスタートするというわけではないのですか?

取得時効の要件の一つに自主占有がありますよね。自分の物として占有するわけです。そうしますと、自分の家に入るわけですから、住居侵入罪の故意がないことになります。

そうなのですか?

私はこれまで、故意に他人の空き家を占有する場合でも、その他人の空き家を勝手に自分の物だということにして占有していれば〝所有の意思〟をもって占有したことになり、時効取得が成立するものだと思っていたのですが、違うのでしょうか?

例えば、私が、本当はその空き家が他人の物だと知っているにもかかわらず、勝手にその空き家を私の物だということにして、家の壁などに「この家は〇〇(私の名前)の物である」などと記した看板を掲げるなどして20年間占有を続ければ、〝所有の意思〟をもって占有したことになり、その家は私が時効取得できるものだと思っていたのですが、違うのですか?