【面会交流】面会交流の調停が成立する前にも、子供らとの面会はできますか?
田辺 美紀
弁護士
【ご相談内容】相談前
Kさんは、30代の会社員で、30代の妻と小学生6年生と4年生の子ども2人の4人家族で生活をしていました。妻は、医療関係でフルタイムで仕事をしています。
妻は、もともと勤務時間が不規則であり、帰宅時間もまちまちだったのですが、さらに、帰宅時間が遅くなってきました。ある日、夜に帰宅すると、妻はまだ帰っておらず、下の子が高熱を出していました。Kさんが、慌てて子どもを救急病院に連れて行きました。その間、妻に電話をかけて連絡を取ろうとしたのですが、妻は、いっこうに電話に出ようとしませんでした。翌日になって、Kさんは、ようやく妻と連絡がとれましたが、昨晩の行動についての妻の回答が二転三転しました。妻の不自然な対応に強い不信感を抱くようになりました。
それ以降、Kさんは、妻の異性関係を疑い、妻に対して、事細かに外での行動を確認するようになりましたが、そういったKさんの詮索を妻が嫌い、夫婦間でのケンカが絶え間ないようになってしまいました。
そして、ついに、妻は、自宅に置き手紙だけを残し、子ども2人を連れて自宅から出て行ってしまいました。
妻が自宅から出て行って以降、妻と子どもたちがどこに住んでいるのかもわかず、子どもたちの安否を確認することもできなくなりました。
そうしたところ、妻が婚姻費用の分担請求と離婚を求める調停申立書が、家庭裁判所から送達されました。
Kさんは、妻との関係を修復することは無理だと思い、妻と離婚してもいいが、同居中から、妻にはネグレクトの傾向があったので、子どもたちが心配でならない、子どもたちに会って、無事でいるかどうかを確認したいと思っています。
Kさんは、子どもたちと会って無事を確認しようと考え、家庭裁判所に対し、子どもたちとの面会交流を求める調停を申し立てることとしました。調停が成立するまでには、時間がかかると聞いていますが、それまでは待ちきれません。子ども達と早急に会う手立てはないでしょうか?
相談後
夫側が、子の生活費でもある婚姻費用を支払い、子どもたちに対する愛情を調停の場で訴えるなど粘り強い姿勢を示すことは、調停委員の心情に訴える、事実上の効果があります。
父親との面会交流が子らにとって望ましいと考えられる場合、調停委員が妻に対し、子らとの面会交流を勧めることは少なくありません。妻も、調停委員からの説得を受けて、調停成立前に、面会交流に応じるケースはよく見受けられます。
それでも、妻が面会交流を拒否する場合には、家庭裁判所調査官の支援をいただき、家庭裁判所での試行的面会をお願いするなどの方法も考えられます。
弁護士からのコメント
法律上は、現在の子の監護状況に問題があり、同居していない親が監護する方が子らの安全を確保できると考えられる場合には、子の監護者指定・子の引渡しを求める審判を家庭裁判所に申し立てることができます。
しかしながら、子の現在の監護状況に明白な問題があるような特別な事情がないときには、家庭裁判所が、子の引渡しを命ずる審判をすることは、かなり少ないのが現状です。
子の監護者指定・子の引渡しを求める審判での解決を期待することは、実際には困難です。
また、面会交流の調停が始まった後も、妻側に、子どもたちと夫との面会交流に任意に応じてもらえなければ、面会交流の調停が成立するまでは、面会交流を強制する手段はありません。
しかしながら、ここで諦めると、子ども達との面会交流の実現は望めません。
いずれにせよ、調停では、誠実な態度で粘り強く働きかけることが重要なように思われます。