宅建士が暴行罪により罰金刑を受けたら、その事実を知事に申告する義務は発生する?起訴猶予の場合はどう?

宅地建物取引業法では、第十八条にて、宅地建物取引士の登録の欠格事由として、

「この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、又は刑法第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者」

と規定しており、傷害罪、暴行罪、脅迫罪等で罰金刑の執行を受け5年を経過しない者は、宅地建物取引士の登録はされないと定められています。

そこで疑問に思ったのですが、既に宅地建物取引士として登録を受けている者が、これらの罪名により罰金刑の執行を受けたら、その者はその事実を都道府県知事に申告する義務は発生するのですか?
(※宅地建物取引士の登録は都道府県知事が行いますね。)

また、既に宅地建物取引士として登録を受けている者が、これらの罪名の罪を犯し、逮捕や書類送検されたが、示談成立などにより起訴猶予になった場合には、その者はその事実を都道府県知事に申告する義務は発生するのですか?
(罪を犯したという事実自体に間違いは無かったものとします。)

>そこで疑問に思ったのですが、既に宅地建物取引士として登録を受けている者が、これらの罪名により罰金刑の執行を受けたら、その者はその事実を都道府県知事に申告する義務は発生するのですか?
→ 宅地建物取引業法21条2号に基づき、傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)等で罰金刑に処せられた場合には、30日以内にその旨を宅地建物取引士の登録を受けた都道府県知事に届け出なければならないとされています(これらの犯罪で罰金刑に処せられることは、宅地建物取引業法66条1項1号で免許取消事由とされています)。
 なお、不起訴(起訴猶予)の場合には、これらの資格制限を前提とする規定には該当しません。

【参考】宅地建物取引業法
(死亡等の届出)
第二十一条 第十八条第一項の登録を受けている者が次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、当該各号に定める者は、その日(第一号の場合にあつては、その事実を知つた日)から三十日以内に、その旨を当該登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。
一 略
二 第十八条第一項第一号から第八号までのいずれかに該当するに至つた場合 本人
三 略

(宅地建物取引士の登録)
第十八条 試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
一 略
二 略
三 第六十六条第一項第八号又は第九号に該当することにより第三条第一項の免許を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内にその法人の役員であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないもの)

(免許の取消し)
第六十六条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。
一 第五条第一項第一号、第五号から第七号まで、第十号又は第十四号のいずれかに該当するに至つたとき。

(免許の基準)
第五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。
一〜五 略
六 …(略)…又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

ご回答ありがとうございます。
なるほど、そうなのですね。

それでは、宅地建物取引士として登録を受けている者が、本質問文内で列挙されている罪名以外の罪で罰金刑に処せられた場合には、その者はその事実を都道府県知事に届け出る義務は発生するのですか?

本質問文内で列挙されている罪名以外の罪で罰金刑に処せられた場合については、宅地建物取引業法内では規定は存在しないのでしょうが、実際には宅地建物取引士としての懲戒処分の対象になり得るでしょうから。