個人事業主・自営業|個人再生・自己破産の違い、デメリットや費用を教えて下さい(編集部投稿)

コロナショックにより店舗経営をされる自営業者の方や興行活動や運送業などの個人事業主の方々を中心に経済的に苦しい状況が続いています。
今後の見通しが立たない状況に損切りをし閉店・廃業を検討する方も増加しています。
閉店・廃業をせずとも、今まで融資を受けて経営してきたが借入金を返済する見通しが立たなくなったケースも少なくありません。

このとき初めて債務整理、再生、破産といった方法を検索される方も多いですが、
溢れた情報から個々の事情に応じた最適な方法を見つけるのは簡単ではないため、専門家である弁護士に直接相談される方が増えてくると思います。

そこで一般論として、検討するにあたり知っておきたいことを教えていただきたいです。
特に、分割払いでも返済できる見通しが立たない場合に選択されることが多い、個人再生と自己破産についてお伺いしたいです。

① 個人再生と自己破産のそれぞれのメリット(期待できること)を教えて下さい
 ※下記のような期待・意向を持つ方が多いようです。
 ・返済督促を止めたい
 ・返済額を大幅に減額したい
 ・返済額を0にしたい

② 個人再生と自己破産のそれぞれのデメリットで知っておくべきことはありますか?
 ※下記のような不安・疑問を抱える方が多いようです。
 ・家族に迷惑がかかる
 ・事業や店を継続できなくなる
 ・公的機関からの借入が二度とできなくなる
 ・店舗物件を借りられなくなる
 ・持ち家やマイカーを手放す必要がある
 ・家族名義の財産も処分する必要がある
 ・就職する際にバレる
 など

③ 弁護士に相談や依頼する場合、どの程度の費用相場を想定しておけばよろしいでしょうか?依頼費用も払えないときどうすればよいでしょうか?

④ 弁護士等に依頼せず、自分で解決することもできますか?

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本投稿は、
・ココナラ法律相談編集部が質問文を投稿し、弁護士から一般的な回答を得ています
・コロナショック(事業者向け)に関する法律Q&Aのまとめに掲載されます

個人再生は 債務額が5000万円以下が条件です。最低弁済額は 総財産の清算価値か 債務額の5分の1(3000万円以上の場合には10分の1)のいずれか大きい金額を 3~5年で弁済することができれば ほぼ認められます。
自己破産は 免責を受けることができれば負債はゼロとなります。ただ免責を受けるためには 借り方(騙して借りた)使い途(遊興費・浪費等)手続き違反(偏頗弁済、財産隠匿)などがないかどうかで判断されます。

① 個人再生と自己破産のそれぞれのメリット(期待できること)を教えて下さい
 弁護士に依頼されれば弁護士から債権者に受任通知を送付します。そうすれば債務者本人への支払い督促は止みます。
 ・返済額を0にしたいのであれば自己破産・返済額を大幅に減額したいのであれば個人再生となります。

② 個人再生と自己破産のそれぞれのデメリットで知っておくべきことはありますか?
 ・自己破産の場合には 事業や店を継続できなくなりますが 個人再生では事業継続ができます。
 ・自己破産では財産を換価処分して債権者に配当することになりますので持ち家やマイカーを手放す必要がありますが 個人再生の場合には これらを利用し続けることが可能です。
 ・家族に迷惑がかかったり・家族名義の財産も処分たりする必要は 家族が保証人になっていなければいずれの場合でもありません。就職する際にバレることはまずありません。・
 ・公的機関からの借入は 7年程度は新規借り入れは難しいでしょう。

③ 弁護士に相談や依頼する場合、どの程度の費用相場を想定しておけばよろしいでしょうか?依頼費用も払えないときどうすればよいでしょうか?
・・・個別契約で決まりますが 個人破産・自己破産いずれも 30~50万円程度でしょう。
弁護士費用が捻出できずにお困りの場合には法テラスを利用すれば 弁護士費用立て替え制度が利用できます。

④ 弁護士等に依頼せず、自分で解決することもできますか?
・・・申立手続き資料をそろえるのも大変ですし ご自身でなさった場合結局裁判所で管財人などの費用として弁護士費用とほぼ同額の費用の積み立てを求められることが多いですので 弁護士に依頼されるのが良いです。なにより 債権者からの督促を止めることができる点で 弁護士に依頼されるのが精神的にもお勧めします。

【①の回答】
いずれの手続きでも,債権者(個人を除く)からの督促を法的に止めることが可能です。
<個人再生のメリット>
・借金を5分の1まで減額できる可能性がある。
・住宅や財産を保持できる(ただし,条件あり)。
・借金の理由は問われない。
・自己破産よりも心理的抵抗が小さい(個人差あり)。
<自己破産のメリット>
・税金等の滞納分を除き,借金を返済する必要がなくなる。

【②の回答】
・個人再生・破産ともに,信用情報に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されますので,5年~10年ほどは新たに借金をすることはできません。また,住宅や店舗を借りる際,保証会社の審査も通らなくなるため,保証人を立てて契約する必要がある場合があります。
・ご家族名義の財産を処分する必要はありません。
・個人再生・破産ともに,返済が困難な状況に陥っている以上,事業継続は難しい場合が多いです。もっとも,手続き終了後,新たに事業を行うことはできます。
・個人再生・破産ともに,裁判所で手続きを進める際に官報に掲載されます。そのため,第三者に知られる可能性はゼロではありませんが,官報をチェックしている人はほとんどいないと思われるため,知られる可能性は低いと思います。なお,戸籍などに載るのではないかと心配される方がおられますが,そのようなことはありません。
<個人再生のデメリット>
・借金が減額されるとはいえ,3年~5年間は返済を継続する必要がある。
・所有している財産の価値が大きい場合,借金が減らない場合がある。
<自己破産のデメリット>
・借金の理由が問われ,場合によっては破産が認められない。
・所有している財産(20万円以上の価値があるもの)は,原則として保持できない。

【③の回答】
30万円~60万円程度かと思います。
弁護士費用は分割で支払うことができる場合も多いので,弁護士と相談して支払いのスケジュールを決めます。
なお,ご依頼後は借金を返済する必要はなくなるため,借金の返済に充てていた分を弁護士費用に充てることが可能です。

【④の回答】
手続上の注意点が多いため,ご自身で進めることは相当難しく,リスクも伴います。
滞納が続くと訴訟を起こされることもあり得るため,お早めに弁護士にご依頼されることをお勧めします。